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【薬剤師が解説】夏場のかゆみに最適な市販薬の選び方

いつき博士です。
アレルギー患者教育向けサイト
アレルギー患者専門オンラインドラッグストア
を運営しております。

夏場になって
『また、あせもが出てしまった』
『汗をかいて皮膚が痒くなるな』
そんな悩みを抱えている方もいるでしょう。

その皮膚の症状
本当にあせもと決めつけて良いでしょうか。

今回は
夏場に使用できる市販薬を中心に
アトピー性皮膚炎とあせもの
違いと見分け方についても勉強していきます。


1.それぞれの特徴

1-1.アトピー性皮膚炎

一般的にはアレルギー反応や
肌のバリア機能の低下による乾燥
によって
炎症、かゆみを伴う皮膚の疾患とされています。

湿疹は左右対称性に現れることが多いです。

冬場は乾燥によって
夏場は汗や汚れ、紫外線によって
症状が悪化することがあります。

<アトピー性皮膚炎と紫外線>


1-2.あせも(汗疹)

汗腺の閉塞によって
汗が皮膚に閉じ込められ
赤みを帯びた湿疹が多発する疾患で
乳幼児や発汗の多い方に好発しやすいです。

寒冷な地域で過度に厚着をしている人でも
あせもが発生する可能性があります。

症状は一般的に1~2 mm大の痒みを伴う
赤みのある湿疹を多発することが多いです。

好発部位として背中,腕や脚の屈側脇、首
汗腺が多く汗をかきやすい部位が示されています。

2.見分け方

基本的には他の部位の皮疹の存在や
性状の観察と経過に関する問診などが
鑑別に有用とされています。

アトピー性皮膚炎は乾燥による痒み
慢性的に症状を繰り返すことが多いです。

汗疹は肌を清潔に保つことで
数日から数週間程度で
良くなることが多い
とされています。

OTC医薬品などで
すぐよくならない場合や繰り返す症状は
アトピー性皮膚炎や他の皮膚疾患の可能性も
疑いましょう。

3.治療方法

3-1.アトピー性皮膚炎

①薬物療法
②スキンケア
③悪化因子の検索と対策

アトピー性皮膚炎の際は
基本的には病院へ受診して
医師の判断の基、薬物療法を行います。

薬物療法では
ステロイド外用剤や
免疫抑制薬のタクロリムスの他に
かゆみを抑えるアレグラなどの
抗ヒスタミン薬が用いられます。

その他にも
漢方薬、リンヴォックなどの
JAK阻害薬などが使用されます。

近年では
デュピクセントやミチーガなど
注射(生物学的製剤)による治療もあります。

また、毎日の保湿の他に
ストレスやアレルギー物質などの
悪化素因を除去
することも大切となります。


3-2.あせも(汗疹)

家庭でのスキンケアで予防し
軽症のあせもに対しては、
OTC医薬品でセルフケアすることも可能です。

一部抜粋して下記に示します。


【あせもに使用できるOTC】

①リンデロンVsローション
赤みや湿疹が多少強い方へ。
医療用と同成分配合しており
ローションタイプで夏場に使用しやすい。

コートf MD
刺激感が少ない軟膏タイプで
小児や乳幼児にも使用可能です

メディクイックH
スポンジヘッドで幹部に使用しやすく
メントール配合により使い心地が良いです。

頭皮に使用する際は
ダイレクトノズルタイプの
メディクイックHも使いやすいかもしれません。

【ノンステロイド】
子供のおむつかぶれにも使用可能
・ポリベビー
・ムヒ・ベビー

発疹が生じたら、
ステロイド外用剤の
クリームまたはローションを
使用
することもあります。

ときに少量のメントールを
加えることもあるようです。

細菌感染を伴う場合(化膿)や
皮膚の状態(ジュクジュクしている等)によっては
抗生剤含有の軟膏を使用
することもあります。
ex)フルコートf、ベトネベートN軟膏AS

5日間程度使用しても
全くよくならない際は
受診をお勧めします。

薬以外では、
患部を冷却して乾燥させ
発汗を促す条件を回避して
空調環境が理想的とされています。

4.いつき博士の考察

アトピー性皮膚炎も汗疹も
皮膚を清潔に保つことが重要です。

あせもだと思って軽く見ていたら
アトピーだったということもあります。

市販の薬でも治らない場合や
症状の悪化や何度も繰り返す症状であれば
すぐに皮膚科への受診
をお勧めします。

《参考文献》
アトピー性皮膚炎ガイドライン2021
MSDマニュアル プロフェッショナル版 汗疹
マルホ 塗り薬の蘊蓄