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企業分析 Amazonを知る②

このNoteで心掛けてる事

・数字、データという定量的なものだけで企業を見る事
・図示化=わかりやすさ を第一に考え、基本は図を見てもらうだけに
・この企業に対する皆さんの理解を深める一役を担えるように努める

今回のNoteで分かる事

・Amazonの簡単な沿革
・Amazonの売上とその成長を支える事業

今回も引き続き " Amazon "

 前回に引き続き” Amazon ”を書かせていただきます。前回はAmazonのメイン事業であるEC市場分析をしました。世界最大規模でありながら未だに高成長を続ける中国でAmazonはシェアが全く取れておらず、今年撤退も発表。Amazonが強いのは市場規模2位だが成熟化に近づく北米市場。このことから今後もAmazonが高成長を続けるのは難しのでは?と感じてしまいますが、それでも株式市場はGAFAMの中でAmazonが今後最も成長していくと評価している矛盾。この点を今回はAmazonの売上をみていく事で理解していきたいと考えています。

※資料のDLは前回も書かせていただいたように、このAmazonの回が全て終了してから(1枚にしてから)行えるようにする予定です。もし先に欲しい方いましたらご連絡ください。提供させていただきます。

まずは、Amazonの概要

 今更Amazonの概要について言うまでもないので本当に簡単にAmazonの沿革と創業者ジェフベゾスについて見てみます。

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 創業は1994年創業者はジェフ・ベゾス。出発点は自宅のガレージで、創業当初は本だけを取り扱う「オンライン書店」でした。1997年にIPOし、わずか20年しか経っていない現在、その株価は約1000倍になっています。なんとも恐ろしい成長っぷりですね。2017年にはAmazonでは過去最高額のM&Aを実施しホールフーズを買収、2018年にはアップルに次いで2番目で時価総額1兆ドルを突破しました。

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 Amazonの創業者ジェフ・ベゾスは現在世界No1のお金持ちとなり保有資産は$131B(≒14兆円)。あのマイクロソフト創業者のビルゲイツ、オハマノ賢人ことバフェットを抜いての1位。日本でNo1のユニクロの柳井さん、ソフトバンクの孫さんも圧倒的なお金持ちですがその6倍の資産を保有。庶民には全くイメージが湧かない額ですね笑
 ただし、ジェフ・ベゾスは離婚する事になりその影響で来年はNo1にはなれない事がほぼ確定しているそうです。

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 これは完全に補足ですが、今までの世界No1の富豪の歴史を見てみましょう。2001年~は4人しか世界No1の座を射止めていません。ほとんどの期間ではやはりあのビル・ゲイツがNo1を獲得してます。他はバフェット、カルロス・スリム・ヘル、そして今回のジェフ・ベゾスとなってます。

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 話は戻って。このNoteでは財務分析となるので、Amazonの財務戦略について見てみましょう。Amazonの財務戦略は” フリーキャッシュフローの最大化 ”を掲げています。企業価値の源泉となるフリーキャッシュフローを戦略と掲げている事、利益ではなくキャッシュを注視していることが大変素晴らしいですね。しかもそのこだわりっぷりは凄く、通常財務諸表では損益計算書(PL)、貸借対照表(BS)の次にキャッシュフロー(CF)ですが、AmazonはCFからスタートしています。株主への対話も非常に上手だと感じますね。

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 これも補足ですが、Amazonの名前の由来はアマゾン川。世界一長いナイル川ではなく流域面積最大のアマゾン川を選んだのは、幅広い商品を取り扱っていく・扱っているという表現からとの事です。
 また、おなじみのAmazonのロゴも同様の意味の表れであり、AからZに向かって伸びている矢印はアルファベットのA~Zの全てを網羅=ありとあらゆる商品を取り扱っている・扱っていくとの表れだそうです。

成長性 : 売上の中身

 それではAmazonの売上の中身について見ていきましょう。

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 売上は脅威の速度で成長しており、わずか20年程度で売上$200B(≒22兆円)を突破しています。1999年に$1Bを超え、2015年にはその100倍の$100Bを突破しています。わずか15年で売上が100倍とは凄すぎますね。

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 成長率という形でみてみましょう。1996~2000年の成長の勢いは異常な速さですね。しかも毎年プラス成長で一度もマイナス成長していません。ここ数年でもCAGR(年平均成長)は26%と高成長を維持しています。これをみるだけでもAmazon恐ろしい企業ですね。

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 売上をセグメント別に分解してみてみましょう。2015以降しか詳細なセグメント情報が得られなかったので2015から表示しています。Amazonのメイン事業である直販EC(自分たちで仕入れてECサイトで売る)が2016年は70%と大半を占めていましたが、2018年には約50%まで下がっています。その代わりに、マーケットプレイス(Amazonのサイトを第3の出品者に貸す事で手数料を得るビジネス)、クラウド(AWS)、サブスクリプション(アマゾンプライム)のサービス事業の比率が大きく増えています。特に2018年には面白いのは、ECではなくリアル店舗である売上の比率が増えています。これは2017年にホールフーズ(日本でいう成城石井みたいなとこ)を買収した事によるものです。デジタルではなくリアルを攻めだした感がありますね(AmazonGOも含め)。外部環境分析であった食品がEC化していかない事への対応にも見えます。マーケットプレイスも自分だけのECでは成長が鈍化するので、市場全体のパイを取っていくためにも第3者を自サイトへ勧誘し快適にECが出来る事をしていますね。(商品の保管~発送までしてくれるフルフィルメント by Amazon サービス)
 このセグメント情報から、Amazonの事業構造がここ数年で大きく変化したと言えますね。上手く外部環境の変化に対応できている感じがしますね、さすが世界一になるだけの実力がある企業は戦略が上手い。

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 セグメント別の成長率をみてみましょう。外部環境の分析通り、直販ECは成長が鈍化していますね。しかし、サービス部門やリアル店舗の成長が30%以上あります。(ホールフーズは2017年の買収タイミングの問題で成長率が巨大に見えています)

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 その各セグメントの成長がAmazon全体の売上にどれだけ貢献しているかをみてみましょう。2016年には直販ECが成長を支えるメインドライバーでしたが、2018年には全てのセグメントで成長を支える構図になっています。このような事業構造を変化させる事でECの成長の鈍化に対応し、高い成長率を保っていると言えます。

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 次に国内外の売上の比率をみてみましょう。感覚としては国内外半々くらいかなという感じを持っていましたが、2009年までは海外の比率が年々増加し2009年時点では国内外半々になりました。しかし、そこから国内(北米)の比率が年々増加し現在は7:3と” 国内売上がメイン "となっています。

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 もう少し詳細な地域で分けてみてみましょう。詳細な地域情報は2010年からしか開示が無かったので2010年からの表示となっています。売上の比率は北米が1位、2位ドイツ、3位イギリス、4位 日本 となっています。世界最大のEC市場の中国や成長率No1のインドの売上の比率が少ないですね。中国に至っては今年ECの撤退を発表しました。

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 その国別での売上の成長率をみてみましょう。キーセグメントである北米の成長率が高いですね。毎年ほぼトップであり約30%の高成長を維持しています。詳細の開示が無いので断定はできませんが、EC以外のサービスの売上も北米での売上がメインという事になりそうですね。

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 最後に国内外の売上成長への貢献度合いを確認しておきましょう。2009年までは海外での売り上げの成長がAmazon全体の売上成長を支えていましたが、2009年以降は北米の売上成長が支えています北米で売上を成長させていけるかがAmazonの成長のカギと言えます。

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 この成長性分析を総じて、外部環境の変化にAmazonは上手に対応しており、EC直販中心の事業モデルからサービス&リアル店舗の売上比率を上昇させて事業構造を変化させている。しかしその影響か?北米での売上がメインとなり、売上の成長も北米の売上の成長で支える構図となっている。北米で今後もサービス等の売上を成長出来るかがカギと感じます。また、このサービスを海外に売っていけるかも今後のAmazonには必要と感じますね。
 そういう意味では、最近あったこれはかなり痛かった気がしますね。

今回は以上となります。読んでいただきありがとうございました。
次回ではこの事業構造の変化でAmazonの収益性・効率性がどのように変化したのかを中心に見ていきたいともいます。なかなか時間が取れず書くのが遅れて申し訳ないです。。。

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