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わたしのアフターダーク

村上春樹のアフターダークを読み終えたので、わたしの夜中について書こうと思う。

わたしは家にいて、今日もハイボールを飲んでいる。業務用サイズのティーチャーズウイスキーを少し入れすぎたハイボール。サーモスの400mlくらい入るステンレス製のタンブラーの内側が、心なしか薄いさび色に変わってきたのをながめる。毎日使っているので劣化が早いのかな。これが今日何杯目のハイボールなのかはもうわかっていない。

ノートかPCを開いて何か書かねば、と思っているけど、惰性で開くのは手元にあるスマホばかり。流し見しているアニメのOPやEDの間に、見たいわけでもないYouTubeショートを開いてはスクロールが止まらない。日記くらいならスマホで書けばいいのだけど、スマホのアプリはどれもあまり気に入らなくて書く気も起こらないのだ。何に書くか、何で書くかということが、書く内容には確かに影響すると思っている。

23:58 そろそろ寝なければな、と思っている。最近はこの時間までに必ず風呂を終えることができるようになったけれど、だからと言ってこの時間から眠ることを受け入れられているわけではないから、やっぱり日中の間に満たされなかった何かを追うようにダラダラと起き続けてしまう。

0:17 アニメの区切りのいいところでテレビを消すと、一瞬完全な静けさが訪れたのち、この部屋のものではないささやかな話し声が耳に入ってくる。

最近、空室だった隣の部屋に誰かが引っ越してきた。いつ引っ越し作業をしたのかは全く分からなかったけど、気が付いたら隣の部屋から生活音やかすかな人の声が聞こえるようになってきたのだ。声質からして、きっと男女が住み始めたのだろう。寝室の壁の向こうから、テレビの音と会話が聞こえる。こんなに音が聞こえるなら、私の部屋も休日はかなり騒がしいのだろうなと思う。

0:35 歯を磨き、ベッドへ入る。寝るために目をつむると、より壁の向こうの人の声が際立って聞こえる。壁の向こうが見知らぬ人のリビングであることを想像する。男のほうの話し方がちょっと輩くさくて嫌な感じがするから、引越ししたいなという欲がぽっと湧いてくる。

0:49 しばらく目を閉じていたけど気になって眠れないので、起き上がり、スーモを開きながら煙草をつけた。煙草を一本吸ったらもう寝なれけば。
スーモに詳細条件を入れたら、一番にわたしが今住んでいるマンションの4階の空室情報が出てきた。現状が最高とはとても思えないけど、水準の中でギリギリ最高の生活をしているということなんだな。観念して寝るか、と思いつつ、ケトルのスイッチを入れる。紅茶を一杯飲んだら寝ようと思う。

お湯が熱すぎて、入れてすぐには飲めないので、アップルミュージックを開いてこの時間帯に似合いそうな音楽を探す。この曲を一曲聞いたら寝れるはず。

音楽も終盤に差し掛かり、あぁ今日もエンディングなんだなぁと感じる。段々と、今日という日に諦めがついてくる。明日着る服についてぼんやり考える。さぁベッドへ戻ろうと立ち上がる。途端、スマホが鳴り始める。画面を見れば心がきゅっとなる名前が表示されている。やっと寝る決心がついたっていうのに。これはエンディング後の次回予告ということにすればいいかな。この電話で一言話したら寝よう。あと一言だけ。




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