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ラブライブっていいね

※一部放送されたアニメ作品へのネタバレとなるような内容を含んでいるので閲覧にはご注意を。

 10月からラブライブ!シリーズ第3作目となる『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』がのテレビアニメ作品が放送開始された。中学の時にスマホゲームを始め、第1作と第2作をテレビアニメから劇場版まで視聴していた。ライブに行ったり声優たちの動画配信を見たりするほどの熱心なオタクだったわけではないが、それなりに好きなキャラがいて、陸上のレース前はラブライブの勇気をもらえる曲を聞き、長旅する時はアルバムを一通り流したりなどしていた。そして今回、新シリーズがアニメ化した。だが私の心は「また新シリーズか……また新キャラか……もう追えないよ」と流行についていけないおじさん気取りしていた。

 性格が保守的なので、次々と新しいコンテンツが入ってくると「なんだこれ」と訝しげな目で見てしまう癖がある。Twitterのタイムラインで虹ヶ咲学園の情報が流れてくると、どんなキャラかもわからない子たちにもそんな目を向けていた。ずっと顔を隠しているキャラクターもいるし、非常に不思議なグループができたと思っていた。

 しかし以前、シナリオライター向けのインターンで、「良いコンテンツ、人気のあるコンテンツには、全てのシーンやセリフ、演出などにしっかり意味を持たせていて説得力があり、無駄がない。逆にそこで蛇足になるようなことだったり、説得力のないことをしているとユーザーにも必ずバレるし、すぐ売り上げに影響が出てくる」ということを聞いた。
 そうなれば、ラブライブもただ無駄に次々と新シリーズを出しているわけではないのかもしれない。それもそのはず、ラブライブのようにエンターテイメント界隈の複数大手企業がタッグして大きなプロジェクトをやる以上、企画・制作には多くの人が関わっていて、様々な人たちの価値観のフィルターを通した上で一つの作品ができるのだから、きっと面白いのかもしれない。
 そう思いながらニコニコ動画で第1話を視聴した。

 結論から言うと、非常に次回以降が楽しな面白い作品だった。

 むしろ、今までのシリーズよりも個人的には見やすかった印象がある。今までのシリーズには、少しミュージカルっぽい演出やセリフが突然投げ込まれて戸惑うところがあったが、ストーリーの流れが非常に自然に感じた。

 ラブライブにはそれぞれシリーズごとにテーマというか、コンセプトがある。
第1作『ラブライブ!』→叶え、私たちの夢
第2作『ラブライブ!サンシャイン‼︎』→輝きたい
そして今回『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』→ときめき
となっている。

 物語の冒頭から歩夢と侑が買い物をする時に「これときめくね!」「いまいちときめきが足りないね」というセリフをさり気なく入れている。ひとりひとり、何にときめいて行動していくかが物語の鍵になっていくのだろう。
 放課後の買い物の途中、スクールアイドルをしているせつ菜のライブを見かけて、大きなときめきを覚える。せつ菜が同じ学校のスクールアイドル同好会にいることを知った二人は、せつ菜に会いに行くものの、訪問した時に廃部になっていた——そんな流れだ。
 ある日アイドルに出会い、しかしその活動をするための拠点が廃止になる(今までのシリーズでは、アイドルをすることを反対されたり、そもそも廃校の危機になったりする)が、それでもアイドルをやりたい!という流れが今までのシリーズと同じだった。しかし、それでも見飽きせずに惹きこまれる理由はなんだろうと考えた。

 一つにライブ形態の違いがある。前作まではアイドルたちは皆グループなどの複数でライブをしていたが、虹ヶ咲の場合、1話で2回ライブシーンがあった中でいずれもソロでのパフォーマンスになっている。調べたら、そもそも虹ヶ咲の同好会はグループとして活動しているのではなくそれぞれ個別に活動している人たちの集まった部活であるらしい。今まではリーダー的存在(1作目では穂乃果、2作目では千歌)がみんなで一つの目標に向かっていくスタンスだったので、個人的にリーダーが主人公で穂乃果や千歌を軸に物語が動いているイメージがあった。しかし3作目のテーマとなる『ときめき』は、それぞれときめくきっかけやモノが違っているから、それぞれのカラーを存分に発揮させていく機会が出てくるのだろうと考えた。公式ウェブサイトにも、「『仲間』で『ライバル』?!」と書いてあり、ただ単に女の子たちが仲良くしながらみんなで前を向いて頑張るのではなく、緊張感を持ちながらも協力して成長していくスタンスになっているのではないか。
 私としては、個人種目の陸上をやってきた身なので今回のスタンスはとても自分の価値観と相性が良いのではないかと勝手に思っている。

 なんだか今までのラブライブの批判をしているようになってしまったが、決してそんなことはなくリスペクトを忘れていないつもりだ。だが、この新シリーズは前シリーズまでの流れを踏襲しつつも一味違った空気を取り入れた新鮮なコンテンツになっているのだと思った。一つのシリーズのアニメが終わるごとにブラッシュアップし、もっとユーザーが求めていたであろうことを実現していく。ラブライブプロジェクトの魅力はここにあるのかもしれない。それは、アイドルマスターとか他のコンテンツにも言えることなのでしょうけど。長寿でやっていけるコンテンツは、それなりの理由がありそうだ。まだ虹ヶ咲のアニメは1話しか見ていないので、これから見ていってどんな魅力が隠れているのか探っていきたい。

 

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