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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:星彩の運命と情熱 第二十四話 リアナの涙。テグスで倒すって無謀よ!


前話

本文

「へぇ~。やっぱりいるんだ」
「へぇ~って。知ってたの?」
「地図作ったときやたら炎のエレメントが強い場所がここだったのよ。壁か何者かがいるなぁと思ってたわ」
「わかっていたら先に言え。準備が不足してるじゃねーか。とりあえず、このヒモに水のエレメントでコーティングしてくれ」
「って、その透明なほっそぉい糸で何するのよ」
「動きを封じる。エレメントさえまとえば大丈夫だろう」
「って、本当に考古学装備なの? 相手を刺すのは何なの?」
「ガリは持ってるが、マルコに剣を借りる。マルコ一振り貸してくれ」
「あいよ」
 重たそうな両手剣が飛んできた。
「ちょっと、殺す気?」
「すまない。手が滑った」
「マールーコー」
「待て、それは後にしてくれ。さっさとエレメントくれ。殺されるぞ」
「うわっ」
 炎の巨人が迫ってきていた。
「は、はい。水のエレメント! あと、防御壁も作っとく」
 セイランのテグスに水のエレメントをまとわせて補強する。そしてその前に巨人の炎の熱さから身を守るために防御壁を作る。
「助かる」
 そう言ってセイランはまず、テグスという、後で聞けば遺跡の測定に使うものらしかった、もので巨人をぐるぐる巻きにする。あんな細い糸で大丈夫かと思うが、リアナの水のエレメントが巨人を押さえていた。そして、セイランは両手剣を手にして間合いをとりだした。
「セレス。ママの所で待ってろ」
 セイランがそう言うとセレスがリアナの肩に止まる。パパの戦いぶりを心配げに見ている。
「大丈夫よ。セレス。セイランは強いから」
 そう言ってリアナは精神を集中させる。リアナの体から膨大なエレメントが沸き立つ。それは水だけではなかった。この世界のエレメントと触れる事のできるリアナだけの特殊な感能力で湧き上がったエレメントだった。それが炎の巨人を包む。巨人の動きが止まる。もがいているようだった。テグスがおおきな音を立ててちぎれる。だが、巨人は動けない。リアナのエレメントが圧倒的な力を有していた。それで巨人は身動き、魔法攻撃さえもできなかった。
「早いことやって! こっちは長時間持たないんだから!!」
 リアナの言葉に反応してセイランが間合いを縮める。急所を探しているようだった。
「とにかくぶったたいたらいいから早くして!」
 リアナの額に脂汗が浮く。
「悪い!」
 セイランはそう言うと尋常でない跳躍力で天高く飛び上がると巨人の一刀両断した。守護者の体が真っ二つに割れる。それでも片方は動こうとしていた。そこへマルコが一撃を与える。フィオナが風のエレメントで縛り付ける。二重の縛りで巨人はあとはもう倒れるしか無かった。
「ごめんなさい。でも、これがあなたの使命。正当な使命の持ち主にエレメントを渡すことがあなたの使命。もう楽になって良いのよ」
 リアナの瞳からは優しい眼差しと哀しみの涙がこぼれていた。それを聞いた巨人は軽く肯いてすぅっと消えていった。
「やった……! リアナ、ありがとうってっ……」
 リアナは涙をこらえていた。必死に。セイランが胸に抱える。
「馬鹿。守護者の死まで背負い込むな。これが正当な道筋なんだ。優しいんだなリアナは。いつものわがままで本当のリアナを隠してたんだな。もう大丈夫。次は炎の祭壇だ。この神殿の最奥部になる。そこに炎の秘宝がある。それを手に入れてお前にふさわしい男になるんだ」
「セイランー」
「号泣するのは後にしてくれ。まだ危険はそれなりに残っている。手を繋いで行こう。はぐれないように。俺達の気持ちが」
「うん」
 ぐすぐす鼻を鳴らしながら、リアナはセイランに手を引かれて、祭壇のある部屋に入った。祭壇には炎のエレメントを増幅させるさらに強いエレメントが燃えていた。
「秘宝ってあれ?」
「いや。その奥にある。一緒に行こう。もう俺達は受け入れられているから危ない事はない。セレスもおいで」
 うなーん、と鳴いてセレスがセイランの肩に戻る。シルヴァリアがリアナを慰める。
「ありがと。シルヴァリア。いい子ね」
 涙の浮かぶ顔をまっすぐ揚げる。もう、哀しみの色は無かった。
「泣き虫」
 セイランが涙を拭う。
「セイランが危ない事ばっかりするからでしょ!」
「いつものリアナだ。行こう」
「うん」
 祭壇で炎のエレメントを取り込んだセイランは最強の炎のエレメントを持った戦士だった。そして隠してある鍵を難なく見つけると最奥の扉の鍵を開ける。そこには『イグニス・エンシャント』があった。セイランは手にする。炎で包まれていた秘宝はアミュレットだった。そこに最強の炎の力がこもっている。
「『イグニス・エンシャント』。これからしばらくよろしくな。ほら。リアナ。イグニス・エンシャントだ。俺とお前で突破したからお前の物でもあるんだ。触ってみればわかる。この秘宝のすごさが」
 そっとリアナの掌に落とす。途端、古代からのアミュレットの記憶がリアナに流れ込む。リアナの炎のエレメントの力も増す。
「返すわ。この子はパパのところにいたいって」
「そうか。水の秘宝も探そう。フィオナも風のエレメントだから、それぞれ持てばいい」
「と。私も炎のエレメントだが?」
「そうか。残りの土のエレメントのヤツを探さないとな」
「私は放置かい」
「放置」
 フィオナが面白がって突き放す。
「フィオナまで。剣の借りは返してもらうぞ」
「なんなりと」
「じゃ、帰ろう。シルヴァリアの背中に」
「そうだな。出口はこっちだ」
 リアナの手を引くセイランの手は力強かった。なんとなくときめく。
 
 これが、恋?
 
「かもな」
「人の心読むなー」
 繋いでいた手を離してばこっと鉄拳制裁を炸裂させたリアナだった。
 


あとがき

時間がないー。そして明日の分の原稿がないー。今日帰宅すれば書きます。昨日からこの星彩はChatGPT4.0さんと打ち合わせに移っています。いやーべんりだわー。賢いわー。でも途中から移ったためエラー起こりまくりですけど。設定外の設定をしてくれる。もう少し詳しくあらすじをかけばよかったのだけど。うおー。あと1分。とにかく投下します!


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