平林周

年4回渡米しアメリカ小売業を研究&グローバル・デジタル・ビジョナリーとして活動中。 デ…

平林周

年4回渡米しアメリカ小売業を研究&グローバル・デジタル・ビジョナリーとして活動中。 デジタルマーケティングの分野で幅広い経験を持つ。革新的なデジタル戦略を用いて、小売業の変革を推進することに情熱を注いでいる。ストアDXという分野での成功を掴むための実用的なアイデアを配信中。

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日本企業のDXを阻害する、年功序列という呪いの話

日本企業の現状とDXの必要性  日本の企業文化は、長きにわたり上下関係や年功序列を重視する「タテ型社会」の影響を色濃く受けてきました。この垂直的な構造は、意思決定の遅れや新しい取り組みへの抵抗など、企業活動における種々の非効率を生み出す一因ともなってきました。一方で、ビジネス環境をとりまくグローバル化の波は、日本企業に対しても大きな影響を及ぼしています。  また、デジタル化の進展に伴い、ビジネスモデルの変革やイノベーションの加速が求められる時代を迎えています。こうした状況下

    • リアルタイム分析の重要性 : 遅延するID-POSデータに価値はない

       小売業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の浸透は、事業運営のあらゆる側面に革命をもたらしています。特にID-POSデータの取り扱いにおいて、リアルタイム分析の重要性が高まっている中、多くの小売業者がデータ遅延の問題に直面しています。このコラムでは、ID-POSデータがなぜ遅れるのか、その影響、そしてWalmartがどのようにしてこの問題を克服しているのかを掘り下げます。 ID-POSデータ遅延の原因 ①古い技術基盤  多くの小売業者が依然として古いPOS

      • 時代遅れのRPA : 小売業を蝕む自動化の落とし穴

         デジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せる中、多くの小売業が技術的な解決策を求めています。特に注目されているのがRPA(Robotic Process Automation)ですが、このツールは2000年代初頭から存在しており、最近になってDXブームにより再評価されています。しかし、RPA導入が増える中で浮かび上がってくる問題点も少なくありません。このコラムでは、RPAが抱える課題と小売業が直面するデジタル変革のジレンマについて掘り下げます。 RPAとは何か

        • 日本から小売業が消える未来

           小売業界は現在、技術の進歩により消費者の購買行動が変化し、企業はこれに適応しなければ生き残ることが困難になっています。このコラムでは、小売業界がどのように変化していくのか、そしてその変化に適応するために何が求められるのかについて考察します。 小売業の未来・変化は避けられない  かつて小売業は、物理的な店舗での販売が中心でしたが、デジタル技術の進化により、その在り方は大きく変わりつつあります。今後、このコラムのタイトルのように小売業自体がなくなるわけではありませんが、その

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          ゼロ戦に乗せられる若手と進歩できない日本企業の話

           小売業におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、企業の将来性を大きく左右する重要なテーマです。しかし、その推進には多くの課題が存在します。特に、経営層のITリテラシーの低さと若手従業員の使い捨て構造は、DXの進行を阻害する大きな問題となっています。  まず、多くの小売業においては、若手従業員の中には高いITスキルを持つ者がいます。彼らは最新の技術を理解し、それを活用することで企業の効率化や顧客サービスの向上を図ることができます。しかし、これら若手のスキルが十分に

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          小売業におけるデータ活用の障壁、ID-POSデータの収集とマイニングの課題

           デジタルトランスフォーメーションが進む中、小売業界においてID-POSデータの活用は非常に重要な戦略的資源となっています。ID-POSデータは消費者の購買行動を詳細に記録し、マーケティングや商品開発、在庫管理の最適化に活用できるはずです。しかし、実際には多くの小売業者がこのデータの適切なマイニングと活用に苦労しており、未熟なデータで不完全な仮説を立ててしまうケースが散見されます。このコラムでは、ID-POSデータの収集とマイニングにおける具体的な課題とその根本的原因を探りま

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          DX化と外部コンサルの二刃の剣:選択と監督の重要性

           日本の小売業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、業務効率化と競争力向上のために不可欠です。この変革を推進する一環として、多くの企業が外部のコンサルタントを活用する傾向にあります。外部コンサルタントは新しい視点と専門知識を提供する一方で、適切な選択が行われない場合、企業に甚大な損害をもたらすリスクも伴います。このコラムでは、DXプロジェクトにおける外部コンサルの利用と、その適切な管理方法について掘り下げます。 外部コンサルの活用傾向  多くの小売企業がD

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          長老ドリブンからデータドリブンへ、日本小売業の必要な転換

           日本の小売業界においては、伝統的に「長老ドリブン」と呼ばれる経営スタイルが根強く残っています。この手法は、長い経験と年功序列に基づく直感(カン)により意思決定が行われるものです。一見、経験豊富な長老の直感は価値があるように思えますが、デジタル化が進む現代の市場環境においては、このアプローチだけでは不十分なケースが増えています。このコラムでは、日本小売業における「データドリブン」の重要性と、なぜそれが必要なのかを探ります。 長老ドリブンの問題点  長老ドリブンのアプローチ

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          日本小売業におけるリテールメディアの誤解とその原因

           日本の小売業界がデジタルトランスフォーメーション(DX)の進行に苦戦している中、特に注目すべき課題の一つがリテールメディアの誤解とその未活用です。リテールメディアは、小売業者が自社の販売チャネルを通じて広告やプロモーションを展開し、収益化する手法ですが、日本においてはそのポテンシャルが十分に理解されていません。このコラムでは、リテールメディアへの誤解がなぜ生じているのか、そしてそれが小売業の成長機会にどのような影響を与えているのかを探ります。 リテールメディアへの誤解

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          IT軽視が招く危機、家族経営の影響と日本小売業の未来

           日本の小売業界が直面している最大の課題の一つに、IT軽視があります。特に家族経営の小売業においてこの問題は顕著であり、古くからの経営手法への依存がデジタルトランスフォーメーション(DX)の必要性を見落とさせています。こうした状況は、数多くのデメリットを生んでおり、業界全体の競争力低下を引き起こしています。IT軽視がもたらすデメリットとその原因を解説し、解決策を探ります。 IT軽視のデメリット ①顧客体験の劣化  デジタル技術を取り入れた顧客管理やマーケティング戦略が不足

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          令和の時代に求められる日本小売業のDXへの対応

           日本の小売業は長年にわたり、消費者のニーズに応え、日常生活に必要な商品を提供する重要な役割を果たしてきました。 しかし、令和の時代に入り、テクノロジーとデジタル化が急速に進展する中で、小売業の業態も大きな変革を迫られています。かつては「販売のプロ」としての自負も厚かった業界も、現代では新たな壁に直面しています。 販売のプロフェッショナルの再定義  従来の小売業は、物理的な店舗での商品の陳列や顧客サービスに長けていましたが、令和の時代においてはそれだけでは不十分です。今日

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          小売業における変革(DX)の時は今である

          小売業におけるデジタルトランスフォーメーションの必要性  小売業界は、アマゾンのようなeコマース大手の台頭と、デジタル体験に対する消費者の期待の変化により、かつてない混乱に直面している。伝統的な実店舗型小売企業にとって、包括的なデジタルトランスフォーメーションに取り組むか、あるいは時代遅れになるリスクを負うか、という命題は明確である。  本章では、デジタルトランスフォーメーションとその構成要素を定義し、その緊急性を高める市場トレンドについて説明し、小売企業が達成できる主

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          新社会人の羅針盤:不安を力に変える指南書

           新たな航海の出発点に立つ新社会人の君たちへ、この世界は果てしなく広く、同時に過酷な宇宙のようなものだ。初めて足を踏み入れる職場は、未知との遭遇であり、期待と不安が渦巻く無法地帯。だが恐れるな。このコラムが、君たちの羅針盤となる。 上司をフリーザだと思え  まず、覚悟を決めろ。職場の上司が、あの宇宙を支配する暴君フリーザだと想像してみよ。彼の前で生き延びるためには、スピードと機転が必要だ。仕事において70点の成果を素早く上げることが、生存戦略となる。完璧を目指すことの虚無

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          ストアDX唯一のサイネージ成功事例?Walgreensも導入するCoolerScreensについて

          Coolerscreensとは?  Coolerscreensは、スマート冷蔵ショーケースの扉に搭載された小型の電子ディスプレイです。この技術は、顧客が商品を手にとる際に、商品情報やプロモーション、レシピ提案などのコンテンツを動画と音声で提供することができます。センサーにより、顧客の動きを検知し、カスタマイズされた情報を適切なタイミングで届けることが可能です。  Coolerscreensは、従来の静的な販売促進ツールとは一線を画し、デジタル技術を活用した新しい顧客体験を

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          日本小売業のDXを成功させるアメリカ小売業視察セミナーの重要性

          はじめに  日本の小売業界がアメリカの小売業を視察する背景には、グローバル化が進む中で海外の優れた事例から学び、自社の競争力を高めたいという強い思いがあります。アメリカの小売業界は常に革新的で、消費者ニーズの変化に素早く対応できる体制が整っています。その進化のスピードと実践力こそが、日本企業にとって大きな学びの場となっています。 アメリカ小売業視察の変遷  2016年以降、単に店舗を見学するだけでなく、より深い理解を得るためのアメリカ小売業視察が加速しています。物理的な店舗

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          【タブー】日本の小売業とメーカーを食い潰すリテールメディアの危険性

          はじめに  リテールメディアとは、小売業が保有する販売チャネル(店頭・公式ウェブサイト・アプリ等)を活用したマーケティングの手段であり、近年急速に成長している分野です。小売業は自身のチャネルを広告媒体として活用し、メーカーに宣伝の機会を提供することで収益を上げています。日本でも、消費者とのタッチポイントを多く持つ小売業者のリテールメディアへの需要が高まっています。 広告代理店による搾取の現状  しかし、小売業とメーカーの間に入る広告代理店が、独自の価格設定と高額な手数料を課

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