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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子 第七話 フロストトパーズの指輪 

 前話


「親父さん! 指輪作らせてくれ!!」
 武器屋に入るなり、レオポルトは大声を出す。
「なんでい。いきなり大きな声で」
 武器屋の親父はそう言って固まる。
「その服は……、炎の国のものか?」
「どうしてそれを……。親父さん、来たことがあるのか?」
「処刑された女房は炎の国の筋の人間だった……」
 今度はレオポルトが固まる番だった。
「処刑って……」
「生まれたばかりの息子と一緒に火あぶりになった」
 そう言ってフロリアンはうなだれた。
「じゃ、俺は来てはいけない人間だったのか……」
 いたたまれなくニコと連れ立ってでで行きかけたレオポルトの背中にフロリアンは声をかける。
「指輪、って誰へのだ?」
「親父さん?」
 希望を失ったかのようなレオポルトをフロリアンは強く抱きしめる。
「だから、誰へのだ?」
「ユレーネの。俺の相手はあいつしかいない」
「本当の名前はアレックスじゃないな。何ていうんだ?」
「レオポルト。親父さんが嫌ってる炎の国の第一王子だ」
「俺は炎の国を嫌っちゃいねぇ。お前にずっと亡くなった息子の面影を浮かべていた。ただ、悲しくなるだけだ。指輪が必要なんだな。作るのを手伝ってやる。好きな女への指輪ぐらい作れるだろう?」
「あ、ああ。親父さん?」
「レオ! 早く来い!」
 鍛冶場に向かうフロリアンの後をレオポルトもニコも後追った。
 ほんの数歩、歩いた先には赤々と燃えさかる炉があった。
「サイズはわかってるのか?」
「ああ。一度とことん話し合ったときに聞いておいた」
「どういう話し合いをしたんだ」
 ニコがため息をつく。
「入れる宝石もあるのか?」
「これを……。母上の形見だ」
 ポケットから古びた指輪を取り出す。
「フロストトパーズじゃんないか! 王妃様が氷の国出身とは聞いてないぞ」
「秘密事項だ。母はあのエロ親父のお手つきだったんだ。産んだ子が男とわかって王妃になれたんだ。あの義母はアデーレしか産まなかったから王妃と名乗れないんだ。それがシャクなんだよ」
「政治のごちゃごちゃはいい。早く作れ。とっととこさえて来い! と言われたんだろう?」
「どうしてそれを……」
「でなければ、そんなに慌てて武器屋に突撃するわけがねぇ。あのユレーネ様なら考えそうなことだ。自由奔放な方だからな。そしてレオは指輪を作る場所をココしか知らねぇ。自ずと答えが出るもんだ。さぁ。手伝うからとっとと作ってやれ」
「動じないんだな。親父さんは」
「アレックスと言って剣を作りに来た頃から薄々わかっていた。それが今、ばれだけだ。さっさと作れ!」
「あ、ああ……」
 フロリアンの勢いに押されながら慣れた手つきでレオポルトは指輪を作る。細かい作業は特に得意のようだった。指輪を作り、宝石をはめ、刻印を入れてとしてる内に時間は夜中になっていた。時計を見てレオポルトははっとする。妹をおいてきた。
「アデーレ!」
 出て行きそうになった頃、扉が勝手に開いた。そしてアデーレが飛び込んでくる。
「お兄様。お姉様がアデーレに特別に服を下さったの!」
 アデーレは氷の国の服を着ていた。
「あれじゃ、目立つでしょ。ほら。あなた達も、父のを借りてきたから着替えて」
 ぽん、と服がおかれる。
「ここで着替えろとと? ユレーネ様」
「あら。あなたもしかしてレオが言っていた親友の騎士様? こちらにいいお相手がいるわ。氷の国に嫁がない?」
「ユレーネ! 勧誘はやめろ。ニコにも好みがあるし、この事態に巻き込むわけにはいかない」
「どっぷり足が浸かっているが?」
「すでに遅いと思うけれど?」
 異口同音に二人は言う。
「二人で結婚しろ! 俺は知らん!」
 レオポルトは出て行きかけてこつん、と指輪を落とした。
「あ」
 レオポルトが拾い上げるまでにユレーネが拾って薬指にはめる。
「はい。婚約成立」
「ユレーネ!」
「ユレーネ様!」
 レオポルトとニコが声を上げる一方で、アデレーはその指輪を食い入るように見つめている。欲しいらしい。
「アデーレにはこっちだ」
 レオポルトは紅い宝石が付いた小さなリングをチェーンに通してアデーレの首に書けてやる。
「魔除けだ。平和に暮らせるとは限らないからな」
「お兄様!」
 アデーレがくっついてくる。
 
 もう。戻れない。故国には。戻るときはこの二国間争いが終わるときだ。
 
 レオポルトは決意を新たにしていた。


あとがき

昨夜書いていたお話です。今日はほぼ、夕方から夜にかけて漢検でした。試験が近づいているので、猛特訓です。このレベルが範囲ギリギリというのは情けない限り。一応、ギリギリに合格圏内ですが、何かとどこかで後半部分で失点するので、困ってます。前半部分はほぼ満点。
明日から付録持って出勤です。で、あっという間に親も出てこない婚約。おそろしいユレーネちゃん。きっと後でお父様にご挨拶に行くでしょう。そこを書くかどうかはテキストエディタを前にしないとわかりません。

続きは明日、また書きます。なんせ、野球中継最後までやってくれないので。今日は試合終了までしてくれるチャンネルだったからいいけれど明日はメジャーな局。間違いなく途中で切れてラジオで聞く羽目になるでしょう。その間にポチポチ打ちます。

投稿サイトの更新もあるのですが。それはさておき、執筆活動しますね。
もちろん、漢検もします。ヤバいんで。こんなにできないものかというほどできないので。試験はあと四回分。あとは繰り返し解くだけ。二度目の回答では良い点が出ているのですが。ぶっつけ本番だと10点ほど上なだけ。
ギリギリの合格ライン。って、今、何かスマホが。雨のお知らせでした。

明日お待ちあれ。ってどれが10回見られたのでしょうね。お知らせが来たものの、昨日の分じゃなかったです。

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