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第12回「文章はリズムが大事」

「文章の書き方」編集&ライティング歴40年ほどのフリーライター。120冊以上の書籍化でライティングを担当。このnoteでは、誰でも文章が上手になるコツを伝えようと思います。特に順序立てて書くわけではありませんので、どの回から読んでいただいてもかまいません。また何回のコーナーになるかも決めておりませんので。暇な時に拾い読みして、参考になる部分だけを実践してみてください。


文章のリズム

心の中で「読んで」いる

 私たちが文章を読むとき、必ず声に出して読んでいるものです。
声に出すとは、実際に声を出していることではありません。実際には声には出していないけれど、心の中で声に出して読んでいるものなのです。今こうしてこの文章を読んでいるみなさんも、心の中で声を出しながら読んでいるはずです。

 さて、このように声に出しながら読み進んでいるときに、何となく読みづらい文章というものがあります。
書いてあることは分かるけれど、何となくすらすらと読むことができない。心の中で声に出しながら読み進んでいるとき、どうしてもつっかえてしまう。そんな文章があります。要するにリズムが悪い文章というものがあるのです。


ノリをつくるリズム隊、句読点

 この文章のリズムを悪くしているものは何なのでしょう。何がその文章を読みづらくしているのでしょうか。その答えは「句読点」の打ち方によるところが大きいのです。
「句読点」というのは、文章の途中に打つ「読点」と、一文の最後に打つ「句点」のこと。「読点」とは「、」で、「句点」は「。」のことです。

この「、」と「。」を皆さんは何気なく打っていると思いますが、この「句読点」の打ち方を間違えると、それが「読みづらい文章」になってしまうのです。

 たとえば「私は先週友だちとふたりで京都旅行に行ってきました」という文章があります。
まったく「句読点」がないこの一文を声に出して読んでみてください。
切れ目がなく、どこか落ち着かない気がすると思います。まあこれくらい短い文章ですから、一気に読むこともできるでしょうが、それでも何となくしっくりとこないものです。

 そこでこの文章に句読点を打ってみます。
「私は先週、友だちとふたりで、京都旅行に行ってきました。」
これを声に出して読んでみてください。句読点のまったくない文章にくらべて、はるかにしっくりと読むことができるはずです。
つまり「句読点」を上手に使うことで、文章にはリズムが生まれるのです。

しかしだからといって、ただ打てばいいということではありません。
「私は、先週、友だちとふたりで、京都旅行に、行ってきました。」
あまりにも余計な句読点を打ちすぎれば、それはそれで読みづらい文章になってしまいます。


心地よいリズムを刻むには

心の声で読みながら書こう

 では、どうすれば適切に句読点を打つことができるのでしょう。
その方法は、自分が文章を書くときに、心の中で声に出しながら書くことです。声に出しながら書くことで、自然と句読点を打つ場所が分かってきます。
なぜなら私たちは話しをするときに、まったく句読点のない話し方はしません。また、やたらと句読点ばかりがある話し方もしないものです。
要するに「話す」ように「書く」というイメージを意識することで、文章のリズムは整ってくるのです。


 もう少しだけ付け加えておきます。
たとえば声に出して文章を読むとき、当たり前ですが息継ぎをしなくてはなりません。延々と読み続けることはできないので、どこかのタイミングで息継ぎとします。
この息継ぎを文章を書くときにも意識してみてください。つまりは、声に出して読む際に、自然な息継ぎができるように句読点を打つことが大事です。
そういう意味で句読点というのは、文章における「息継ぎ」と言えるかもしれません。

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