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【先行公開】『話が進む仕切り方』の「おわりに」~ファシリーダーであれ!

2022年11月19日発売開始予定の新刊『話が進む仕切り方』(技術評論社)の、「おわりに」を特別に先行公開します。

「ファシリーダー」であれ!

正直、私は世の中のファシリテーターの定義に「モヤモヤ」を感じていました。ファシリテーターは、中立的な立場でものごとの計画や進行を支援する人であり、自ら議論や意思決定に関与してはならない。そのような「べき論」や主義主張も目にします。

そのようなファシリテーター像を私は否定しません。中立的な立場に徹し、ものごとを前に進める支援をする。その役割も重要でしょう。一方で、自らが当事者として強い思いや意志を持ち、メンバーに影響力を及ぼしながら、そして時に外部の協力者を巻き込みながら越境して問題や課題の解決に導く、あるいは新しい世界を切り拓いていく。そんなファシリテーターがいたってイイじゃない。いや、むしろファシリテーターとリーダーの役割や資質を併せ持つ、「ファシリーダー」のような人物こそいまの世の中に必要とされているのではないか。私はこの本を、ファシリーダーの入門書のつもりで書きました。

これからの時代、私たちは主体的に問いを立て、能力や意欲や思いを持つ人を巻き込み、主体的にディスカッションし、主体的に自分たちなりの答えを出していかなければなりません。もはや、先人たちが築いてきた社会構造や産業構造やビジネスモデルのレールの延長線上に答えはないからです。ところが日本のビジネスパーソンの多くは、学校教育の段階から「与えられた問いに答えを出す」「上から指示されたことに従う」やり方に慣れすぎてしまいました。自ら思考して答えを出す機会も能力も奪われてしまった。その状況下、私たちひとり一人が問題意識やビジョンを持ち、当事者としてものごとを前に進めていく。他者を巻き込みながら答えを出していく。そのようなファシリーダーとしてのトレーニングや実践の場をもっと増やしていく必要があるのではないでしょうか。
ちなみに私が主宰する企業間越境学習プログラム『組織変革Lab』でも、毎回(毎月)異なるテーマで参加者の皆さんにグループワーク形式でファシリーダーの実践をしていただいています。是非とも門をたたいてみてください。

ファシリテーターが思いを持ったっていいじゃない。議論に参加したってイイじゃない。
強い思いを持つファシリーダーこそが、日本の組織や社会の変革を牽引すると私は確信しています。

ともに目指そう、ファシリーダーを。
Be a facileader!(ファシリーダーであれ!)


2022年10月 秋色の奥裾花ダムにて 沢渡あまね

書籍『話が進む仕切り方』(技術評論社)の「おわりに」より


書籍『話が進む仕切り方』(技術評論社)の「おわりに」より