映画ヒノマルソウル〜舞台裏の英雄たち〜感想
この感想は途中からネタバレゾーンに入ります。
まだ観ていない方は是非そこでUターンして劇場に足を運んでいただけると幸いです。
映画をみてこんなにも泣いたのは初めてだ。
途中から流れる涙をぬぐうのも忘れ、ひたすらにボロボロと泣き続けた。
もし周りに人がいなかったら子どものようにしゃくり上げていただろう。
自分でもひくほどに泣いた。
トイレの鏡に映る自分のTシャツは、はたから見ても分かるほどに濡れていた。
この映画の凄いところは、主人公だけではなく出てくる人々それぞれにドラマがあり、色んな人の思いに胸が熱くなるところ。
誰の視点に立っても共感できる。
テストジャンパー、選手の家族、監督。
それぞれが色んな思いや、葛藤を抱えて生きている。
みんなの思いが自分や人々を奮い立たせて、結果あの感動の金メダルにつながる。
しかもそれはフィクションではなく実話なのだ。
人は誰かに支えられて生きている。
そして誰かを支えることで生き甲斐を感じられるのかもしれない。
映画を観終わった後、ものすごくスッキリとした気持ちになり、感謝の気持ちを忘れずに、前を向いて歩いていきたい。
そんな風に思えた。
老若男女どんな人にでも見やすくて、色んな視点で感動できる、そんな映画だった。
ここからはネタバレあり。
未鑑賞の方は進まないことをお勧めします。
映画公開までの軌跡をご覧になって映画館に足を運んでいただければ幸いです。
▼映画館公開までの軌跡はコチラ
ここからネタバレ
↓↓↓↓
誰もが知るあの栄光の裏には、誰も知らない25人のテストジャンパーたちが起こした、奇跡があった−。
長野オリンピック・ラージヒル団体の金メダルの裏側にあった感動の実話。
リレハンメルオリンピック。
原田のジャンプの失敗で銀メダルに終わったスキージャンプ団体。
自分の失敗を悔やむ原田選手に、優しい声をかける西方選手。
家に帰って来た時、迎えてくれた奥さんの前で悔しさが溢れ涙するシーンから、もう涙腺が緩んでいた。
西方役の田中圭さんの子供のような泣き顔と、それをまるっと包み込むような強い芯を持った妻の幸枝さんを演じる土屋太鳳ちゃんの表情がとてもよかった。
度々出てくる夫婦のシーン。
怪我で思うようにいかず苛立ちや不安を抱える西方さんに対して幸枝さんがかける言葉。
冷たくも聞こえる言葉の中に、相手を思いやる気持ちや全力で支えると決めた強さが伝わってきた。
幸枝さんといる時の西方さんはどこか子供のような表情で、心から幸枝さんを信頼しているのが伝わってくる。
あんな人が隣にいてくれたら安心できるんだろうと感じた。
信頼関係のある圭さんと太鳳ちゃんだからこそ出せる空気感に何度も心を動かされた。
不本意ながらもテストジャンパーを引き受けた西方さん。
田中圭さんの言葉を借りれば、ずっとクヨクヨしている主人公。
ずっと金メダルだけを見てきた人が、そんなに簡単に立ち直れるわけがなくずっと悩み続ける人間らしさに共感出来る。
集まってきた仲間たちの熱い思いや葛藤に触れていき、少しずつ変わっていく心の変化を大げさでは無い微量な表情の変化で表現していく圭さんの演技。
原田選手に酷い言葉を投げかけてしまった時の表情も物凄くリアルだった。
圭さんが演じた事で、西方さんの根底にある温かさや優しさが伝わって来た。
だからこそ、感情移入しすぎて終始苦しかった。
「テストジャンパー25人全員が無事に飛べたら競技を再開する」
一人でも失敗できない状況の中、選手たちに道を作るために命がけでジャンプするテストジャンパー達。
一人ひとりにかかるプレッシャーを想像するだけで胸が張り裂けそうになった。
南川、小林、高橋それぞれのジャンプシーンも感動的で、高橋のシーンの時に音が消え、聴覚障害のある彼の目線になるところ、着地した後の台詞・・・表情、涙腺崩壊の瞬間でした。
このシーンに至るまでの高橋演じる山田裕貴くんの演技が本当に良いのだ。
いつもみんなを和ませるムードメーカーだけれど心の奥に秘めた苦しさが時折垣間見える儚さ。
だからこそこのシーンでこんなにも涙が出たんだと思う。
みんなのジャンプによって心が動いた西方の決意の表情とジャンプには鳥肌もの。
25人みんなで切り開いた競技再開。
こんなドラマが目の前で繰り広げられている事を全く知らない観客たちが「なんでテストジャンプばかりしているんだ」とぼやいている様子。
インタビューの時に西方選手が「ジャンプが成功した後、小さくガッツポーズが出来た。誰も見ていなかったけれど」と言っていたけれど、命懸けで日本の金メダルへの道を開いている人たちの存在を、目の当たりにしている人さえも誰も知らなかった事実に驚いた。
挿入歌の入ってくるタイミングも、ものすごい良かった。
原田選手がスキージャンプを続けてきた理由、笑顔の奥に隠された想いにも涙が止まらなかった。
凄く辛い道のりで、物凄いプレッシャーだっただろうな。
実話というのを忘れるほどの凄いドラマだった。
映画を観てからというもの、原田選手の笑顔を見るだけで泣けてくる。
西方さんが息子からもらった金メダル…のシーンでは危うく嗚咽が漏れるところでした。
私の肩の揺れ半端なかったはず。
そんなこんなで中盤ぐらいからずっと泣き続けて迎えたエンドロール。
色んな写真にホッコリした後に出てくる実在のテストジャンパーの人たちの写真。
そして映画の最後に出てくる文字。
私たちの見ている栄光の裏にはそれぞれのドラマがあって、沢山の人に支えられて輝いている人がいる。
そして支えている人たちも色んな思いや誇を持っている。
それはスポーツだけではなく、どんな状況にも当てはまる。
自分も誰かを支えたいし、支えてくれる人に感謝したい。
観た後すごく前向きな気持ちになれるすばらしい映画だった。
この映画をずっと支え続けてくれた舞台裏の英雄たちに感謝の気持ちを伝えたい。
どうか沢山の人に届きますように。
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