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虹、好きですか?

「虹」が嫌いな人っているのかな、と思います。
雨上がりの晴れた空に大きくかかった虹を見ても、
心が全く動かない人はいるのでしょうか。

日本に住んでいると、虹にお目にかかる機会は、
それほど頻繁ではありません。

大阪にある民間の気象予報会社が「虹予報」という、
全国の虹の出現予報サービスを提供しているようですが、これは、日本で虹が珍しいものだからこそだと思います。

この「虹予報」のサイトには、そんな日本でも虹が出現しやすい場所として、滋賀県の琵琶湖エリアと北海道の美瑛エリアのふたつが紹介されていました。

①雨上がりにすぐ太陽が出ること(一時的なにわか雨が多いなど、天気が変わりやすい地域であること)、
②視界の開けた地形、
などが虹の出現のしやすさと関係あるようです。


さて、そんな日本と対照的に、
ハワイでは本当によく虹が見られます。

そのため、別名「レインボー・ステイト(虹の州)」と呼ばれ、車のナンバープレートや運転免許証にも虹が描かれているほど。

画像出典:https://www.thecarconnection.com/news/1089576_wyoming-hawaii-have-americas-favorite-license-plates-delaware-not-so-much
画像出典:https://www.flickr.com/photos/63057306@N04/8090840356

琵琶湖や美瑛と同じくハワイでは天気がコロコロと変わりやすく、突然にわか雨が降ったかと思うと、すぐ晴れ間が広がります。

その雨を降らすのが、一年中吹き付けている「貿易風(トレード・ウィンド)」と呼ばれる海からの湿った風です。これがハワイの島々の山にぶつかって上昇気流となり、上空で冷やされると雨が降るのです。

とても面白いのは、虹が出ても、地元ハワイの人は全く喜ばないこと。
空をチラリと見上げることさえしません。

彼らにとって虹はごく当たり前の日常の一部に過ぎません。
ハワイで虹を眺めていたり、写真を撮っていたりする人は、ほぼ100%旅行者か、州外からの来訪者と考えて間違いないでしょう。


そして、虹がハワイのシンボルとなっていることには実はもうひとつ、重要な意味があります。

ハワイは、もともとこの地に暮らしていたハワイアン、
その後やってきたヨーロッパやアメリカの人々、
中国や日本、東南アジアにルーツを持つ人々までが
一か所に集まり暮らす「多人種エリア」です。
そんな多様性を持った人々によって形作られるハワイの社会を象徴するものが、幾つもの異なった色の光が重なり合ってできている「虹」だといわれているのです。

多彩なバックグラウンドを持つ隣人とともにある暮らしは、ハワイの人々にとっては虹同様に当たり前のもの。

一方で、多彩な人種が作り上げた、食べものを始めとするいわば"ごちゃまぜの"ハワイアンカルチャーは、そのユニークさで訪れた人たちを魅了してやみません。
多くの旅行者がハワイの虹に感動を覚えるように、です。

雨上がりの空にかかる二重の虹。
ダイヤモンドヘッドからワイキキ市街地方面をのぞむ

最後に、僕が過去に書いた文章から、日系ハワイ移民の子孫が僕に聞かせてくれた話を改めて紹介させてください。

「ハワイには、狭い土地に、世界各地から別々の考えや価値感を持った多様なルーツを持つ人々が移民し、集まり住んできた歴史がある。そんな土地で、人々が自分たちと異なる文化を持った相手を不快に感じて拒絶し、争ってしまうようなことがもしあったとしたら、僕らの社会は成り立っていかないと思う。ハワイの人々が他者にいつでも笑顔で接するのは、『私はあなたを受け入れます。敵ではありません』という意志の表われなんだ」

ここで語られているハワイの人々がしばしば他者に向ける笑顔は、まるで、雨上がりに青空にかかった巨大な虹のように素晴らしく、私たちをそれはそれは幸せな気持ちでいっぱいに包み込んでくれます。

ハワイの虹の姿は、ハワイの人々のこころの在り方そのものにもとてもよく似ているように僕には思えるのです。






















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