マガジンのカバー画像

それでもわたしは、母を甘やかす|エッセイ

2
わたしと老人ホームに入所した母。 わたしたち母娘の思い出を、エッセイとして書いています。 こんな親子もいるんだなあと思っていただけたら幸いです。
運営しているクリエイター

記事一覧

【エッセイ】コントロールできない母との距離感。いつかまた、私は母を甘やかすだろう

【エッセイ】コントロールできない母との距離感。いつかまた、私は母を甘やかすだろう

私は何歳になっても、母との距離感がつかめない。ほどほどに仲良くしてきたつもりだったが、何度か衝突したこともある。

私は今年で41歳。ひとりっ子だ。未婚だが、パートナーとは8年付き合っている。父は、私が小学6年生のときに病死した。父方の親族とは疎遠になり、母方の親族とは今も交流がある。

私の母は、73歳になった。2022年の1月、脳出血で倒れ要介護4の認定を受ける。2023年には特別養護老人施設

もっとみる
【#1】それでもわたしは、母を甘やかす

【#1】それでもわたしは、母を甘やかす

いま、わたしの目は潤んでいる。
ついさっきまで泣いていたからだ。

今日は母に会うため、おばと一緒に施設へ向かった。
特別養護老人ホームだ。

でもわたしは、母を老人だと思っていない。
だから複雑な気持ちである。

2022年の1月、母は脳出血で雪かき中に倒れた。
わたしはそのとき外出中で、電話でそのことを知った。

救急搬送された病院で、一気に老け込んだ母と対面した。
意識はあったが、左半身に麻

もっとみる