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祖業はポスティング。ガチのアナログ会社だったのにSaaSを開発できた理由。

*この記事は5分で読めます。

株式会社DEECH(ディーチ)の佐藤です。2021年6月1日より社名変更いたしました。

2020年10月1日に自社開発のエリアマーケティングクラウドサービス【DEECH】をローンチしました。弊社は創業16年の会社なんですが、祖業はポスティングです。その会社が16年後にSaaSを開発してデジタルマーケティングを推進しているなんて不思議ですよね。今回はそこに至るまでの秘話をお話ししたいと思います。

僕が9年前にDEECH社に転職してきた時には架電営業が主流の超!アナログ営業会社でした。そんな会社がなぜSaaSの開発に取り組むことになったのか、どうしてそのようなことが出来るようになったのかをお伝えします。読後には「なーんだ。ウチでもできるじゃん!」と、変われることを感じてもらえれば幸いです。信念と行動があれば必ずできると思います。だってアナログ一辺倒だった弊社が出来たんですから。

川下から川上へのこだわり

どこの会社に勤めていても夢は作れますし、組織にいれば成長を目指します。そんな思いがあればこそ会社は第二、第三の柱となるべく新規事業に取り組みますが、DEECH社も既存事業の拡大と共に周辺の事業に触手を伸ばしてきました。そのなかで少々拘ってきたことは、川下から川上への事業展開への意識だったと思います。

■ポスティング(祖業)

祖業はチラシの投函。広告代理店や制作会社から様々なチラシを倉庫に受け入れることで、投函後に成果の表れるものと表れないものの違いが蓄積。

■デザイン

それならば、デザインを自分たちで行ったほうが良い提案ができるのでは?と考えデザイン部門を設立。チラシやパンフレット以外にもVIやCIの提案も行ってきたので、経営層とのつながりもできた。その甲斐もあってWEB制作の相談が多く発生。

■WEB制作

WEBサイトの目的を追求すれば「作った後」にどのような提案をするのかがカギ。それには必然的にWEB解析やアクセス分析の知識が必要になるので社員の資格取得も含め、より専門的な領域に特化。

■広告運用

WEBで顧客を獲得したいニーズが旺盛になってきた背景に伴い、WEB解析、ランディングページの制作、WEBマーケティングをはじめとするWEB広告の運用が徐々に主力に。

■コンテンツ制作

WEBサイトのコンテンツ制作は、企画、SEO設計、ライティングにかなりのノウハウや工数が必要になるためアウトソースの需要が多く発生。

■デジタルマーケのコンサルティング

自社サイトでもインバウンドマーケティングを行っておりそのノウハウが宝に。マーケティングオートメーションを活用したインサイドセールスにも明るくなってきたことで、コンテンツ制作、広告運用、メールマーケティングまでの一連のノウハウを提供。アナログな営業手法からWEBへの営業戦略に移行したい企業へのコンサルティング。

このように、川下から川上へと事業の範囲を拡大してきました。ポスティングやデザイン制作はよほどのことがない限り実務担当者とのやりとりに終始しますが、予算を大きく扱う案件にコミットするようになるほど経営企画部やマーケティング部、販売促進部など組織の川上への提案が必要になります。社員に対しても新たな知識を獲得していく「前提」での組織運営をしてきました。

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広告業界の急激な変化

ここで我々が属している広告業界について触れてみます。2021年の現在。広告業界はどのような状況になっているのでしょうか。毎年恒例の電通が発表している日本の総広告費。2020年はコロナ禍の影響がありながらも6兆1,594億円(前年比88.8%)に踏みとどまりました。

推移

9年ぶりのマイナス成長とは言え、まだまだ6兆円を維持している大きな市場です。しかし、内訳を見てみると6兆円市場の中身は大きな変化の渦に巻き込まれています。

比較a

これは社内研修で僕がよく使う資料。この資料の目的は、我々が属する業界の時系列の流れの理解と、その中でDEECH社がなぜ存在出来ているのかの理由を把握してもらうためです。

15年間の各媒体の広告費(各媒体の市場規模)を変動を比較しています。いわゆるマスコミ4媒体は軒並み広告費を激減させていて、中でも新聞の広告費の凋落が激しく、悲惨と言ってよいほど市場が縮小しています。このあとに触れるネット広告が漸次増加してきたことで、新聞広告はその煽りを一番受けてきた媒体と言えるでしょう。

そして急成長しているのは言わずもがなのインターネット広告費。2015年にネットの広告費が1兆円を超えましたが、そこから4年後の2019年。長らく我が世の春を謳歌してきたテレビ広告費を抜き去り、あっさりと2兆円の大台を突破しました。

ちなみにシンクタンクの矢野経済研究所によれば、ネットの広告費は2023年には約2兆8,000億まで伸長するとの予測をしており、特にスマホへの広告が市場をけん引(ネット広告の約7割)すると見ています。

マスコミ4媒体の広告費の激減をインターネットの広告費が吸収していることは時系列で把握できたと思いますが、最下部にあるプロモーションメディア費の15年間の比較はどうでしょうか(プロモーションメディア費に属する媒体の種類は以下を参照ください)。

約4,300億円ほど減少していますがこの変化のなかでも2兆円を保ち続けています。企業は広告費を急激にネットにシフトしているものの、アナログでなければ出会えないユーザーを切ることはせずに、空中戦(WEB)と地上戦(アナログ)の比率を変えていると推察が出来るのではないでしょうか。

内訳

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祖業への自己否定

DEECH社は祖業がポスティングであると冒頭でお話ししました。よって、プロモーションメディア費が大きく変動することがない市場の利点を生かして成長することができて、それに伴い優秀な社員も多く入社してくれました。そうなることで中途入社や新卒入社してきた社員は良い意味で祖業に固執やしがらみがなく、疑問や変化を要求することも多くなります。

僕自身も出版に長くいたせいか「オリジナル商品」に拘りたいという強い思いがあり、大手私鉄と共同で雑誌とオウンドメディアを開発したりと、「変わり続ける」ということを常に求めていたかもしれません。

祖業は安定した売上を継続していて、社内の雰囲気も明るく誰しもこの延長線上に未来があると思っていたような気がします。しかし現状に満足するあまり、市場環境や動向に極端に鈍感になっていました。まさに木を見て森を見ずな状態に陥っていて、このままで良いわけがないと自己否定が必要だと感じていました。

なければ作ればいいんじゃない?

プロモーションメディア費に属する新聞折込やポスティングなどの受発注業務はほとんどアナログです。エリアマケーケティングの宿命ともいえる商圏設定はまさに人力が多く介在します。そんななか、「googleマップで発注できたり、商圏分析や反響分析が出来たらニーズってあるのかな?」という仮説から生まれたのがDEECHでした。

DEECHを開発するにあたって有志で色々と議論した結果、発注に特化したシステムはあるものの、マーケティング寄りのプロダクトは存在していなかったので、「なければ作ればいいんじゃない?」的なノリで着手する方向になりました。これは会社の良い文化だと思います。何かをやる際に考えながら走ってみるという企業文化はとても大切ですね。

この分岐点でのポイントは、社員から生まれたディスカッションを経営層のコミットの元、一緒に推進ができたことだと思います。例えば経営層が良くも悪くも「任せる!成功しても失敗しても君たちの責任だからしっかりと頑張れ!」となったならば、この先に待ち受ける紆余曲折を乗り越えられたかどうかは分かりません(今も紆余曲折な開発が継続しています)。

それともうひとつ。この開発に関わっている人間それぞれの当事者意識が強いことは大きな強みです。誰よりも要件定義に必死で、誰よりも現場で商談し、誰よりもチームの味方になってくれる存在があるからこそ前を向けているのだと思います。

アナログ企業から脱皮したこれから

WEBマーケティング、デジタルマーケティング、コンテンツマーケティングを同時に行える企業は多くありません。ましてや、アナログなことが多いエリアマーケティングをも行っているとなると相当レアな状態だと思います。これが優位になるかどうかはこれからの自分たち次第。

幸いリリースしてから多くのお客様に導入していただき、今後も開発を継続しながら我々が提供できる価値をどんどん還元してきたいと考えています。エリアマーケティング界隈のDXは始まったばかり。数年後にはDEECHを導入することが様々な企業で当たり前になっている世界を作りたいと思っています。既存のお客様、これから出会うお客様。今後もよろしくお願いいたします!

あ。弊社では通年で採用も行っていますので、ご興味のある方や転職をしたいと思っている方がお近くにいらっしゃればぜひ!こちらの記事にも目を通していただきたいです!

今後ともよろしくお願いいたします。

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