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ソーシャルディスタンス限界の場所

 別にこれだからってコロナ感染に直結するとは思えないんですけどね、ずっと気になることがありました。

 電車を降りて改札階に向かう際、エスカレーターの乗り場周辺に人溜りができることに違和感を覚えていた。電車を降りると皆一斉に早足でエスカレーターに駆け寄る。いち早く改札を抜けようと必死なのか。否、私のような田舎者の見解では、このように焦ってしまうことが彼らの当たり前であり、自然なことなのだと考えた。

 私はこれを見て、少し恐れながら行列の最後尾に並ぶ。

 エントロピー増大の法則なんてものを聞いたことがある。熱力学で導入された概念であるが、「自然のままに放っておくとエントロピーが低い状態から高い状態に変化していき、故意に外から仕事を加えてやらない限りその逆は決して起こらない」というもの。

 どんなに綺麗な部屋でも、放っておくとどんどん散らかり汚れていくのもエントロピー増大の法則だそうだ。自然状態であれば『秩序ある状態』から『無秩序な状態』へと変化していく。

 コロナの自粛期間は、街の行き来を少なくし、ステイホームを要請することで、放っておけばどんどん人で溢れかえる状態が改善された——エントロピーの増大が抑制されたことになるだろう。

 だが、先述した鉄道駅ホームのエスカレーター乗り場には人だかりができており、エントロピーが増大しているように見えた。ソーシャルディスタンスを叫ばれ、マスクをして互いの飛沫を受けないようにしていてもその場所は秩序の行き届かない所になっていた。
 都会に住む人の気質なのだろうなぁ。

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 あと、列車内でも滑稽だと感じる光景がある。

 駅に降りた際すぐエスカレーターに飛び付けるように、着いた時もっともエスカレーターが近くなる車両のドアに張り付くように多くの人が乗っている光景だ。最初は滑稽だと思っていたが、この情勢になってくると少し距離を取ってみてはどうなのかと思ってしまう。

 この人口密度だ。意識していないと、どんどん人だかりの中に埋まってしまう。

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