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黒人ハーフのさくらちゃん | BlackLivesMatter

母は見た目は完全に黒人の私に日本の血が入っていることがわかるよう

「さくら」という名前をつけた。

世界を旅し、黒人の父と恋をして私に生を宿してくれた母だ。
もちろん人種差別だなんて気持ちはみじんもない。

ただこの先、娘がどこに行こうと、名前で自分を守ることができるようにつけたのだ。

私はそんなことをあまり重く考えていなかった。いや、忘れかけていた。今の今まで。

私は黒人と日本人の混血で、
見た目はだれがどう見ても黒人だ。
そんな私だからこそ、今世界で起きている問題に、
このnoteという媒体の中では少しは近くにいるのではないかと思い、
誰かに少しでも見ていただければと書きます。

最近の黒人差別のニュースを見て思ったことは、
ああ、自分が一昔前に終わったと思っていた事柄は、
現在もずっと続いていたのだということ。

最近は、少なからず、黒人のメインとはいかないにもかなり重要なポジションの役割として、
黒人の役者の方が海外TVやドラマの中で活躍し始めていたし
(例えば一昔前の大人気海外のドラマ、セックスアンドザシティやゴシップガールの中に黒人のメインはいなかった、
だが最近はやりのNYガールズダイアリーだとかには堂々と登場している)
これにかかわらず、ブラックパンサーやグリーンブック、いろいろな作品で目を出してきて、
私はすっかり黒人差別問題は解決されたのだと平和ボケしていた。

平和ボケの原因はもう一つ。

今21歳という年齢で、東京というそれなりに外国人をたくさん目にしている人がいる中で生きていること。気付いたら差別的な目で見られることが少なくなってきました。
もちろん過去はそれなりの差別を受けてきた。

私が育ったのは田舎の田んぼ町で、
黒人だなんて目にしたことがない子供や大人の視線は全て、
赤ちゃんが初めて目にしたものに興味津々の目を向けるようなものだった。

それはキラキラしたものでは全くなかった。
理由は簡単だ、日本人が「美しい」と評価するものと反対のものを持っているから、
何よりも「人と違う」から。

色白でストレートの髪の毛が美しいと定評されている世の中で、
私の色黒の肌とくるくるの髪の毛はヘイトの対象だった。
小学校一年生の私に投げかけられる
小学校六年生の男の子たちからの
「黒こげ」「チリチリ」そんな今思えばへとも思わない悪口、汚いものを見ているような視線は怖すぎた。

だから私は見た目を磨こうと思った。
くるくるでも黒人でも、美しささえあれば打倒できると、
6歳の子供がそんなことを考えたのだ。

でも私がどれだけ足のまっすぐさを保とうとも、
かわいい服を着ようとも、それは問題ではなかった。

「人と違う」それ自体が問題だったのだ。

日本は特にそうだ。今でこそ問題が起こっているのはアメリカだけだが、
日本だって問題はある。
「人は人」があまり得意でない文化であると思う。
みんな違ってみんないいよりも、みんな一緒で安心の文化なのだ。

いつか矛先が向けられる時が来る、その恐怖はいつだってある。

もしもこの流れが日本にも着てしまったら?
自分はどうなるのか不安でしかない。

このご時世何が起こるかわからない。
でもだからこそ母は私に「さくら」とつけたんだ、
世界の中でそれなりに平和ボケの許される国で、
いなくなることを強いられたとき、
名前が在日のパスポートになるのだから。


私に子供が生まれるとしたら、
どの国の人と結婚をしても「黒」が強く出て見た目は黒人となるだろう、
その時に「名前」で子供を守ろうとしなくてもいい世界となることを、祈っているところです。

一人の黒人ハーフより。

余談。

母が外国を先に旅していた頃も『アジア人だから』という理由のヘイトを受けたとよく話を聞いています。生卵を投げられたこともあったそうです。

結局場所に限らず、人は違うものを受け入れられないのかもしれません。いま問題視されているのは黒人ですが、いつかこの流れはいまこの文章を読んでくださっているあなたに向けられるのかもしれない。

日本は明らかに日本人の割合が外国人より多いから、アジア人差別はないにしても、小さな差別はあげたらキリがないでしょう。
だからこそ今、自分の身に起こるかもしれないこの問題を、目に焼き付けておくことが、自分を守ることにつながるのかもしれないです。


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