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【DX#26】パーソナライゼーションの誤解とその課題とは?

 小売業におけるデータドリブンによるパーソナライゼーションの始まりは、1990年代後半から2000年代初頭にかけてのことと言われております。2010年代に入ると、ビッグデータ技術の進化により、膨大な量のデータをリアルタイムで処理・分析することが可能になりました。これにより、より高度なパーソナライゼーションが実現されるようになりました。

 しかし、「チョコレートを好きな人にチョコレートの広告を送る」という考え方には限界があります。パーソナライゼーションが顧客の既存の嗜好にのみ依存すると、マーケットの拡大や新規顧客の獲得が難しくなります。むしろ、チョコレートを買わない人にその魅力を伝え、好きになってもらうことが、小売業としての本分に沿った取り組みと言えるでしょう。

パーソナライゼーションの効果的なアプローチ

①インスピレーションを与えるマーケティング
 顧客がまだ知らない商品や興味を持っていない商品に対して興味を引くことが、小売業の使命です。例えば、チョコレートの魅力を伝えるストーリーテリングや、チョコレートを使ったレシピ提案などを通じて、新しい楽しみ方を紹介します。

②データの活用方法の多様化
 単なる購買履歴だけでなく、顧客の行動パターンや興味関心に基づいて、パーソナライズされた提案を行うことが重要です。例えば、ヘルシー志向の顧客に対しては、健康に良い成分を含んだチョコレートの提案をすることが考えられます。

③体験価値の提供
 商品の販売だけでなく、体験を提供することで顧客の満足度を高めます。チョコレートの試食イベントや、チョコレートの歴史や製造過程を紹介するワークショップなどを通じて、顧客に新しい価値を提供します。

結論

 リテールのパーソナライゼーションは、既存の顧客の嗜好に合わせるだけではなく、顧客に新しい価値を提供し、興味を広げることが重要です。チョコレートの例で言えば、チョコレートを購入しない人にもその魅力を伝え、興味を引き、新たな需要を創出することが小売業の本分に沿った取り組みと言えます。このアプローチは、顧客との長期的な関係を築き、ブランドロイヤリティを高めることにもつながります。

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