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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第三十話 フロリアンの傑作、フローズンブレイド

前話

「フロリアン!」
 レオポルトは城で食事を取った後、居候先に飛び込んできた。
「なんだ。リリアーナは、城で家族団らんか?」
「ああ。それで……」
「コイツか?」
 フロリアンが両手剣を持ち出してきた。
「これ! いつの間に」
「まだ、完成じゃねぇ。試作品だ。だが、完成に近づいている。レオの出陣の時には間に合わせる。アイシャードが術をかけてくれるんだな?」
「ああ。炎の国の魔術に慣れた体では氷の国の魔術は堪えるらしい。俺はそれに賭ける。できれば、ユレーネ用に護身刀も作って欲しい。一緒について行くといって聞かないんだ。俺もユレーネの将来を考えれば一緒に闘う方がいいと判断した。ただ、ユレーネは戦い慣れていない。魔術で対峙することになる。その魔法を施したレイピアあたりが妥当だと思うが、どうだ?」
「姫も、か。考えてみる。リリアーナが帰ってこないとなるとミルクがゆが無駄になっちまったな」
「俺が食う。味見役だ。ユレーネより美味しくなかったらリリアーナにぼろかすに言われるからな」
「リリアーナは言わねぇよ。いい子だからな」
「フロリアンもリリアーナ勢か。俺は味方がいないようだな」
 あーあ、と言うレオポルトにフロリアンは真面目な顔をして言う。
「姫がいるじゃねぇか。俺もリリアーナと共にお前を息子だと思っている。死んだ俺の息子でなく、別の息子として、な」
「ありがとう。フロリアン。いつも、酒場に行くのは息子の代わりだったんだな。すまん。行くところがココしかなかった」
「いいさ。じゃ、二人で両手剣を作るか」
 フロリアンが腕をまくって言う。
「フロリアン。ミルクがゆを作るなら腕まくりはいいが、武器を作るには防護がいるんじゃなかったか?」
 あ、とフロリアンが固まる。
「親方の威厳がなくなるな。今の言葉はなかったことにしてくれ」
「いや、俺も最近の出来事で調子が狂っている。両国の情勢も危ない。武器の依頼が殺到している。だが、まずはコイツをやらんとな」
 防護服をフロリアンが着る。レオポルトも同じように着て武器作りが始まった。
 
  何日かしてユレーネがリリアーナをつれてやって来た。
「お兄ちゃん。武器を作るのはいいけれど、大事な妹を預けっぱなしよ」
「ユレーネ? 今日何日だ? リリアーナ。迎えに行かなくてごめんな。兄ちゃん。ずっと剣を作っていたんだ」
「って。何日寝てないの。食べてもいないでしょ」
「フロリアンのミルクがゆは食べた」
「それいつ?!」
「さぁ?」
「その骸骨みたいな姿、やめてよね。何か作るから待ってて。リリアーナ。お兄ちゃんとフロリアンパパのごはん作ろう」
「うん。お兄ちゃん。大丈夫? リリアーナが美味しいごはん作るからね」
「ああ。ありがと。フロリアン。こっちの設計図にして見たらどうだ?」
「鍛冶馬鹿もとことんいくと危ないわね。リリアーナ。おいで」

 そんなやりとりをしている内にやっと完成形に近づいてきた。リリアーナの面倒を見ないと、とこのむさ苦しい男所帯にユレーネは居座ってしまった。
「一国の姫が城にいなくていいのか?」
 ユレーネの手料理を食べながらレオポルトは聞く。
「それはあなたも同じでしょう? まぁ、国を追われた身だからしかたないけれど。居場所で死にかけないでよね。この後三時間の仮眠は取ってもらうわよ」
 え~、と鍛冶馬鹿の王は言う。
「お兄ちゃん。寝ないと、めっ」
「わかったよ。二時間でいい?」
「三時間! 四時間でも良い所よ」
「はいはい。フロリアン。さっきの金属さー」
 ぱぱっと食事を平らげると、また打ち合わせだ。ユレーネが設計図を取り上げる。
「これは三時間後!」
「はいはい。じゃ、おやすみ~」
 二人は仮眠に移動したのだった。

 そうして鍛冶馬鹿が英気を養った夜。
 ついに両手剣ができあがった。
「これが……フローズンブレイド……」
 光に照らしながらレオポルトは見つめる。キラリ、と刀身が輝く氷の国武器らしく凍った水のように透明な剣だ。
「すごいわね。こんなの振り回すの?」
 ユレーネも見る。
「あ。ユレーネにも護身用のレイピアを作ってもらうから。一緒にアイシャードの所へ行こう」
「レオ! 大好きよ!」
「こんな時間に押し倒すな!」
「おにいちゃ~ん」
 リリアーナもやってくる。
「ぐえ」
 二人の女の下でレオポルトは手足をバタバタさせる。
「フロリアン助けてくれ~」
 が、ユレーネのレイピア作りに入ったフロリアンには届かない。
 
 今日も妻と娘の尻に惹かれる亭主のレオポルトだった。


あとがき

史莉としての投稿です。面倒くさいのでまとめちゃいました。過去の名前の歴史は封印して。なので、現Kindle本のネームは昔のまんまです。変更するには再版しないといけないので、そのままです。それに、経由して有料になっているものもあるので独占販売にしていない本達もあります。まぁ、今は完結しないと本にできないので、それぞれまとめることを頑張ります。

空調で冷え切っていたので窓を開けたら熱い亊。野球、まだ続いています。勝ってますが。その間に、試験二回分こなしました。やっぱり同じ問題で同じ間違いをする当たり、復習が必要ですが。部首当たりは間違えた問題と突き合わせが必要です。あとはまんべんなく点数がとれているので、類義語とかを見ていれば良いかもしれません。

本当に姓名判断は難しい。吉野亜衣もそこそこ良かったはずなのに。調べれば凶が一個ありました。亜の文字がいかんらしい。羽柴とか芳野の画数は良いのですが他にあてはまる下の字が女性の分ではすくない。考え直すのがおすすめとでるので、思い切って最強名前というのを使って調べてみました。

さて、あとは何を更新しましょうかね。「影の騎士真珠の姫」か「星彩の運命と情熱」の残っている一話をいれるか。執筆するのは今日は辞めるかもしれません。流石に受験を明日に控えると復習をしないとなーと思うので。遅いけど。月曜日も京都テルサに用事があります。遠出が大変。電話面談にしたいんですが、一度くらい顔出した方がいいような気がして。ここ、三年間行ってませんでしたから。今、阪神とソフトバンク一点差。書いてる内に二点入れられました。怖いよー。

さて、次の更新に向かいます。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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