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【東京】小笠原にクジラを見に行く旅②

2023年2月に小笠原・父島へ行った時の記録。
旅行2日目は父島に到着し、午後半日の海ツアーに参加した。

おがさわら丸下船まで

竹芝からおがさわら丸に乗船し、船の上で一夜を過ごした。

朝日を絶対に見たいが、いつ登ってくるか分からなさすぎて3:30頃に起床した。インターネットから見離された者の判断は恐ろしい。
帰りの船で知ったが、おがさわら丸は本当に親切な船なので前日の消灯時に日の出時刻のアナウンスがあるらしい。早めに寝たので全然聞いていなかった……
当然真っ暗だったし外部デッキへの扉も施錠されていたので、寝台に戻って本を読んだりしながら、船室の窓を覗いて時機を窺うこと2時間。
光が見えたので、そそくさと外部デッキに向かった。

6:07頃。朝日が顔を出す。
もうあまり気温は低くないが風が強い。

船からの景色が良すぎてフィルムの残り枚数も順調に減っていく。
この旅行ではPORTRA400という神フィルムを惜しみなく使っているが、お願いだから誰かこのフィルムの値上がりを止めてほしい。

外部デッキにいる限り無限にシャッターチャンスが生まれてしまう。
このままではフィルムの命が徒に削られていくばかりなので、朝食を食べに船内レストランへ避難した。

シンプルな和定食。丸窓の外には水平線しか見えない。

食べ終え、今度は最上部の展望デッキに登る。
まともに歩くのが困難なほど強い風が吹いていた。

空の色と海の色がどんどん変わる。
寝台のテレビを点けると船の現在位置が表示された。
父島到着まであと3時間ほど。

二度寝したりしている内に、到着まで1時間を切った。
外部デッキでガイドが始まると聞いて外に出ると、デッキが人で埋まっていた。

クジラの生態や父島の地理についての解説を聞く。
途中、海鳥やトビウオが見えた。

下を見れば、美しい紺碧が広がっていた。
ガイドさんの口から「東京湾の色、覚えてますか?」という台詞が出てくる。

東京湾の色とか二度と思い出したくないと思った。
新たな陸地が見えてくる。

入港まで30分を切ったあたりで、席に戻って待機するよう通告されたので下船準備を始めた。

父島到着

船は定刻通りに父島・二見港に到着した。
船着場には宿の人たちがプラカードを持って待機しているので、自分の宿泊先の人を探して挨拶。客が全員集まったら、並んで宿へ向かう。
今回お世話になったのは「ホライズンドリーム」さん。
二見港からはダッシュすれば1分以内に辿り着く好立地で、施設が新しくメチャクチャ綺麗。

さっそく、宿近くの「あめのひ食堂」で昼食。
隣の席の人が店の主人に「今年もお世話になります〜」と気心の知れた感じの挨拶をしており、周囲に差を見せつけていた。

島魚のカツ丼。身がさっぱりしていて美味しかった。

食後は忘れない内に職場用のお土産の菓子を買って宿に置き、少し散歩。

宿はこの木の後ろにある。
この日は真夏日並みの気温だった。

おがさわら丸の写真を撮り逃していたので港に戻ると、コンテナの積み下ろし中だった。

海ツアーに参加する

この後は「小笠原観光」さんの海ツアーを予約していた。南島上陸・ホエールウォッチング・シュノーケリングが行程に含まれている。
事業所でウェットスーツを着てから、船が待ち構えている場所まで移動した。

全員乗り込むやいなや、船は全速力で南島に向かって突進し始めた。
時間の損失は機会の損失と言わんばかりのスピード感で物事が進んでいく。

凄い勢いで遠ざかっていくおがさわら丸

海に入る時の注意点や、クジラの見つけ方や、これから行く南島についての話を聞いている内に、辺りの風景がどことなく現実離れしていく。
「ドラクエかFFの世界や」みたいなことを5回ぐらい言っている人がいた。

海の青色に鉱物のような透明感がある。
波の形はゼリーを削ったようだった。
RPG味のある岩

船は掴まっていないと本当に危ないレベルでまあまあ容赦なく揺れるが、これが楽しかった。
私のようにビッグサンダーマウンテンくらいのジェットコースターが一番心地良く感じる人間にはぴったりな塩梅だ。
そうこうしている内に船がいよいよ南島の玄関の一つである鮫池に入っていく。船体のバランスを保つために左右に立つ人数を調整しながら接岸し、岩場を慎重に登って上陸する———

海の色すっご!!!マジで言ってる!!??
という感じだった。
このような色に見えるのは、砕けたサンゴが海底の砂を白くしているからなのだそう。
こんなもん見てしまったら立ち止まって動けなくなるところだが、他にも見るところがあるので足を動かす。

引率されるままに険しめの斜面を登っていくと、眼下に写真で見た光景が広がっていた。

有名な扇池。精巧なジオラマか何かに見える。

眺望を楽しんだら、降りて扇池の近くまで歩いていく。致死量の非日常体験をしているせいで、見るもの全てに思考が「ウワ〜〜〜」となってしまう。

今更だけど「遠いところまで来ちまったな……」と思う。
絶滅したヒロベソカタマイマイの半化石。
思っていた量の1000倍くらいは転がっていた。
陰陽池という名前がついている。
海とは繋がっていないが汽水の池なのだそう。

来た道を引き返して船が待つ鮫池に戻る。
日差しが強烈すぎて「マンマ・ミーア!」の映画で見たやりすぎなくらいキラキラしい色が現実に降臨していた。

南島を後にすると、今度はクジラを探しながら移動する。
スタッフの方が「12時の方向」「9時の方向」という言い方で教えてくれるので、言われた方向を齧り付くように見る。
船はエンジンを入れた状態でクジラに近付いてはいけないというルールになっているが、船が止まっている状態でクジラの方から来る分にはOKなので、クジラが見えたら船は止まって動向を見守るタームに移行する。

ザトウクジラの赤ちゃんがブリーチングした!

この日は何度か子クジラが顔を出すのが見られた。深く長く潜っていられる分、親クジラの方は比較的目撃しづらいのだそう。

その後はシュノーケリングをして港に戻った。
スマホは防水ケースに入れていたが、絶対に紛失したくないというビビり心のせいで海に持って入られるのが憚られたので写真は残っていない。
シュノーケリングは中学校の修学旅行以来だったので、初心者らしく救命胴衣を着て安全にプカプカ浮かんで楽しんだ。

宿に戻ってシャワーを浴びてから外に出ると、辺りは日没の空気になっていた。

島の中心地から徒歩1分以内にある大村海岸。
一帯が公園になっているので、村の小学生がそのへんに集まっていた。
浜は石化したサンゴで埋め尽くされている。
昼間に見た時とは違う迫力があるシルエット。

宿の夕食の時間になったので食事場所へ向かうと、「島魚のボロネーゼ」なるものがでてきた。
なぜか勝手にビジホ朝食の延長線上みたいなイメージをしていて、こういうオシャな方向で来ると思っていなかったので驚いた。

部屋に戻って布団に入った。
けっこう疲労が溜まっていたらしく、秒で眠りに落ちた。



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