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追悼。愛しのバートへ。

バート・バカラック氏が亡くなられましたね。
享年94歳だそうです。
僕の大好きな音楽家の1人でした。
本当に愛していました。笑

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彼との出会いは、やはり映画です。
あの頃の10代の僕も、
還暦を迎えようとしている今の僕も、
いまだに一番好きな映画と言って憚らないのが、
かの名作『Butch Cassidy and the Sundance Kid(邦題:明日に向かって撃て)』なんですね。w
ポール・ニューマン
ロバート・レッドフォード
ジョージ・ロイ・ヒル
バート・バカラック
このカルテットが生んだ奇跡のような映画は、
当時「ニュー・シネマ」と呼ばれ、
それまでにない感傷的で刹那的な全く新しい世界観を生み出しました。
その映画はやっぱり初めて観る感覚だったし、
今観ても、初めて観た時の切ない感覚が鮮明に蘇ります。

この映画の公開は1969年ですから、僕はまだ小学生になったばかりでしたから、もちろんリアルタイムの経験者ではありませんでした。
でも中学生の頃に、
母親がポール・ニューマンのファンだということもり
金曜ロードショウかなんかで観て以来、
一発でロバート・レッドフォードファンとなってしまったのでした。笑
レッドフォードの映画を観まくり、
「ロードショウ」や「スクリーン」などの洋画雑誌を毎号買い、
レッドフォードの写真集や洋画の名セリフ集などを購入するほど洋画に夢中でしたね。笑
そして、高校生の時には、名作のリバイバル上映などをしてくれてた祇園会館でのリバイバルロードショーなどもあり、お小遣いを叩いて4回も観に行ったくらい好きな映画でした。

そこで初めて出会った映画の主題歌として夢中になったのが、この映画の主題歌『Raindrops Keep Fallin' on My Head(雨にぬれても)』だったのですね。
このバカラックの音楽は、とても美しいシーンでの挿入歌として僕の前に登場しました。
シングルレコードを買って、何度も何度も聴いてた記憶があります。w

有名なこの歌のシンガーは、B・J・トーマスですが、
実は、バートがピアノを弾き、本人が歌ったこの曲の生演奏を一度だけ観たことがあるんですね。w

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僕がまだ20代の頃。
1985年か86年か。
カリフォルニアに憧れていたまだまだ若造の僕は借金をしてLAへ3weeksの旅行にいきました。
その時はまだ珍しかったタワーレコードに行ったり、ベイグドポテトというライブハウスでライブを見たり、名も知らぬ中古レコード屋に入ってたんまりレコードを買い込んだり、結構毎日音楽寄りの行動を企てた旅でした。

そんなLAのとある夜のこと。
イベントなどが載ってる新聞みたいなガイドペーパーみたいなものがあってね。
それをホテルの部屋で何気に読んでたら、明日ロス郊外の(確かハリウッド・ボウルだったと記憶していますが)野外ステージでディオンヌ・ワーウィックとバート・バカラックのジョイント・コンサートがあると書いてありました。
インターネットもない時代ですからね。
英語で埋め尽くされた情報紙の中で偶然目に飛び込んで来たイベント情報。
これはもう「観に行きなさい!」とLAの神様が言っているんだと思い、翌日の夜に野外ステージ会場にタクシーで乗り付け、窓口で当日券を購入してそのコンサートを観ました。

観に来ている人たちはみんな大人で正装。
野外音楽堂なのにディナーショウのような感じでした。
すり鉢状の会場では当日券で入った僕らはステージからは遥か彼方の最上段。
そこから見下ろすコンサートの風景はまさに大人のエンターテインメント・ショウでした。
ちゃんとバンドやオーケストラの奏者のソロプレイや大きな感動の演奏の後にはちゃんとオベーション。
「ああ、これが本場のエンターテインメントの楽しみ方なんだ」とすごく感動したことは今でも鮮明な記憶です。
そしてなによりもバート・バカラック本人がピアノを弾きながら歌う『Raindrops Keep Fallin' On My Head』は、映画『明日に向かって撃て』が昔も今も一番好きな映画だと言い張る僕にとっては夢のような時間でした。
もちろん、LAの夜空に溶けるディオンヌの歌声は圧巻で甘美で、まさにプロフェッショナルなボーカリストの見本のような佇まいで僕らを魅了したのはいうまでもありません。

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あれから約40年。
後にも先にも、海外で僕が観たコンサートはあれ一度のみとなりました。
LAの夜の匂いと共に、いつまでも僕の心に流れ続ける彼のピアノと歌声は、青春の思い出たちの中でも色濃く燦然と際立つ存在となっています。

そして僕もかなりの大人になリました。
ということは、バートもかなりのさらに大人になっているということです。僕に大人のエンターテインメントを教えてくれた彼の音楽は、僕のクリエイションにおける様々なシーンやエポックにおいて、大きなインスピレーションの源泉となってくれていたと思います。

感謝を込めて、お別れの言葉を心ひそかに贈っておこうと思います。

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あの映画以降も、彼は多くのヒット曲を世に残しました。
特に80年代にはキャロル・ベイヤー・セイガーとのコンビで、数々の名曲を世に残しています。
そんな中でも印象的な名曲をご紹介しておこうと思います。
1986年作品。バカラック&キャロル・ベイヤー・セイガーのライティングコンビによるグラディス・ナイト、エルトン・ジョン、スティーヴィー・ワンダーとの共演作「愛のハーモニー」。
しっとり柔らかく、噛み締めたいと思います。

Dionne Warwick & Friends - That's What Friends Are For




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