現代文・小論文 専科塾 アレゴリア

関西学院大学院卒。院生時には家庭教師や大学非常勤講師を経験。院卒後に中学入試塾で国語,…

現代文・小論文 専科塾 アレゴリア

関西学院大学院卒。院生時には家庭教師や大学非常勤講師を経験。院卒後に中学入試塾で国語,予備校や塾・私立中高一貫校・公立高校で高卒生や高校生に現代文や小論文を指導。また,入試問題や模試問題・教材作成業務,推薦・AO入試や就職のための志望動機書・自己PR書作成ガイダンスも担当。

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【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・13/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問について

改めて問うー現代文講師は詩を愛しているか  ここまで読んでくださったかたは、ついつい口走ってしまうでしょう、 と。そうして、こうつづけさえするのかもしれませんー  …なるほど、それは、あながちあやまりとはいえないのかもしれません。  しかし、わたしも現代文講師のはしくれです。言い訳させてください。元凶は大学入試センターです。かれらの作問にこそ、問題がある。わたしたち講師に責任がある、というわけではありません。 共通テストに詩への愛など要らない  つまり、「【大学入試

    • 【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・12/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問6 (ⅱ)について

      偶然か必然か  問6の(ⅱ)のほうは、エッセイ「永遠の百合」の表現について説明する選択肢から、最適なものをえらぶ問題です。 【選択肢】 ・選択肢①の「第4段落における『たった一つできないのは枯れることだ。そしてまた、たった一つできるのは枯れないことだ』」が「対照的な表現」だというのは、「できない」と「できる」や「枯れる」と「枯れない」が「対照的」だということでしょう。  そして、そうした「表現によって、枯れないという造花の欠点が肯定的に捉えられている」とは、「枯れない」と

      • 【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・11/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問6 (ⅰ)《選択肢b》について

        「詩は『構造的』なもので はない 」ある 【問6】  前回は、問6(ⅰ)の選択肢aをみていきました。今回はbのほうをチェックしていきます。  ただし、そのまえに、空欄bの正答を導くには、第2連以降で、「第1連に示される思いを」、どう「捉え直している」か、考える必要があったことをおもいだしましょう。  そこで、最初に、「第1連に示される思い」とはどのような思いなのか、おさえておきます。そのうえで、そうした「思いを」どう「捉え直している」のか、選択肢を吟味していくのです。  

        • 【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・10/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問6 (ⅰ)《選択肢a》について

          topos(場所)こそtopos(論点)だ−その表現はどこでつかわれているか 【問6】 この問題は、表現説明問題になっています。  (ⅰ)は、詩「紙」の表現にかんする説明文の空欄補充問題です。その空欄をふくむ一文は、 となっています。  この一文から、空欄aのほうは、「対比的な表現」とともに「用い」られた表現技法を答えればよいとわかります。  ただし、その「対比的な表現や( a )を用いながら」という部分が、「第1連に示される思いを( b )に捉え直している」という部

        【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・13/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・09/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問5について〈後篇〉

          冷めるとは熱くなくなることである–このことが理由となる理由とは何か…(なんでもかんでも書くとおもうなよ) 【問5】  前回の「【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・08/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問5について〈前篇〉」をおさらいしておきましょう。  そこでは、まず、この問5が「私」が「さめる」理由をたずねていることをおさえました。そして、傍線部直後から、〈死なないものはいのちではないので、じぶんが永遠をめざした作品も、短い期間読まれればよい

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・09/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問5について〈後篇〉

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・08/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問5について〈前篇〉

          理由なき心情はない(はずだ)し、明示された原因が根拠になる(はずだ…) 【問5】  「私はさめる」という心情の理由をきいています。  問2とおなじく、理由を求めてはいる。しかし、問2とは違って、心情にかかわるこのような問題には、2つのポイントがあります。  1つは、その心情を説明すること。  もう1つは、その心情のきっかけとなったできごと、または、その心情がかかわっているものごとを説明すること。  以上の2つが正答の条件になるのです。  とはいえ、この問題は、根拠をみつけ

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・08/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問5について〈前篇〉

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・07/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問4について

          存在とは非-在で はない ある 【問4】  傍線部「の説明として最も適当なものを」答えさせる問題です。  その傍線部分の「在るという重み」とは、どういうものなのでしょうか。  まず、傍線部をふくむ文章は、「絵画だって、ことばだってそうだ。一瞬を永遠のなかに定着する作業なのだ。個人の見、嗅いだものをひとつの生きた花とするなら、それはすべての表現にもまして在るという重みをもつに決まっている」となっています。「在るという重み」とは、文字どおりには、「それ」が「もつ」重さのことで

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・07/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問4について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・06/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問3について

          創作(虚構)は創造で ある はない 【問3】  「つくるということ」の説明を求めています。  この問題については、選択肢がすべて、「~ものを生み出そうとすること」となっていることにも注目しておきましょう。すなわち、「つくるということ」は、どのような「ものを生み出そうとすること」なのか、とたずねているわけですね。  そして、重要なのは、傍線部をふくむ一文が、「枯れないものは花ではない。それを知りつつ枯れない花を造るのがつくるということではないのか」となっていることです。つま

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・06/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問3について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・05/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問2について

          一瞬は永遠で はない ある  前回までの内容をおさらいしておきましょう。  まず、「【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・02/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のリード文について」では、エッセイの内容に関連づけて、詩を読みましょう、といいました。また、詩が先に書かれ、エッセイは後に書かれている可能性が高いことに注目しましょう、とも述べました。  さらに、「【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・03/13】共通テスト2018試行調査・国語第

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・05/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の問2について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・04/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の詩「紙」について

          愛とは永遠か一瞬かそのテクストはいつ発表されたものか  おさらいしましょう。まず、前回の「【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・03/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のエッセイ「永遠の百合」について」では、エッセイの内容を、 というふうに読み解きました。  また、ここで、前々回の「【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・02/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のリード文について」で書いたことを、2つにまとめてみます。1つめは、最

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・04/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問の詩「紙」について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・03/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のエッセイ「永遠の百合」について

          創作とは永遠か一瞬か そうして、まず、「永遠の百合」と題されたエッセイのほうを読んでいきましょう。 【1~2段落】  1~2段落には、昨年の夏、筆者が旧友に、「秋になったら捨てて頂戴ね」というメッセージといっしょにアートフラワーの百合の花束をもらった、という体験談が語られています。 自然にクリソツまじびびる 【3段落】  段落冒頭で、筆者は「びっくりし」た、と書いています。なぜでしょうか。  ここでは、「人間が自然を真似る時、決して自然を超える自信がないのなら、いっ

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・03/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のエッセイ「永遠の百合」について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・02/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のリード文について

          複数テクストの構成や前後関係、詩の読解 【リード文】を読んでみます。 複数テクストの構成をチェックしよう  まず、複数テクストの出題は、リード文から、それらテクストの構成をつかまなければなりません。構成とは、この問題(2018年共通テスト試行調査第3問)のばあい、1972年に出版された詩集の詩と、1977年に発表された書物のエッセイとでできあがっているということです。 複数テクストの前後関係も意識しておこう  つぎに、2つのテクストの発表年にも注目しておきましょう。つ

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・02/13】共通テスト2018試行調査・国語第3問のリード文について

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・01/13】共通テストにおける詩の出題について

          現代文講師は詩を愛しているか  大学入試共通テスト国語2018年の試行調査は、詩が出題されました。 もちろん、2021年からはじまったじっさいの共通テストは、文学的な文章ということでは、詩ではなく小説を取りあげていました。また、2022年は俳句を引いた設問があったとはいえ、ひとつの詩作品の読解を問うというわけではありませんでした。素材となる文章はあくまで小説です。  しかし、2023年以降、詩を対象として正面から取りあげる可能性がないわけではありません。けれども、詩

          【大学入試センターに詩を愛しているとは言わせない・01/13】共通テストにおける詩の出題について