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ドバイでハイエースに詰め込まれかけた話

今から3年くらい前の冬、ドバイに旅行に行った。ドバイは中東の中でも裕福で、治安が良くて、世界一のものがやたらある国だ。イオンの300倍くらいあるショッピングセンターがいくつもあったり、真夏でもスノボができる施設があったり、やたらと高いタワーがある。登るだけで1万5000円くらいかかる。なんでもありそうな国なのに、歴史だけがほとんどない。資料館に行ったら1950年までは真珠の養殖が盛んだったけれど、三重の鳥羽に負けた。って書いてあった。その後突然石油が出るようになったとかで、砂漠や真珠を採ってる写真から突然1960年以降はビル群の写真に変わってた。

その日はバスタキアという歴史保存地区を見て、なんだかハリボテみたいな街だなと思って、川を渡ろうと船乗り場まで街を歩いていた。ここ数日は治安のいいショッピングセンターあたりを散策していたから気にならなかったけど、なんだか街の雰囲気が悪い。治安が悪そうな予感がする。スークという市場を通った時も、店を見ていかないかと腕を掴まれたりした。足早にスークを後にして、でも船乗り場に全く人がいなかったから、ついうっかりガイドブックを開いてここであっているのか確認してしまった。すると道に迷っていることにすぐに気づかれて、現地の若い男性5〜6人に囲まれてしまった。20ドルで川を渡してあげるよ!だって。

船、片道1Dhだよ!?つまり30円。20ドルって、2200円じゃん。逃げなきゃ…と思ったら向こうにハイエースが見えてそこからさらに何人もの男が降りてきて車に乗れ、と言ってくる。ヤバイ、絶体絶命!!片側は川だから逃げられないし、車に乗せられたら20ドルじゃ済まないかもしれない…!

本当にヤバくなると人間知恵が働くもので、男たちに勘づかれないようしばらく一緒に車に向かって歩き、桟橋が見えたところで思いっきりダッシュして桟橋の先に停まっていた船に飛び乗った。すぐに追っ手が来たけど、この船は国営のものらしく船の係の男性が追っ手の男たちを止めてくれた。

助かった…。目的の船とは違うけど、少し遠回りするだけで行き先は同じだった。良かった…。

船が出港して、助けてくれた船の係の人が何か英語で話しかけてきたんだけど、何言ってるかわかんなくて、たぶん出身の国を聞かれているかな…?と思ったので、「……………ジャパン…」とだけ答えた。助けてもらったお礼も言えず、船が向こう岸に着くまで、無言で船に乗って川を眺めた。

帰国してから、せめてお礼くらいは言えないとと思って、英会話をはじめることにした。


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