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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第六話 心閉ざした優しき姫君

前話

「ほうら。エルマ。お母さん猫のミルクではないけれど、ヤギのお母さんのミルクよ」
 エルマは小さな器に入ったミルクをぴちゃぴちゃ飲み始める。母猫にくっついて飲むほど幼くはないようだった。ある程度は野良猫として生きていたのだろう。
「エルマは偉い子ね。そのまま大きくなってね」
 フィーネペルルはエルマの頭を優しく撫でる。その表情は先ほどの冷たい姫君ではなかった。
「動物には優しいのですね」
「だって、動物は私を嫌わないからよ」
「私も嫌いませんよ。むしろ、誇らしいと思います。闇と戦いながらもこうして優しくなれる人柄は恥ずべきものではありません」
「あなたに嫌われたって別にどうってことないわ。ずっといつもそうだもの」
 ふと、フィーネペルルの瞳に陰りが差した。
「孤独だったのですね。騎士もそうです。団員であると同時に戦では一人で闘わなければならない。誰も助けにならないのですよ」
「危ない、時間を過ごしてきたのね」
 少し、柔らかな声でフィーネペルルは言う。
 
 確かに、騎士は一度戦場に出れば一対一で闘うものね。冷たくしすぎたかしら。
 
 フィーネペルルは顔を上げると優しく微笑む。ヴァルターの心がぎゅっと締め付けられるような気がした。
「どうかして?」
「いいえ。森の泉に散歩に行きませんか? 仕事のしすぎは疲れますから。明日からの事も打ち合わせしなければ成りません」
「明日?」
「そうです。いきなり早朝に姫君の寝所を突撃するわけには参りませんから」
「突撃って……」
 フィーネペルルはケラケラ笑う。ヴァルターは自分の言葉のどこが面白かったのだろうか、と奇妙に思う。
「戦でもないのに突撃なんて……」
 そう言ってまた笑う。その朗らかな笑い声にヴァルターは姉の捜索にだけ契約しようとしている自分を恥じた。
 
 この姫にはこんな時間が必要だ。姉上の事は後回しでいい。まずはこの姫の心を癒やさねば。
 
 ヴァルトはどれだけ孤独な時間を過ごしてきただろうかと切なくなる。
「ヴァルター?」
「ヴァルト、です。姫君」
「それでは、私も『フィーネ』よ。みんなそう呼ぶの」
「それではヴァルトとフィーネの関係から始めましょうか。私達は友達です。詳細は違えど同じ、闇を持つ同志として共に時間を過ごすのです」
「同志って、大げさよ。ヴォルター」
「ヴァルト」
「はい。ヴァルト、ね」
 有無を言わせぬ声にフィーネペルルは従う。
 
 この方は優しすぎるのだ。おそらく。そして自分を異端視している。昔の自分のように。騎士能力の事で自分は自分を異分子扱いはしていない。それでも、人を殺して生きる自分が嫌だった。だが、騎士の父に教えられた人生を歩むには騎士しかなかった。そのための訓練しかしていない。今更、施政者になろうとも思わない。一助の人間になれたらそれでいいのだ。今はそう思う。だが、昔は自分の手が血に染まっていることがいやだった。とてつもなく。人間でないような気がしていた。フィーネも同じだ。力を持てまして異端視している。それが役に立つこともあるかもしれないという視点に気づかずに。自分を認めるという事をフィーネはしていない。否定を繰り返している。まるで昔の自分のようだった。
 
 まずは、フィーネの心の茨を取り除くところから始めよう。
 
 ヴァルターは小さな台所で子猫にミルクを飲ませている姫君が宝物のような気がしていた。優しく強い姫が。これが恋とはヴァルトはまだ気づいていない。フィーネペルルもこの必然の出会いが人生を大きく変えるとは夢にも思っていなかった。


あとがき

こちらの方が進み具合が遅いのでこちらの話から載せました。いやー。スマホのChatGPTさんは使い物にはならんけどサイトの方はプロット作りがさくさく進む。なぜかスマホは悲恋にしようとする。あと、異種どうしの恋愛。竜と姫とか妖精と王子とか。そして最後は相手が身を引く。異世界ファンタジーとすれば必ず異世界転移。そうでないと現代日本。病院のフリーWi-Fiつかいながらしゃかしゃかしてましたが、諦めました。家でサイトのほうでやれば一つ使えそうなのができました。いくつかプランはあるんですが、今日作った方がやりやすいです。ここに出ている未完結の他の二作は作るのが難しい。今は氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子の第二部にかかりっきりですが、たまには遊ぼうと休日に通院の後戯れてました。この趣味にどっぷりと浸かったプロットが小説になるかはわかりませんが、こちらを他の二作よりさっと出した方が早いかも。

一応、この後、氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子も更新しておきますね。そんなに優秀な文章が書けているわけではないので、恐縮ですが。何か昔の方がもっとマシだった気がします。年を取り過ぎたのかもしれません。そんない経験もないし。受験ーと思いつつもつい遊ぶ。あと五回分の模擬テストすれば二巡目も終わるのですが。一日二回しても一時間以上にはならないと言う。それぐらいならさっさとやれば良いのにパソコン片付けるのが面倒でつい後回し。今日は野球なかったかもしれません。いや、地上波がないだけかも。昨日勝ったしまあいいいです。

さてはて、どの話から書けば良いのやら。あらすじ追って面白そうとか書けそうとかから手をつけます。他の二作はどうもイメージがでない。設定は面白いんだけど。少し寝た方がいいのかもしれません。昨夜の夢で夜中に飛び起きたとき、やった。段ボール! とかあー。また産卵してるーとか感情がリアルに出ていて本当か夢かわからなくなって起きてから何回も卵は確認しました。現実と夢の境がなくなってる今日この頃です。で、使ってる薬が世界中で不足してるという。とんでもない日でもありました。薬代馬鹿にならない。

あー。あの二作進まんかなー。と、神経痛が痛い。うずく。さっさと更新します。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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