聞こえる? 聞こえない?
夜中、音で目が覚めた
おぼろげに聞いた音から判断するに
枕元に置いてあった本かなと思われた
眠たいながらも本を拾おうと見るのだけれど
本は落ちていなかった
次の夜も同じことがあった
その次の夜も、またその次の夜も――
あとあと判明したことなのだけれど
どうやら、その音は、寿命が縮まっていく音らしいのだ
一日一回、そうやって音が鳴り、寿命が減っていく
あとどれくらいなのか、残りのことは分からない
そういった基本的な知識や事柄を
いま、わたしは、あの世と呼ばれているところで
いろいろと教えてもらっている