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レポート|会津産漆で金継ぎ体験Vol.2

スペース・アルテマイスターで開催された漆作家 村上修一さんによる金継ぎ体験の2回目が12月に行われました。

前回の様子はこちらから。
レポート|会津産漆で金継ぎ体験Vol.1

漆芸作家 村上修一さん

10月に行われた前回、割れたり欠けてしまったりした器を、小麦粉と漆で煉り合せた「麦漆」で接着させていきました。
およそ2カ月、たっぷり時間をかけてしっかりと乾燥されました!今回はその器たちに装飾していきます。

01.下地づくり
まずは、貼っていたテープをはがしていくところから作業がスタート。

麦漆は硬化に時間がかかるそう。漆が乾きやすい条件の場所に置いておいてくださったお陰で、触っても全く動きません!

はみ出した麦漆をカッターで削っていきます。初めての作業にこわごわと手を動かします。

02.研磨
紙やすりを使って表面をなめらかにしていきます。ここでの作業が仕上がりの出来を左右するそうです。

削りすぎないよう慎重に…

紙やすりに水を付けて丁寧にやすっていくと、つるつるとした手触りになってきました。

03.漆を塗る
継ぎ目のところに筆を使って漆を塗っていきます。今回は、会津若松市内の山に植樹した漆の木から採れたものを使用しています。

実はこちらの会津産漆、私たちアルテマイスターの大先輩方が約50年前に
市内の黒森地区の方へ依頼して植樹されたもの。試行錯誤を重ね、今では漆が採れるまでに育った漆を大切に使わせていただきました。

貴重な漆を使わせていただきました

通常は蒔絵筆という毛先がとても細いものを使用するのですが、初心者の私たちは小筆でチャレンジ。

漆の色も空気にふれた表面から黒く変わっていきます

まずは比較的易しそうな、欠けた部分を埋めたお皿から取り掛かってみました。表面に漆を塗っていきます。厚く塗りすぎないように注意しながら進めます。

手元が震えてなかなか難しい…。

次は、継ぎ目をした器。継ぎ目部分は細さ1㎜弱ほど!太さを均一にひき、再び湿度のある箱にしまって40分~1時間程度、乾かします。

すぐに仕上げていきたいところ、乾いていないと粉が沈んでしまうそう。しかし、逆に漆が乾きすぎてしまうと粉が乗りません。その見極めも難しいところ。

自然素材である漆は、たっぷり時間をかける場面が多々あります。この乾かしている間、漆芸を生業にする職人さんは決して休んでいるわけではありません。同時に様々な工程を進めているのだそうです。漆の乾く具合に左右される気の抜けない作業です。

04.金属粉を蒔く
いよいよ、金継ぎの醍醐味である粉を蒔く作業です。今回は金属粉を真綿を使って蒔いていきます。

見ているだけでも気持ちが上がります

たっぷりと金属粉を真綿に付けて器に乗せます。継ぎ目のまわりを優しく、くるくるさせていくと…

空気中にも粉が舞ってキラキラと。

継ぎ目に綺麗な金色が浮き出てきました!

よーく見ると研磨の行き届かなかったところが凸凹に…。難しさを実感。

05.仕上げ・・・
金属粉を蒔いた後はまた乾燥させます。この後に続く、最終的な仕上げの工程は村上さんに委ねることになります。

参加者の方が持ち寄った、欠けても捨てられない大切な器たち

今回の金継ぎ体験で持ち寄られた器は、漆器や陶器、木目の器など様々でした。しかし金属粉を蒔くと、どの器も金色が映える出来栄えに皆ほれぼれ。

村上さんも「金はどのような器に施しても高級感を出してくれる」と話されていた通り、金で彩られたことで特別な器に生まれ変わったかのようでした。

・・・
2回に渡りご指導いただいた講師の村上修一さん、本当にありがとうございました。たっぷりと時間をかけて直した器は再び大切な宝物になりました。