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本 『雪沼とその周辺』


『雪沼とその周辺』
堀江敏幸

奈良市にある本屋さん「ほんの入り口」さんで「入り口仲間」に勧めてもらって購入した一冊。
とても良かった。

7つの短篇集。

一つ一つ、大仰でなく何気ない人生の一部が切り取られている。それでいて、その一部(現在)から過去に広がりを見せながら情景や感情の隅々が目に浮かぶように描かれており、主人公の人生におきた漣が鮮やかに胸に残る。

話の終わりが小気味悪く終わる独特さに、著者の色を感じたり、一方で気持ちの良い読後感のものもとても美しく。
どの話にも共通する、「ジャーン!」と終わるのではなくて、すっとビデオカメラの録画が終わる様に終わるのもとても好きだった。

「ほんの入り口」さんでの人との出会い、本との出会いに、あらためて感謝する一冊でした。



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