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rule

私にとって「ルール」は第一だ。

校則
慣習
倫理
法律
世の中にはルールが沢山あり
それは守るべきものである。と思っている。


だけど「校則」は破っていた。
だからあの頃までは私は
「わたし」というニンゲンだったのだ。

しかし
先に挙げたルールよりも前に建つ
先に挙げたルールよりも大きく在る「ルール」が
私にはまだある。

それをつくったのは私であり、
日々更新もされ、絶対的なものである。


例えば
お風呂で体を洗う順番だったり、
歯みがきで歯を磨く順番だったり。
爪は夜に切ってはいけないとか、
マニキュアは爪を切った夜に塗るとか。


やってはいけないこと
言ってはいけないこと
思ってはいけないこと
必ずやらなければいけないこと
息をしていいこと
息をしてはいけないこと


その「ルール」は私の身に非常に近くあり
最早私を侵食している。

だから私はもう「わたし」ではなくなっている。


その「ルール」を破ることは
死刑に近いことであり、
私が私でなくなることである。


でも今日わたしは、
我慢ができなくなった。


浸食され廃人になりかけている私にも
欲があった。
オシャレがしたかった。
こんなにもオシャレが好きだったのかと驚く程に。

だけど
お金が無いから欲しい服を買えない
お金が無いから髪を染められない
約束が無いから化粧はしない
約束が無いからオシャレをする意味がない

気がつけば
新たにできた「ルール」に更に閉じ込められていたわたしは
オシャレがしたくて堪らないと叫んでいた。

だから今、まだ空に日が残っているのに、
私はオレンジ色のマニキュアを塗った。


やりたいことをやりたいときにやった。
それにさほど勇気はいらなかった
「ルール」を破った不安も追いかけて来なかった。


只残っているのは

マニキュアがまだ乾かぬうちにキーボードを叩く緊張感と、

伸びたまま塗った爪の歪さと
きっとこのあとのお風呂で早速色が剥げてしまうであろうことに

なんだか少し笑えることだけだった。

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