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「ロザリア公国史」120倍よくわかる!『FF16』解説&考察シリーズ-Part2

FF16に残された謎は多い。中には答えがないものも存在する。しかし、ゲーム内に散りばめられた様々な情報を用いて仮説を立てることは可能だろう。そんなFF16を120倍楽しむための解説&考察シリーズ。

第二弾「ロザリア公国史」―建国前史から公国滅亡まで―

FF16にはいくつか国家が登場するが、この記事では主に「ロザリア公国」の歴史についてまとめている。ロザリアの建国者(創始者)、《炎の夜》事件前後の大陸の動きなどが気になる奇特な人におすすめ。ネタバレあり。


「FF16」ってどんなゲーム?

『FF16』は、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズ最新作のアクションRPG。プレイヤーはクリスタルの加護を受けし大地ヴァリスゼアを舞台に、数奇な運命をたどる亡国の王子「クライヴ・ロズフィールド」として、世界に隠された真理に迫っていく。PS5で独占提供中。

個人評:軽快なアクション―特に回避とパリィ―に、圧倒的なグラフィックで紡がれる重厚な物語。ゲームという「メディア」の可能性を感じさせる、一言で言うなら「高品質なストーリー重視ARPG」。未プレイなら買って遊んで欲しい。そして引き返せ、ここはネタバレの嵐だぞ!

注意事項

*ネタバレを含む…想定読者はクリアした人
*英語でプレイしたので日本語の作中情報とは一部乖離がある可能性あり
*引用も英語が基本。気になる方はChatGPTなりで翻訳してほしい
*画像はほとんど公式から。全てスクエニさんに帰属。一部SS/加工。
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1.ロザリア公国:公式サイトの説明

ロザリア公国旗:フェニックスの紋章が掲げてある

ロザリア公国(ロザリア大公国とも)。皆さんご存知クライヴとジョシュアの出身国だ。ゲーム内で最初に登場する国でもある(ニサ峡谷を除く)。

1-1.公式サイト内の説明‐英語

かなり雑に訳すとこういった感じになるだろうか。

伝統の砦ロザリア大公国

かつて、ヴァリスゼア西部にあったいくつかの小さな独立州が結束し、成立したのがロザリア大公国だ。一定の繁栄を誇った大公国だが、現在は《黒の一帯》の脅威にさらされている。この脅威が放置されれば間違いなく大公国は滅ぶだろう。ロザリア大公国は、沖合の火山島にあるマザークリスタル:ドレイクブレスからエーテルを引き出している。火のエイコン(召喚獣)、フェニックスのドミナントは成人後、大公として即位する。

「ロザリア公国」-"Final Fantasy XVI"英語版公式サイト.(参照2023-07-22).訳by俺

1-2.公式サイト内の説明-日本語

The Grand Duchy of Rosaria
ロザリア公国―慈悲と伝統の公国


ロザリアは、ヴァリスゼアの中西部に位置し、小国を束ねることで成立した公国である。世界を蝕む“黒の一帯”の浸食に脅かされ、その領土は黄昏の雰囲気をはらんでいる。沖合の火山島に存在するマザークリスタル「ドレイクブレス」からのエーテルを享受することで成り立つ。火の召喚獣“フェニックス”のドミナントが国を統治する。

「ロザリア公国」-"Final Fantasy XVI"日本語版公式サイト.(参照2023-07-22)

「その領土は黄昏の雰囲気をはらんでいる。」…美しい翻訳ですね!

1-3.公式サイトの情報まとめ

英日両方の公式サイトから読み取れるのは以下の6つか。

長い歴史を誇るロザリア公国は、小国があつまり成立した国で、英語版では『ロザリア大公国』とも訳される(が、ゲーム的に意味はないかも)。この大公位は僭称して得たものなのか、あるいは何者かに授けられたものなのかは不明だが、大公家(ロズフィールド家)がフェニックスのドミナントを継続して輩出しており、このドミナントが成人後に大公位を継承する文化が存在しているのは確かである。

通常、大公という爵位は上位者である王や皇帝から封じられるが、歴史上は自ら宣言して名乗るケースも存在する(オーストリア大公ルドルフ4世)。この文章からは独立時から大公国を名乗っていた、と読み取ることも可能。
なお、ドミナントが指導者を兼ねるのは公国とウォールード王国だけ。

とはいえ、ここまでは割りと「知ってる~」という感じではないだろうか。

それではいよいよゲーム内の情報を参照していこう。

2.ロザリア公国史:概説

伝統の砦、ロザリア公国。長い歴史を誇る公国の歴史を簡単にまとめると「前史」「建国」「繁栄」「衰退」の4つの区分に分けることが出来る。

2-1.建国前史①ー《ゼメキスの悲劇》

まず軽く、アルテマ来訪からの歴史をおさらいしておく。

長い旅路を経てヴァリスゼアに到着したアルテマたち16人。そのうち8人が身を挺してマザークリスタルとなった。アルテマは八属性との親和性を持たせた古代の民をコア付近に配置し防衛にあたらせ、ミュトス誕生を待った。

マザークリスタルと守護者、召喚獣の一覧表

諸々算段をつけ眠りについたアルテマだったが、人類は見捨てられたと勘違いし自我に目覚める。ついで魔法もゲット。魔導が発達して魔導大戦勃発。人類はゼメキスに攻め入り、アルテマが怒ってゼメキス周辺を滅ぼした…。(ここ、地味に真実とは違うんじゃないかなと思っているがその話はまた)

そして、人類は「空の文明」を失った。暗黒時代の到来である。

この暗黒時代に人民を導き、ロザリアの礎を作ったのが「創始者」だ。

2-1.建国前史②ー創始者-"The Founder"

「創始者(The Founder)」というハルポクラテスの備忘録が存在する。

The Founder(創始者):ハルポクラテスの備忘録

The Founder

"Fear and uncertainty in those early years following the Sins of Dzemekys. Not wanting to further incur the wrath of the heavens, the few who survived the Fall took to wandering the land, spurning magic and staying to shadows. And so they lived for decades."

"One man, however, grew tired of this life-if it could be called that- and after bidding his companions farewell, climbed a grassy knoll overlooking a forest of beech and alder. Here, he gathered a pile of rubble and used it to build a humble shelter in which he spent the night. The next morning, however, instead of abandoning his work(as was his people's wont), he gathered more rocks, adding to the structure until the shelter had become a shack. This, he continued for days, weeks, until the shack had become a home.

"At first, those few wanderers who passed the knoll would shun him, cursing the man under their breaths for his hubris. But as his estate grew, and one building became two, and two, three, the people began to slow their steps, and it was not long before some took to joining him on that knoll. Gathering stones. Building new lives. New destinies.

"This they did without magicks or machines. Without boon or blessing. They relied on naught but their hands, their backs, their wills, and each other. And slowly house gave way to village, village to town...and town to nation.

"The man would one day die, as all men do, but those who remained continued his legacy-expanded upon it. And though his name was eventually forgotten, his spirit lives on to this day in the hearts of all Rosarians."

”Legend of the founder”, Moss the chronicler

創始者

《ゼメキスの罪》が起こってからの数年は、恐怖と不確実性に満ちていた。悲劇を生き延びた数少ない人々は、これ以上天の怒りを招くことを望まず、魔法を避け、影に潜み土地を彷徨っていた。彼らは数十年もの間、そのように生き続けた。

しかし、一人の男がその生活―それが生活と呼べるものなら―に飽いた。彼は仲間に別れを告げ、ブナとハンノキの森を見下ろせる、草の丘を登った。彼は瓦礫の山から簡素なシェルターを作り、そこで一晩を過ごした。翌朝、彼は作業を放棄する(他の多くの民がそうする)代わりに、石を集め、その
建築に加えた。そして避難所は小屋となった。これを彼は繰り返し、やがて小屋は家となった。

初め、丘を通り過ぎる数少ない放浪者たちはこの男の傲慢さを息をひそめながら呪い、彼を避けた。しかし、彼の土地が拡大し、建物が一つから二つ、二つから三つになると、人々は歩みを緩めた。その頃になると、放浪者の中から丘の上の彼に加わる者も現れるようになった。石を集め、新しい生活を築き、彼らは新しい運命を切り拓いた。

彼らは魔法や機械を使わず、恩恵や祝福もなしに、ただ自分らの手と労働、意志、そして互いを頼りにこれらを行った。そしてゆっくりと家は村に、村は街に、そして街は国に変貌した。

男は死ぬ、すべての人がそうするように。しかし、残った人々は彼の遺産を受け継ぎ、それ拡張し続けた。彼の名前はいつの間にか忘れら去られたが、彼の精神は今日でもすべてのロザリア人の心の中に生き続けている。

”創始者の伝説”、歴史学者モース
The Founder(創始者):ハルポクラテスの備忘録
訳by俺

ロザリアの建国者
ロザリアの礎を築いたとされる者。

”文明の衰退後、神々の怒りを恐れた人は魔法を拒み流浪の民となった。あるとき、男が家を建て始めた。いつしか男のもとに人が集まり、家が村に、村が街に、街が国になった。ロザリアを興した名もなき男の魂は、今も人々の胸の中にある。”

モース著 建国者の伝説より

日本語版では英語版の内容がかなり簡潔にまとまっている。

以後、この「ロザリアの建国者」は英語版に基づき「創始者」と呼称する。

さて、ポイントを抜き出すと以下のようになるだろうか。

創始者とその活動のポイント
ポイント①:《ゼメキスの悲劇》後、人類は離散した(?)
ポイント②:創始者の活動開始は《ゼメキスの悲劇》の数十年後
ポイント③:始まりの地は「ブナとハンノキの森を見下ろせる丘」
ポイント④:その活動は魔法を使わずに行われた

アルテマの影に怯え、意思なく生きていた人々。創始者の活動はそんな人々を勇気づけ、明日に向かって生きる意義を見出させたのだろう。どことなくクライヴやジョシュアの生き様にも似ている。

彼の活動拠点(ブナとハンノキの森を見下ろせる丘=ホーク・クライ断崖?ポートイゾルデ?)や魔法に関するスタンスは不明だが、活動時期については明らかなこともある。

ゲーム内では濁されているが、予告編”Ambition”の中で《ゼメキスの悲劇》が起きたのは1500年前だと明確に語られている。

この「1500年前」はゲーム開始時点の大陸歴860年頃からだと推測される。厳密に1500年前なのかどうか定かではないが、大陸歴が定まる約640年ほど近く前に《ゼメキスの悲劇》が起きたのは間違いないだろう。

そして、創始者が活動を開始したのはこの《ゼメキスの悲劇》から数十年後、つまり、大陸歴でいうと前600年頃だと言えるだろう。

重要情報:《ゼメキスの悲劇》が起きたのは「前640年頃」

重要情報:創始者の活動開始はその数十年後、約「前600年頃」

2-2.建国

しかしこれは、ロザリア公国の創建が前600年頃だったということを示すものではない。創始者の活動開始から、人々が集住し国を作るまでにはかなりの時間が経っているだろう。さらにその小国が結束して出来たのが公国だ。公国創建は前600年よりもっとずっと後のことだと思われる。

実は公国の具体的な建国時期について詳しいことはわかっていない。だが、ヒントは存在する。

「この建国碑は~」とクライヴが英語で?呟いてた気がするが…

これはロザリス城に続く大橋前にある建国記念碑。建国250周年を記念して建てられたものだ。

もしかしたら妄想だったかもしれないが、記憶が正しければこの建国記念碑はエルウィン在位中に建てられたものだったはず。となれば、公国の歴史は250年そこそこということかもしれない。

ちょっと正確なことが言えないのが残念だが…。ジルとの会話シーンがあったはず?…誰か教えてくれ…。

重要情報ロザリア公国には少なくとも250年以上の歴史がある

250年というと江戸時代がだいたいそれくらいである。実は結構長い。この間、江戸では15人もの将軍が誕生している。エルウィンは何代目だろうか。

2-3.繁栄

その後のロザリア公国の歴史について多くは語られていない。だが、様々な情報を統合すると、マザークリスタル:ドレイクブレスを有していたこと、鉄王国や北部諸国と数世紀に渡って戦闘をしてきたことなどは確からしい。

ヴァリスゼア(中)西部の小国の集まりだったものが、ヴァリスゼア西北部一帯を支配する強国となっているのだから、建国からどんな経緯を辿ったにせよ、公国が一定の繁栄を築いたのは間違いない。

そんなロザリア公国の最大版図が実現したのは、最後のロザリア大公エルウィンによる北部併合が行われた大陸歴854年の時だろう。

重要情報:北部併合は大陸歴854年

当時、北部諸国はマザークリスタル:ドレイクアイを失っており、北部から迫る《黒の一帯》から逃れるためにも、捨て身でロザリアに攻め入ったのだと考えられている。しかし、公国側は要塞フェニックスゲートを中心に防備を固めており、突破することが出来なかった。結局北部は内部分裂を経て、ロザリア大公エルウィンによる統治を受け入れることになる。

北部の首領、白銀公(シルバーメーン)は恭順の証として幼い娘を大公家に人質として差し出した。これがクライヴ、ジョシュア兄弟の幼馴染、ジル・ワーリックである。

ジル・ワーリック

また、大公は北部遠征の最中、群れからははぐれ、雪原の寒さに震える飢えた子犬を保護し、クライヴへの土産とした。これが今作最大の癒やし、忠犬トルガルである(犬ではなく氷狼だが…まぁこまけぇこたぁいいんだよ)。

トルガル(かわいい)

だが一方で、公国は854年に北部を併合するより以前に、首都近海に浮かぶマザークリスタル:ドレイクブレスを失っている。

ロザリス近海に浮かぶ「クレイク・ロイスト」を首都とする鉄王国は、過去数世紀にわたりロザリア公国と激しい攻防を繰り広げており、近年には彼らの国教、クリスタル正教において聖地とされているマザークリスタルの一つドレイクブレスを公国から奪うことにも成功している。

重要情報:公国がドレイクブレスの所有権を喪失したのは856年よりは前

実は、彼らの言葉の多くはゲール語やケルト語で翻訳可能、という興味深い事実があるのだが、ここでは一旦触れないでおく。

話をもとに戻す。大陸の北西部で公国が一進一退やっている間、大陸の反対側では都市カンベルがダルメキア共和国から独立を果たす。849年から約8年も続いた独立運動が、ようやく終着したのだ。

重要情報:カンベルの独立運動は849年~857年

これは自由都市カンベルの市民にとっては喜ばしきことだったが、風大陸の列強にとっては頭の痛いニュースだった。ザンブレク皇国、ロザリア公国、そしてダルメキア共和国は、市民革命によって王政を崩壊させたフランスの影響を抑えようとする18世紀ヨーロッパの対仏大同盟よろしく、国際秩序を維持しようと三国同盟を締結した。領内におけるこれ以上の独立運動を抑制することなどが目的とされたが、ロザリア公国としては失われたクリスタルの供給源を外交的に確保する意味合いもあったのではないだろうか。

重要情報:859年に三国同盟の締結

2-4.滅亡

854年に北部を併合し、859年に三国同盟を締結したロザリア公国は後顧の憂いを断った。これで、マザークリスタルを不法占拠するケルト人鉄王国との戦いに注力できる。

三国同盟締結の翌年、860年。大公エルウィンはフェニックスのドミナントであるジョシュアを引き連れ、フェニックスゲートを訪れた。

ロザリア公国では大きな戦の前には当代のドミナントがフェニックスゲート地下の遺跡まで詣で、天啓を受けるという儀式が存在していた。今回の訪問もジョシュアに此度の戦の天啓を受けさせる目的があった。

この後起きたことは、みなさんご存知の通り。

重要情報:860年ー《炎の夜》事件、起こる

《炎の夜》事件

皇国の工作兵、フェニックスゲートを襲撃
ロザリア大公エルウィン、死亡
フェニックスのドミナント、消息不明
ロザリア第一の楯(フェニックスの騎士)、消息不明
ロザリア公国軍最高指揮官マードック将軍、焼死
その他多くのロザリア兵、焼死or討ち死に
前代未聞の召喚獣、イフリートが登場
イフリートが暴走しフェニックスゲート焼失

悪夢のような事件の結果、ロザリアは一気に滅びの道を歩み始める。

フェニックスゲートで指揮系統を失った公国軍は鉄王国になす術なく敗れ、首都ロザリスは略奪された。女子供は連れ去られ、男は殺された。市民の多くはロザリスを捨て、各地へ放浪した。

重要情報:フェニックスゲート襲撃の直後、鉄王国による首都ロザリス略奪

ロザリスが国としての体制を整える暇も与えず、アナベラ大公妃はアナベラ神皇妃に変身を遂げ、ロザリア公国は皇国属領ロザリアへと名を変えることと成った。ここに、ロザリア公国の歴史は幕を閉じる。

重要情報:大陸歴861年、ロザリア公国滅亡

「ロザリア公国史:概説」完。

3.ロザリア公国史:外伝

ここからは公国史として取り上げるには不確実すぎたり、枝葉すぎたりする諸々を紹介していく。気軽に読み飛ばしてほしい。

3-1.ドミナントとロザリア公国建国

ロザリアの大公位を継承するドミナントはいつ生まれたのか。

…(中略)…
(「忘れじの血泥」から)100年後、初めて召喚獣が顕現した。召喚獣を宿す人間はマリウス教の神話に基づき、ドミナントと呼ばれた。「神の使者は最も驚くべき存在であり、圧倒的な(ドミナントな)存在である」。

The Deluge of Blood(忘れじの血泥):ハルポクラテスの備忘録
訳by俺

ベアラーとその祭祀集団が各国の権力者と武力衝突した「忘れじの血泥」は、ベアラー側の大敗によって幕を閉じる。ベアラーに対する差別的な扱いや共通貨幣「ギル」、そして現在まで大陸全土で利用されている「大陸歴」などについて取り決めた「大陸協約」もこのとき締結された。

ヴァリスゼアに初めて召喚獣が顕現したのはこの「忘れじの血泥」から100年後、つまり、大陸歴100年頃の話ということになる。

重要情報:ドミナントの登場は大陸歴100年頃の話

しかしここでは何のドミナントが出現した、とは書かれていない。よって、フェニックスの初登場がいつであったか、これは不明のままだ。

一方で、ロザリア公国に関する様々な文献には必ずといっていいほど「炎」や「フェニックス」が登場する。

これはあくまで可能性の話だが、小国乱立時代のロザリア地方にフェニックスのドミナントが現れ、その武威でもって一帯を支配した、ということは考えられないだろうか。

そして、その統治の正当性を証明するために、創始者の神話を必要とした…。

ありえなくはないだろう。

実は新興のウォールードは別として、ドミナントが国の統治者であるケースは珍しい。これは、ベアラー差別を決定づけた「大陸協約」が各国権力者の保身を目的としていた、という説から説明され得る。

各国の統治者は、ドミナントが圧倒的力を有したためベアラーに対する条項を適用せず、むしろ厚遇した。しかしそれはあくまで王に傅く戦略兵器としてである。王そのものを代替するものではない。自分の血統を守ろうという保身があったために、武力が強いからといって禅譲しなかったのだろう。

他方、ウォールードは外大陸からやってきたバルナバスが手勢を率い、武力でもって灰大陸の強国、ヴェルダーマルク王国を滅ぼしたことで誕生した。まさにドミナントの力による国盗りだと言える。

ドミナントが顕現したばかりの昔のロザリア地方で似たようなことが起きていたって、別に不思議ではない。

フェニックスのドミナントは炎の民(Motes of fire)の末裔から生じる。彼らはもともとはマザークリスタル:ドレイクブレスの守護者だった。火山島で暮らしていたのだろう。その一派が長い年月―空の文明や創始者の活動―を経て、ロザリス近辺に定住するようになり、やがて一族からドミナントが登場し、勢力を増強。周辺の小国を糾合し、大公を自称するにようになる。大公家は求心力を高めるため古の伝説を利用し、権力の正当性を担保する。小国の旧指導者たちは公国においては貴族となり、彼らの子弟はシールド(いわゆるフェニックスのナイト)に叙爵され大公を守護する。

詳細は不明だが、このように妄想する材料はある。とはいえ、このままだと無限に妄想し続けるだけになってしまうので、一旦はここで終わろう。

考察/妄想:ロザリア地方の小国を束ねたのはフェニックスのドミナント?

3-2.慰霊碑と創始者、アンバー村

創始者の活動拠点
我々全員が巧妙な叙述トリックに引っかかっていて、「創始者」は実は全然ロザリア関係ないとかでなければ、「ブナとハンノキの森を見下ろせる丘」てここ近辺なんじゃないか…?

ここからは崖下の森、そしてロザリスとポートイゾルデが一望できる。何故ここにパパンの慰霊碑があるのか謎だったが、公国の長い歴史と関係があるなら納得である。あるいは雪月花があった、マヌエの丘。あそこであれば、「ブナとハンノキの森を見下ろせる”丘”」の条件にも合致する。その他だと崖に該当してしまいそうでもある。

そこからほど近い場所に「アンバー(琥珀)」という名前の小さな村があるのもよい。琥珀は天然樹脂の化石であり、長い歴史や太陽を連想させる。もしかすると、創始者の活動の名残が、あの村だったのかもしれない。

まぁ実は英語版のロザリス城の説明に”Rosalith Castle, seat of the archduke, stands at the heart of the storied settlement”とあり、どうやら順当に首都であるロザリスが物語の中心地だったっぽいんのだが。でもロマンがないよ。何よりロザリスって丘か?あそこから森を見下ろせるか?という疑問が拭えない。ここはロザリス系豪族が自身の正当性を担保するために神話を利用したという説を主張していきたい。

以上をもって、「ロザリア公国史:外伝」としたい。

4.今後の執筆予定

書いてるうちに3万字を突破し、泣く泣く内容を縮小した。でも残った部分はどうしよう。とはいえ、今はとりあえず軽い考察がしたい。こういうの。

  1. リヴァイアサンの行方、神に背き者たち、大きな波

  2. 召喚獣の目

  3. アナベラにも一理ある説

  4. Youはなにしに不死鳥教団

  5. 作品のテーマ

  6. ベアラーの歴史、各国での扱い

  7. 大陸の歴史(年表付き)、ヴァリスゼア統一国家

  8. 各国の「敬礼」「驚き表現」

  9. ヴァリスゼア食紀行ー大陸の珍味ー

  10. 一攫千金を夢見た商人

  11. ヴァリスゼア文書紹介

  12. ロザリア第一の楯、シールド概念とクライヴ

  13. ヴァリスゼア国家のモデル

  14. ヴァリスゼアの宗教観

  15. メタ的評価とゲーム構成、ゴリゴリレビュー

こういうゲーム外でもゲームを楽しませるってのはホントRPGとして完成度高いなぁ、と思う次第である。スカイリム、エルデンリングでも実は個人的にはやっていたんだけど、記事にまでしたのはFF16が初めて。

おわりに

長い。長すぎる。想定の120倍は長い。これ読み切れた人いるのか。いたら教えてください。ここまで読んでくださり本当にありがとうございます。

次こそは軽めにしようと思う!もっと「考察」っぽいこともしたい。例えば「リヴァイアサン」とか「召喚獣の目の色」とか「神に背き者達」とか。

というわけで、『FF16』解説&考察シリーズは引き続き更新していく予定。今のところ週一くらいで更新するつもり。乞うご期待。

AUTOMATON記事の紹介

この120倍シリーズは私の趣味の産物であり、いちプレイヤーが好き勝手につらつら書いている解説・考察に過ぎない。内容の正しさは保証しないし、書きたいものを書いているので、乱文・長文になったりもするだろう。

一方で、たまに記事を書かせてもらっているゲームメディアのAUTOMATONには『FF16』に関する正確なニュースや、多様なライター陣による高品質なレビューなどが載っているので、気になる方は是非確認してみて欲しい。ちゃんと読みやすい長さになっているので安心してくれ。

120倍シリーズ

前回(Part1)「クリスタルはエーテルの塊じゃない」

次回(Part3)「リヴァイアサンと空の文明」

ー執筆中ー

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