見出し画像

コンクリートジャングルに捕われて

故郷を離れて、東京に出てきて随分と経つ。
1人暮らしには十分に慣れ、むしろ誰かと長時間いると居心地が悪くなってしまうくらいまで孤独が当たり前になってしまった。
連絡を取りあう相手も故郷の友よりも都会に住む友の方が随分と多くなり、母には「都会に染まってしまって」と嘆かれる。

でも、根っこの部分が田舎者であることには変わりなく東京育ちの人とは何かが違うという感覚がずっとある。
だけれど、今も地元で暮らす人々と私のように都会に出ていった人でもまた同じとは言い難く、常に自分が宙ぶらりんな立ち位置にいるような不安定さがある。
もちろん田舎から出てきている東京在住者なんて山のようにいるし、同じ境遇の友人もたくさんいるのだけれど。ふとした瞬間に自分の居場所に対する居心地の悪さを感じてしまうのはどうしてだろうか。


東京は楽しいまちだと思う。新しいものにあふれ、いろんな人がいて、私のように集団に馴染まなくても排他されずに生きていける。世間一般の当たり前に対する親戚や近所からの圧力から逃れて自由に暮らせる。

でも、どこか閉鎖的で寂しく、狭い空とビルの狭間に捕われている感覚に陥る。空虚で、孤独で、飾りだけの中身のない自分自身を問い詰められている気がしてしまう。


だから、定期的に何処かへ飛び出したい衝動に駆られる。どこかってどこだよって感じなんだけれど。ひとりで、知っている人に誰も合わない、日本を感じない、どこか遠く、遠くへ。


ああ、早く全てを忘れて海外へ飛び出せる日々が戻って来るといいなぁ。


旅することで自分や、孤独さは変わらないかもしれないけれど一時的にでもここから逃れられることがどんなに素晴らしいか。こういう状況になって改めて実感している。

ワクチンができてパンデミックが落ち着いたら、真っ赤に燃える朝日に照らされた砂漠を1番に見に行きたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?