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ある朝

「あ、最後の一枚か。」
と高級パンを名残惜しく焼く
焦がさぬよう窓を覗きながら
「しかしあれはどうなってるんだろうか。」
とふと思い出す
音沙汰がない。ダメだったのだろうか。
チーンとなってバターを塗る
「ビギナーズラックかなぁ。」
高級パンを口へ運ぶ
「諦めて次へいくか。」
気がかりに思い耽っているうちに
高級パンは半分になり
至福(であったはず)の時間は
気がつけば終わっていた
やってしまった。
名残惜しく口の記憶を辿り
転がす甘みに
少しの憂鬱が混じる

至福を食み懸念を吐く
このコントラストも滋味深い
と悔し紛れに詩を詠む