chatGPTにテストは作れるのか?
さてさて、最近話題のchatGPTについての話。
chatGPTのもたらす影響は計り知れない。読書感想文や作文、大学のレポート、就活のESまでもあまり意味をなさなくなってくるんじゃないだろうか、などと思う。先日の東大の入学式の総長式時でも言及がなされたほどである。
テストの作成を行う私の働く会社でも、活用してみようかということになり、どんなものに活用できるのか模索している最中である。
実際に使ってみた所感としては、確かに便利である。特に国語の問題では、聞き取り問題の台本の作成、会話文が中心の読み取り問題における会話文の作成、また、作文問題の模範解答の作成なんかにはもってこいのようであった。これらは本文の内容を読み取る読解問題とは異なり、一からストーリーを考えなければならず、そしてむしろ問題よりもストーリーの検討に案外時間のかかるものたちだ。完全オリジナルなわけである。効率化のためにchatGPTを活用するというのはありなのかもしれない。
では、読解問題はどうだろうか?
実は本文を打ち込んで、要望を伝えれば、概ね要望に添った作問もできてしまう。選択肢なんかも作れるのだ。執筆者が足りず毎日頭を悩ませている私の課では、いっそchatGPTに任せてしまうのもアリではないかという話にもなった。
しかし、ここで問題なのは、できるかできないかではなくて、それが良いのか悪いのかという話である。つまり、chatGPTが作った問題に教育的価値はあるのか、という話である。
国語のテスト問題の作成は簡単である。
接続詞を抜いて、空欄にしてしまえば、それで一問出来上がるからだ。それっぽい語を抜いて選択肢を作ればさらにもう一問出来上がるからだ。本文にある内容をそれとなく並べ、それとなく誤りを紛れ込ませれば、さらにもう一問できるだろう。
難しいのは、それが教育的価値を持つものかどうかである。どこでも接続詞を抜けば良いというわけではない。目に留まった単語を抜けば良いというわけではない。適当に誤文を作れば良いというわけではない。
これを解いた生徒に本文から何を読み取ってもらいたいのか、そして何を学んでもらいたいのか、どんな力を身につけて欲しいのか、国語の問題は、素材文の選定から選択肢の執筆にいたるまで緻密に考えられて作られている。それは執筆者の想いなのだ。
そんな作問がchatGPTに可能だろうか?
私は駆け出しのテスト執筆者である。執筆も遅い。ミスもある。まだまだ課題は多い。
でも問題に対する、そして問題の先にいる子供たちに対する想いはある。そのために日々勉強をしているのである。
chatGPTにテストはつくれるのか?
答えは、作れる。でも私はどこの馬の骨かもわからぬchatGPTに読解問題の作成を任せるのは反対だ。
これが私の、問題執筆者としての矜持。
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