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ここは試される大地【北海道旅行記day2】

2018.6.2 納沙布岬にて

ゴゴゴゴゴゴ…

朝七時。強風が吹く納沙布岬。

でっかいモニュメント。

ここは北海道本島の最東端であって、「日本の最東端ではない」というメッセージを放つ、モニュメントの数々。

…よし、見た。
寒い。
帰ろう!

今降ろしたはずの乗客が、折り返しのバスに乗ってくるのを見た運転手さんは怪訝な顔をしていたが、背に腹はかえられない。
北海道一周のチェックポイントだと思っていた納沙布岬、滞在時間、12分。
すぐに西へ引き返すことにした。
6月だというのに、その日の最高気温は6℃台。これが試される大地、北海道。

試される大地 北海道って、聞いたときはなんて自虐…と思ったものの、この旅行記を書くとなるととてもしっくりくるので使ってしまいます…

昨日は新千歳空港から東へ東へ進んで根室駅までたどり着いた。今朝は根室駅からバスで納沙布岬を見てから方向転換。根室駅から釧路に戻る。
そしてノロッコ号と釧網線で北上し、網走に向かう。
今日も今日とて大移動である。

再びの釧路駅とノロッコ号にて。

6月なのにタンポポの花が咲く根室を後にして、スミレの花が咲く釧路へ到着。ノロッコ号の発車時刻まで時間があるため、釧路駅周辺をぶらぶら散策。

道東は自然も豊かで、行きたいエリアはいくつもあったのだが、そんな場所はだいたい「駅から車で〇〇分」表記。バスを調べても片道1時間とか、1日に3本とかいうことも多い。バスがあっても、今度は乗る予定の列車までに戻ってこられるかが問題になる。
計画力が試される大地、北海道。

その点釧路は、列車の待ち時間をつぶすのにほどよいスポットが駅の近くにあったので、調べて感動したものである。

ということで、しばらく釧路観光を楽しむことに。

駅徒歩5分の、和商市場の「勝手丼」。調べたら「意外と高いから注意」という口コミばかり書いてあった…が、これだけ好きなモノばかり乗っけた海鮮丼、1,350円。何より新鮮でおいしい。

駅徒歩15分の、幣舞橋。橋、というより川べりのレンガ造りの遊歩道がきれい。

と、簡単に釧路を観光し、釧路駅に戻る。
その途中に、道行くオジサンの変な目線を感じたり、地元中学生に二度見されたり…コインロッカー代をケチって、40リットルのリュックを背負っているのがそんなに変だった…?

ノロッコ号

続いて、ノロッコ号乗車。この6月2日が、2018年の運行初日だった。(この日程が、旅行の出発日の決め手だった)

景色が良く見えるという向かい席の窓際を予約していたが、私と同じく一人旅のだという、お兄さんが向かい側に座る。お互いの身の上話などしながら北へ。

「ちゃんと計画を立てるなんて偉いですね!」なんて言うお兄さんは、同じフリーパスを使って気の向くまま、道内をあちこち巡っているらしい。
ヤナギの綿毛が窓の外をぶわぶわ飛んでいた。

ノロッコ号の終点、塘路駅から、お兄さんは折り返して釧路へ戻り、私はさらに北へ。
釧路から網走は特急列車が走っていないので、ディーゼル車でゴトゴト。

列車の中でうつらうつらしていて、目を開けたら外が一面の湿原。浅い緑の大地に、蛇行した川や三日月湖があちこちに広がっていた。さらに次に目を開けると、きれいに整えられた畑。その後は、海。

まるで非日常、物語の中のような景色。

網走湖畔にて、カムイについて

網走駅に到着。網走からバスで、網走湖へ。

今夜のお宿は網走湖の湖畔の旅館。ちなみにこの日のお宿が、6泊のうち唯一食事がついているお宿にして、一番高かったお宿です。他はビジネスホテルの素泊まりだからなあ…。

夕飯の前に、散歩がてら網走湖を見にいく。

お宿の前には踏切があり、線路が通っている。タンポポの綿毛がいっぱい。

陽は大きく西に傾く。湖面は風で静かに波打ち、金色がかった陽光できらめく。網走湖をぐるりと取り囲む山並みは、次第に影が濃くなる。

アイヌの人たちが「カムイ(神)」という存在を信じていたのも当然のことだな、と納得するような景色だった。この雄大な景色は、何者かによって作り出されているにちがいない、と。

関東平野の真ん中に住んでいる私にとって、土地はアスファルトで舗装されているのが当たり前、坂があってもなだらかなものである。遠くを見ても、見えるのは建物ばかり。車の音や人の話し声、街の喧騒がもはやBGMになっている。

静かで雄大で、人工物なんてろくに見えなくて、たまに通る車の音以外は湖の水音がするばかり。

ああ、北海道だな。憧れの大地、北海道に来たんだな。

夕食はひらめの煮つけだった。B5サイズはありそうなお魚を、ちみちみほぐしながらいただく。お魚の煮つけってこんなに美味しかったっけ。

とても静かな夜だった。

余談だが、その夜、宿からインターン先のMTGにLINE通話で参加した。
部屋だと宿のWi-Fiも、4G回線すら圏外になってしまったので、ギリギリつながるお宿のロビーで声を潜めて参加していた。
ホテルにいながら、4G回線が圏外になるのは、初めての体験だった。

ここは試される大地、北海道。

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