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ライター中村洋太さんに学ぶ「企画書の注意点って?」

ある日、メディアに企画を売り込む機会が訪れた。

これは……インタビュライターとして活動中のわたしには願ってもないこと。

さっそく温めていたアイデアをA4用紙にまとめ、3案ほど企画書を書いた。だが、である。どうしようもない不安に襲われた。

「これ、本当に面白いんだろうか?」

「この企画書は、人に見せられるレベルなの?」

頭の中で迷いが駆け巡り、自分の企画に自信が持てないままパソコン画面をにらむ。いったいどうしたら……。

こんなときは、中村洋太さんに相談だ!

中村さんはご自身のライター業の傍ら、駆け出しライターに文章指導をしている。それだけでなく、ライターの仕事の向き合い方についてもアドバイスをくださる。何を隠そう、わたしは中村さんの一番弟子である!(別にエラくないのだが……)

中村さんは、わたしの視野では見えなかったものをわかりやすく説明してくださる。今回も自分で気づかない点を指摘していただこうと思った。

企画書を見た中村さんが、どのようなアドバイスをされたのかを記していこう。

大げさな表現になってないか

企画書の中で、わたしはこのように書いた。

掲載意義として、〇〇が劇的な集客効果を生む意外性を提唱する。

中村さんからは、次のようにご指摘いただいた。

「具体的な数字があった方が良いです。個人の感覚で『劇的な』とつかうのはNG。数字がなければ『大幅な』という表現の方が良いかもしれません」

企画書だから大げさに書いた方が伝わると踏んでいたが、メディアから見たら「劇的って?なんだかあやふやだ」と思われかねない。大げさな表現は企画者の思惑が透けて見えがちなので、なるべく具体的に書くこと。そして、誇張しすぎないことが大切だと学んだ。

自分なりの大義名分を持っているか

つづいて、メディア側のメリットをこのように書いた。

〇〇氏の仕事の取り組み方やキャリアは、多くの人の胸を打つものがある。力強い発信になるだろう。

これを受けて中村さんは、

「取材相手の仕事の取り組み方やキャリアは、池田さん的にはなぜ特別だと感じたのでしょうか?それを伝えた方が、納得感があるかもしれません。記事として取り上げることに大きな意味があるのか、なぜ読者にとって価値があるのか。それをよく考え、提案すると良いと思います」

まさしく、これはモヤモヤしていた理由のひとつだった。「このインタビューは何の目的があるのか?」「わたしが書く意味はあるのか?」

それを理解していないまま企画書を書いていた。もし仮に企画が通り取材をしたとしても、その不安がきっと文章に出てしまうだろう。自分で企画するならば、自分なりの大義名分を持っていることが大切だと学んだ。

使っている言葉に、違和感はないか

ある企画の訴求ポイントとして、このように書いていた。

〇〇氏がフリーランスに転身したのは記憶に新しいが、詳しいインタビュー記事は出ていない。

中村さんからは、「時期の違和感」についてご指摘いただいた。

「記憶に新しい」は、2ヶ月前〜2年前くらいでよく使う印象がありますが、この発表あったのって最近のことですよね。近日の出来事に使うには逆に違和感があります」

たしかに、である。そもそも、「記憶に新しい」と書いたとしても、相手がそれを知らなかったとしたらどう思うだろうか。「当然あなたも知ってますよね?」というトーンは上から目線かもしれない。読者なら疎外感を感じるだろう。相手の立場にたった言葉で企画書を作っているかも重要なポイントである。

取材工程について

また、取材工程について書き記していた。

〈取材工程〉
日程:5月中
場所:横浜市
・取材者へのアポはこちらから取ります。
・撮影はわたしが行います。

上記に関して、中村さんからはこのように指摘された。

「撮影の部分ですが、『撮影も対応可能です』という表現の方が良いかもしれません。メディアの意向を聞かないで勝手に決めてしまうような印象は、与えない方がいいです。撮影のプロでもないのに「私が行います」はちょっと傲慢に見えます

「傲慢に見える」。これをもっとも恐れていた。知らずしらずのうちに誰かを怒らせてしまったとき、「そんなつもりじゃなかったのに……」と思うのだが、あとの祭りである。あの時の胸の痛みを、今味わっている……。

懸念点も伝えられるように

最後に、企画書をメディアに提出する前に、あらかじめ考えておくべきことを中村さんは教えてくださった。

「企画提案において大切なのは、『リスクも把握できてますよ』と匂わせることです」

様々な企画を提案される側のメディア編集者にしてみれば、つねにリスクを想定するはずだ。それを事前に口にするライターなら、編集者は安心感を持つだろう。「それならばお願いしようか」と、企画も通りやすくなる。

考えるポイントは2つ。

・対象者を記事にすることで、懸念すべきポイントはどこか?

・読者層とメディアの求める層が一致しているかどうか?

ちなみに、読者層が異なるように感じるならば、提案する時に「御社のメディアの読者層と比べてこちらの企画は……」と事前に話しておくと良いという。

指摘をされることを喜ぼう

こういう指摘をしてくれる人は、年齢を重ねるほどいなくなると思う。

「裸の王様にはなりたくない」

だからこそ、指摘されても苦痛に感じない中村さんのような存在はホント、貴重だ。指摘されるのはつらいし、恥ずかしい。けれど、挑戦する勇気をいただける。自分の足で踏み出すことが前より怖くないから不思議だ。

企画書を相談したことで、「自分が書くべきものを見つけよう」という意欲がますます沸いた。これからも、企画書を書いていこうと思う。

(記:池田あゆ里)

こちらの記事は「ライターコンサルの学びマガジン」に掲載中です。




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池田 アユリ@インタビューライター
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