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管理部門(バックオフィス)がその企業のファンもアンチも生むって話

「管理部門改革」「バックオフィス2.0」
こんなテーマで講演することの多い今日この頃です(この秋だけで5本)。

毎回大盛況。それだけ、企業組織が管理部門(バックオフィス)のあり方を見直すムードが高まっているのでしょう。私自身、大企業で管理部門と事業部門の双方を経験した一人として、管理部門のアップデートを常に促しています。

そして断言します。

管理部門(バックオフィス)の振る舞いや、事務作業など管理業務のあり方がその企業のブランドを左右する。

管理部門(バックオフィス)こそブランドマネジメントを学び、自らの行動をアップデートしていって欲しいと。

1.ブランドって?

ブランドとは、超絶シンプルに説明すれば「自組織のファンを創るチカラ」。ブランド力が高ければ、自組織に協力してくれる仲間が増え、低ければ非協力的な人やアンチが増える。そういうことです。

2.事務作業はその企業の他者との初期接点

管理部門の振る舞いや、管理部門が規定した事務作業は、その企業と他者とのファーストタッチポイント(初期接点)です。

たとえば、就活生などの入社候補者はエントリーシートや履歴書や職務経歴書をその会社に提出します。これらの事務作業は、その企業と協業する初期接点であり企業イメージを左右します。

取引先や顧客の場合は、契約・見積もりなどの事務作業がその企業との初期接点です。

いずれにしても、事務作業はその企業の他者との初期接点であり、その印象が企業イメージ、ひいてはその企業のファンを生むかアンチを生むかを左右するのです。

3.事務作業がガラパゴス&煩雑な企業は、顧客や取引先や社員を遠ざける

たとえば、入社手続き一つとってみても、インターネットで簡易におこなうことができるのか、手書きの書類を書留で送らなければならないかによって、入社候補者のその企業のイメージは大きく異なるでしょう。

「うわ……この会社、めんどくさそう」
「いまどき紙&手書きの書類を求めるなんて、古い企業体質の会社なんだな……」
「誰もこの仕事のやり方を問題に思わなかったのか?この会社、中からのアップデートが働かないのかしら……」
「入社してからも、雅な事務作業が多くて本業にフルコミットできない会社なのではないか」

契約や見積や請求の手続きがスマートに設計されているかどうかは、顧客や取引先がその企業と取引しようと思うか? 継続してつき合おうかどうかのモチベーションを左右します。

・ショット(単発)かつ少額取引なのに、わざわざ重厚な契約を締結し、しかも紙のやり取りに拘り印紙まで貼らせようとする。
・注文請書の送付を求める。
・見積もり、請求書など紙の書類の郵送を求める。
・電子ファイルの授受は、お約束のようにいちいちPPAP形式

こういう企業は、アップデートがおこらない「残念な企業」のイメージを相手に与えます。それどころか、電子でスマートに行えば発生しない、無駄なコストや無駄な稼働を相手に強いる。企業の社会的責任(CSRやESG)としてどうなのでしょう。

事務作業専任スタッフを持たない零細事業者や、コスト意識の高い企業にとってはたまったものではありません。
(私は自分の身を守るために、煩雑な事務手続きはお断り、または「事務作業サーチャージ」(最大5万円)を請求しています)

また、心ある社員ほど、雅かつ古いやり方で入社候補者・顧客・取引先など外の人たちの手を煩わせる自社に対してモチベーションを下げます
(そもそも、その事務作業を代行するのはを事業部門だったりしますから、事業部門の人たちも重厚長大かつ自分たちの本業ではない事務作業につきあわされて、嫌気がさしていたりするのです)

「自社が恥ずかしい」
「自社が情けない」

自社ガラパゴスかつ煩雑な事務作業は、外部ステークホルダーのみならず社員も自社のアンチにしてしまうのです。

そして、これらの事務作業を設計し規定するのは、人事・経理・総務・購買・法務・監査などいわゆる管理部門(バックオフィス)です。

すなわち、管理部門のあり方がその企業のブランドを左右すると言っても言い過ぎではないのです。

4.管理部門(バックオフィス)こそブランドマネジメントを学ぶべき

以上の理由から、私は管理部門(バックオフィス)こそブランドマネジメントを学ぶべき、そして事務業務の改善やスマート化を実現する形で、自社のブランド力向上を図るべきだと考えます。

一般的に、管理部門(バックオフィス)は社外のステークホルダーから遠い人たちとされています。だから、意識が内に向きがち、ブランドマネジメントの意識が働きにくい。

しかし実際、管理部門(バックオフィス)および彼ら/彼女たちが設計して規定する事務作業が、社外の人たちや社員のブランドイメージを大きく左右します。

これからの時代、社内外の人たちとスマートにコラボレーションできない組織はリスクです。

管理部門こそ、ブランドマネジメントを真剣に学び、そして事務業務をスマートに改善してください。

なお、『組織変革Lab』(沢渡が講師およびアドバイザーを務める、企業・行政向け・オンライン越境学習プログラム)の2021年11月回(11月16日)のテーマは「ブランドマネジメント」です。

私の動画講義を事前視聴いただき、当日は異なる企業の管理職・担当者とグループディスカッションと質疑応答を行います。

この機会に「ブランドマネジメントとは何か?」「ブランド、すなわちファンを創るチカラを強化するために、自組織は何をするべきか?」をとことん考え、実践しましょう。

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5.おしまいに

旧態依然の管理部門(バックオフィス)は、組織の成長を阻害する
アップデートできる管理部門(バックオフィス)は、組織の成長を牽引する

組織の成長を牽引し、社内外のファンを増やすことのできる、イケている管理部門(バックオフィス)に進化しましょう!

▼書籍『バリューサイクル・マネジメント』
~管理部門改革のバイブル!「バックオフィス2.0」「ブランドマネジメント」も詳しく解説しています。

▼『沢渡あまねマネジメントクラブ』
~組織変革、DX、働き方改革、ダイバーシティ推進、業務改善を目指す方のためのオンラインコミュニティ。沢渡が皆さんのご質問に直接お答えします!