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ドイツ語以外を輝かす独検について

ドイツ語検定を受けたのは何かに打ち込んでいたかったからだった。

受験勉強が嫌いだったのは結果が影響を持ちすぎたためだった。
大学に受からなければ、1年間を目標の批判のみに充てねばならないという思い込みが圧力をかけてはいたけれど、しかしその一方でその作業には楽しみも見いだせていた。
合格という目標に対して効果的な手段を考慮し実行したことや、興味を度外視して課せられる対象について幅広く勉強したこともそうだが、一番は受験科目以外に対する興味が敏感になったことがそうだった。

春が来て大学に入り、興味のままに時間割を作り、それなりには自分の好奇心を慰められていた。
けれどそれはかつての読みたい本を貪り読んでいたときに重なる態度で、私の向上心は決してそのままではいさせなかった。

その時に授業で取っていたドイツ語の検定に目を付けた。
きっかけは単位がもらえることだけだった。
言語学習であったのもドイツ語であったのも特に意味はなかった。
何かに打ち込むことで怠惰な自分を抜け出して、興味の世界が色づくことを期待したのだ。


ドイツ語検定3級の合格目安は簡単に言えば120時間の学習であった。
受験を決めた5月の段階ではまだ授業のオリエンテーションを終えたばかりだったから、難しい数字に思えた。
しかし、合格の持つ意味が受験とは違うように、落ちることへのプレッシャーもほぼ感じずに、単なる打ち込む対象として勉強できたように思える。

毎日図書館に通い、課題はこなす程度にしながら勉強に励んだ。
辞書の棚に沿って進み、アポロン独和辞書を携えて自習席に向かうのが楽しみだった。
Spotifyのプレイリストやメモのタイトルをドイツ語でつけたりもしてみた。

そして先日受験を終えて、私はドイツ語との一区切りをつけた。
結果はわずかに期待できるぐらいの出来だった。
文法に偏重して単語が分からなかったにしては、いいと思う。
発表を楽しみに待ちたい。


期待通り、独検受験はいくつかの良いものを与えた。

一つ目はまずドイツ語についての知見である。
単語が性を持つことや分離動詞の扱いなど新しい知識が得られた。
また文法や単語などが同じゲルマン語派である英語に共通点を持つことが、高校地理で学んだ知識に結びついた。

そして興味が深まったものは、主に読書、旅、物理や数学である。

読書は検定勉強中も読んではいたが、直前期思うように時間が取れず積読が増えてしまった。
これから空いた時間を積極的に当てていきたい趣味の一つだ。

旅というのは主に一人旅、特に歩いていくものを考えている。
地球半周の本を読んで、運動不足と登山へのモチベーションが向かうところがここだった。
夏休みに仙台から実家まで歩いて帰ることを妄想しているが、なにぶん最近運動していないために現実味を一向に帯びようとしていない。
検定勉強からも解放されたことだし、今週末は歩いて海を見に行く。

物理と数学は本業とも呼べる。
授業がそろそろ片手間では追いつけなくなって、でもわからないのに面白さは増していっているのがたまらなく嬉しくなった。
もともとドイツ語勉強も課題の次の優先度で回していたが、これからはモチベーションも高まったことだし、教科書の理解に没頭したい。


順番が逆転はするが、この独検受験もまた最近の行動指針である新しいことの一つであった。
一つのステップとなったこの受験を踊り場にすることはせずに、次の一段に向けて歩んでいきたい。

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