旅行記録 2024/08/29-京都
これは旅行記録 2024/08/29-大原の続きです
階段を駆け下り、居間に入った僕は思わず瞠目した。今しがた告げられた「明日、東海道新幹線、運休」の言葉が頭の中でぐるぐると回っている。どこか実感がわかない。明日は東海道新幹線で家に帰るつもりではなかったか。それが止まればどうやって帰るのだ。
呆然としているところへ第二報が入った。父が急遽最寄りの駅に駆け込み、本日午後6時ごろ京都発の新幹線を急遽予約したとのこと。よって、5時過ぎには京都駅に着かねばならず、いまから30分ほどで荷物をまとめなければならない。幸い、着替えなどの大荷物は祖父母がスーツケースに詰めて家まで郵送して送ってくれるとのこと。だから、ひとまずは手荷物だけをまとめればよい。そうして父が帰って来るまでには、大半の荷造りは終わっていた。ここで一息入れた後、すぐに鞄を引っ提げて出発する振り返っては祖父母に手を振りつつ、角を曲がればすぐに早足になって駅に向かう。なんとしてでも間に合わなければ。全般に電車は満員となっており、途中の駅に寄るたびに追加でひとが詰め込まれていく。そのほとんどが大きな荷物を持っていることから、旅行客と分かる。やはり皆、旅程を前倒しにしているのか。
新幹線乗り場へと着いてみれば、そこも人で溢れかえっている。夕食用に駅弁を購入、また今日帰るならば明日のフリースクールの活動にも行くことができるなどと軽口を叩き、京都土産を購入。消費期限が9月3日までのため本来であれば購入しても意味がないが、旅程が前倒しになったおかげで土産を持っていける。そう言いながら購入するため金を払ったまさにその時。アナウンスが流れた。人々の声に隠されて全文を聞き取ること能わず、しかしながら断片的に聞き取ることができた中には「静岡」、「大雨」、「東海道」、「遅延」、「運休」などの言葉が。電光掲示板を見てみると、大阪方面行きの車両は軒並み遅延。だが、幸い東京方面行きは正常に動いているようだ。一番新しいものは6時と少しの発車だ。そう思ったが、何か違和感がある。もう一度よくよく確認してみて、顔が引き攣った。そこには、午後6時台に発車する新幹線が表示されているのではない。「16時」発の車両の名が記されているのだ。
そのことに気が付き、しばらく様子を見るもこのままでは動かないであろうと判断したのが、18時になろうとしているころ。それまで30分ほどは紙袋の上に座って本を読んで待っていた。が、どうしようもないと分かり、新幹線の乗車券の払い戻しを終える。もう、諦めようか。そんな声が囁きかける。もう諦めて、祖父母の家に泊まろう。台風が過ぎ去るまで待とうではないか。うまくすれば月曜日には帰ることができるだろう。だが、そうは問屋が卸さない。両親には仕事があるし、僕だって家には帰りたい。家に帰らねばnoteが書けない。これほどまでに面白いネタがあるのだ、書かねば損ではないか。
なんとか翌日9時ごろ発車の敦賀発東京着の新幹線「はくたか」と、敦賀行きのサンダーバードの乗車券を獲得する。これで、だいたい家を朝の6時から7時の間に出なければならないわけだ。これで新幹線が、例えば長野で停車などしたら目も当てられない。だが、それでも試してみる価値はあるだろうと父は言い、皆それに同調する。その通り。僕たちは少しでも早く家に帰りたいのだ。
駅からとぼとぼと、祖父母の家に戻る。手を振り振り出てきたというのに、そこにまたも戻ってきてしまった。明日もまた、こうなるのではないかという不吉な予感が襲う。大丈夫だ。心配することは、ない。祖父母の用意してくれた夕食とともに、駅で買った駅弁と土産を食す。明日は早い。しっかり食べて早く寝なければ。だが、この日の夜には東京にてレベル4の避難警報が出た地域もあった。東京に戻っても、すぐに避難しなければならないかもしれない。僕たちの顔は暗くなる。東京とて安全というわけではないのだ。それを裏付けるかのように、翌日。東京から長野へと向かおうとしたまっつんと、その車に便乗したレイセンはひどい目にあったというのだが、それについてはまた次の機会に語るとしよう。
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