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尽日小品

6
15分での小話集。
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メモリーバンクネオン

メモリーバンクネオン

私の友人の頼みで、銀行へ2人で行くことになった。1人だと心細いらしい。
銀行に行くのに心細いも何もないと思っていたが、入ってみてそれが分かった。
それはとてつもなく大きかったのだ。
何駅も乗り継いで行ったそこは、入った瞬間無数の人で溢れていた。

「1人だとなんだか負けそうだから」

そう言って照れくさそうに友人は笑っていたが、私は衝撃でそれどころでは無かった。
私は銀行に入ったはずだが、そこには

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極彩色ガラパゴスミステリー

極彩色ガラパゴスミステリー

私の眼前には、奇妙な鳥の画像が広がっていた。

「何これ」
「言ってただろう、お前の誕生日プレゼント」

どうやらこれは、私への贈り物らしい。
放課後の部室の壁一面に、所狭しと貼られている鳥の目が、こちらを見ている気がする。

「わざわざ用意してやったんだよ」

彼は嬉々として画像の説明を始める。

「これはガラパゴス諸島に生息していてだな…」

なるほど、どうやら珍しい種類らしい。話

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ペペロンチーノ大作戦

ペペロンチーノ大作戦

ペペロンチーノにフォークを入れた時に、宇宙戦争は始まった。
どうやら私の昼食のペペロンチーノが、この大戦のスイッチだったらしい。この食事をスタートさせると、人類には理解不能な著しく破壊力のある兵器が宇宙のどこかから地球に発射されるシステムが組み込まれていたようだ。
私は世界中の人間に責められ、責任をとらされることになった。
責任をとるっていったって、一体どうすればいいのだ。そもそも私なんかを探す暇

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不毛不変のオスティナート

不毛不変のオスティナート

幼稚園の頃からピアノを死ぬほど練習してきて、音大に入った今も死ぬほど練習している。

私自身は特に思うところもなく、むしろ面倒くさくてしんどいので辞めたいという思いが強かったのだが、どうやら母親がピアノに対して並々ならぬ思いを抱いているらしい。勉強も気が進まないし、私は誰よりも才能があってピアノが上手いのは事実なので、私の才能を活かす為にも未だに続けている。母親への孝行にもなり一石二鳥だ。

そん

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異心円の表示管

異心円の表示管

バイトで朝から粗大ゴミをひたすら回収していた時、集めたゴミの中の古いブラウン管テレビが、異様な音を出し始めた。画面が点滅を繰り返す。
突然のことに固まってしまった私の目は、テレビに映る男の姿をしっかり捉える。
映像は音声と共に独りでに動き出す。番組が普通に流れているかのように思うが、そんなはずはない。テレビ放送はとうにアナログから地デジに変わっているし、なによりこれは粗大ゴミだ。電気も電波もクソも

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ヒグマと私と稀有な人材

ヒグマと私と稀有な人材

『出身地 北海道 苫別郡苫別村
資格 第一種猟銃免許
自己PR ヒグマに対する愛には誰にも負けません。…』

募集された履歴書の束から、こんな経歴が現れた。
なるほど、すごい。本場仕込みの猟師だ。自分の目がこの文章を捉えた瞬間、おもわず手が震えた。
その履歴書に貼られている写真は、ごく普通の顔で、この人が道を歩いていても、誰もそんなことには気づかないであろうことが確信できた。今、この人の素晴らし

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