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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第十六話 新米ママとパパ。この年で子育てなんて!

前話

「ただいまー。飯飯~」
「リアナ。大丈夫だったの?」
 フィオナが飛んでくる。
 うん、と大きな声で子供のように答えるリアナである。
「うん、って。何か試練とかなかったのかい?」
 流石にマルコも気になっているようだ。
「あったけれど、先に生まれそうだったから行きなさいって言われて試練なしになった」
「生まれるから行けって、随分いい加減な守護者だな」
「あら。マルコ知ってるの?」
 リアナが不思議そうに聞く。
「僕も一度立ち寄ったけれど運命の相手が必要だからって追い出された。二人はそれを超えたんだね」
「さぁ? そんなようなことは言われたけれど……。それより見て見てー。セレスちゃんよー。可愛いのー」
 ほっぺたが落ちると言った具合に目を和ませてセイランの掌にいるフェアリードラゴンを指し示す。
「リアナとセイランはしばらくこの屋敷で新米パパとママだね。次の目的地を探している間に子育てをすればいいよ。ほんと可愛いねぇ。その子」
「マルコにはあげないからねー。さぁ。セレス、ご飯食べましょうねぇ~」
 もう、子供を過保護に育てる母親になっているリアナに一堂は目が点になる。
「リアナって、子供産んだら、やっぱり変わるんだ」
 フィオナがぽろ、と言う。自分はあんた呼ばわりされていたのにあの子はもうセレスちゃんと呼ばれるのが目に見えている。
「パパ! 早く作らないと餓死するわよ!」
 旦那を尻に敷く女房の指示でセイランは初めてのドラゴン食に挑戦することとなる。失敗を繰り返して、最後はリアナ任せだ。
「パパの権威失墜ね」
 リアナとセレスとの食事タイムを疲れ切った顔で見ているセイランにフィオナが言う。
「明日からは俺がする!」
「あら。パパが寂しいって言ってるわ。パパのところにいけるかしら?」
 セレスは小さな翼をはためかせてセイランの元に行く。掌を広げるとそこに座ってみゃーと鳴く。
「パパのご飯も食べたいってー」
「リアナ、別人格だ。どうしたんだ?」
「え? シルヴァリア時もそうだったわ。一からご飯作って世話したのよ。昔が懐かしいわー」
 そういえばフェアリードラゴンは成長するスピードがものすごく速い。その間にリアナは似たような言動を取っていたことをフィオナは思い出す。
「セイラン。放っておいたら略奪されるから確保しておいた方がいいわよ。リアナはフェアリードラゴンの雛には別人格になるから」
「もう、実感している。今までのリアナはなんだったんだ?」
「こっちはただの過保護ママになってるだけ。パパがしっかりしていたら大丈夫よ。リードを取った方がいいわよ」
「無理だ。あのリアナには勝てない」
 子供を産めばと、思うとき、自分とリアナとの、と考えて、自分はもう白旗をあげていた。あんなリアナが見れるならいつでも結婚したい気分だ。リアナがいつの間にかセイランの心の中に住み着いていたことに気づく。
「これこれ。君は僕より年下だよ。親になんかなれないからね」
 マルコの声にびくり、と反応する。
「心の扉が開けっぱなしだよ。全部筒抜けだからね」
「マルコー」
 恨みがましくセイランはマルコにうなる。
「僕達の方が先にゴールインだからねー。この新米パパとママの奮闘をしばらく見せてもらうよ」
「見世物じゃない」
「リアナは気にしてなさそうだが?」
「あれは理性が欠けてるだけだ」
「今のリアナに理性を求められないよ。あれだけ舞い上がっていればいずれ逆現象を起こして谷に落下するよ。その時しっかり支えてやれよ」
「谷?」
「いつになるかはわからないけれど、何かリアナに深い悲しみが襲うのが気配から漂ってきている。それを守れるのはセイランだけだ」
「あのリアナに……」
 あれだけ笑顔の大安売りをしているリアナの顔に涙は流させたくなかった。なんとなくセレスは短命なフェアリードラゴンのような気がする。それを回避しなければ。
 そういえば、フェアリードラゴンを育てている一族がいたはず。そこへ行けば何かが変わるかもしれない。
  
 次の目的地が決まった。フェアリードラゴンの一族の里だ。だが、しばらくはセレスを丈夫にしないといけない。当分、調べ物をしながら育てよう。掌ではセレスがぐっすりと眠っていた。
 
 長生きしてくれよ。リアナの涙は見たくない。
 
 みゃう、とセレスが答えるようにに小さく鳴いて答えた。


あとがき
リアナはフェアリードラゴンの子供にはもう赤ちゃん言葉を使うぐらい崩れます。それを書いててどーした? リアナ! と思っていたのは私も。そしてとんでもないことにもなる。結局回避できた物の、またあの方が来てしまった。個性強いキャラだな、と思う私。ゲーマーはしっかりいつもいるんです。あえてゲーマーと書いておきましょう。日本語ならすぐ元型がわかるから。この物語はエレメントなども関わりますがユングの元型が様々な所にいてそれを巡る旅となります。なのでグレートマザーとかぽんぽん用語が出るんです。でも、本質を捕らえているかはわかりません。正と負の面を描けてからこその元型。あの方に負の側面があるのかしら? 調べておこう。
こちらも話数が減ってきました。また書かねば。
なにがしかは更新するのでまたよろしくお願いします。170日継続目標です。それ以降は週三ぐらいで。とは思うものの、継続化が定着してきた今日この頃。元々は継続化狙ってなかったんですが。まぁ、朝活も三日目にして週末朝活に移行しようかという所ですので。続いていればまたやってるね、と思っておいてください。毎週でも良いんですけどね。それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました。

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