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1gの思春期

思春期とは、身体の成長に心の成長が追いつかず、だれもが不安定な気分になりやすい時期です。 「私は何なのか」「私はどう生きたらいいのか」などと自分に直面し、 自分を見る「もう一人の自分」が意識されるようになります。

福島県ホームページさんより

生きづらい世界。
この具現化できない苦しみも、枕を濡す夜も、
こんなにこんなに辛いのに、全部「思春期だから」のひと言で片付いてしまう。

「お前だけが特別じゃない」
「みんなだって、思春期の中頑張ってる」
「なんでお前だけが頑張らないんだよ」

みんなおんなじ立場にいるのに、みんなは今日も学校へ行っている。
みんなも毎日何かと戦っていて、私よりも苦しんでいるかもしれない。
それなのに、私は毎日家で勉強をするわけでもなく、ただ時間を無駄に潰している。

深夜に目覚めて、ひたすら朝日が昇るまで天井を見つめる。
何を考えているのかは覚えていない。
ただただ不安や憂鬱に溺れるだけ。
やっと身体を動かせても、何もしない。

わたしは、そんな私が大嫌い。
1gの思春期にも勝てない、そんな私。
きっとみんなは今日も思春期と戦っている。
私は戦うことを諦めて、無駄に周りの重りになってる。

なのに私は欲張りだから、「青い春を過ごしたかった」なんて嘆いて周りを妬んでしまう。

羨ましい、羨ましい。
ずるい、ずるい、ずるいよ。
みんなずるい。


春は心が思い出す。
毎日死にたかったあの黒歴史を、
必死にしまい込んでいたトラウマを、
酷く歪んだ、大好きな小説の活字を。

丁度3年前が始まりだったかな。
あんなに辛かったのに、記憶の輪郭がぼやけるのは、私自身が忘れようとしているからだろうか。
覚えているのは「うざい」のひと言と、ただただ死ねないでいた日々。
何にもやる気が起きなくて、空っぽな心を食べることで埋めていた。
薬のせいで20時間前後寝ていたことも珍しくなかった。
窓の外の景色が朝日なのか夕日なのか分からなかった。
(こんな書き方すると悲劇のヒロインぶってるみたいだが、実際はそんなことないし私よりももっと病状や環境が悪い方の方が多い)

時間の止まった毎日が進んでいくのが怖かった。
大好きな小説が読めなかったのが悲しかった。


私は、未だにあの日々を思い出せないし、腕の傷は消えない。
けれど、生きている。 思春期と戦っている。

いまこのエッセイを読んでくれている、見えない何かと戦っている貴方。
がんばれ。
貴方は独りじゃないから。

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