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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第十二話 セカンドキス

前話

「あら。当騎、いたんですの。それなら……」
 步夢の眠っているベッドのそばで当騎は椅子に座っていた。
「こいつが步夢の買ってきたおもちゃ持ってきてくんくんと鳴くから連れてきたんだ。優衣が付くなら俺は……」
「当騎がいてあげくださいな。いつからなんですか? 付き合ってる付き合ってないなど。今更じゃないですか」
 千輝が步夢の枕元でまるまって寝ている。
「今まで智也がいたからな。あいつも步夢を愛していた。ずっと昔から……」
「三人の関係性は知りませんが、これからは当騎が姉様を守るのですよ? このままでは衰弱してしまいます。元気を取り戻す鍵は当騎なのですから」
「こいつさえ、いればいいさ」
 そう言って千輝の頭をぐりぐり撫でる。千輝が寝ぼけた眼で頭を持ち上げる。
「大丈夫だ。ママは元気になる」
 自分に言い聞かせるように千輝に当騎は言う。
「では、このティは当騎から飲ませてあげてくださいな」
「優衣。俺は……」
「いつまでもうじうじするんじゃないですのよ! 男でしょうに! 付いてるものがあるでしょう?!」
「ゆ……ゆい?」
 優衣があまりにもすごい形相で声を上げ、当騎は動揺する。
「そういうことですからお大事に」
 見事な関西発音で言ってティセットおくと優衣は出て行った。
「今の……優衣?」
「むー! 起きたのか」
 当騎が起き上がるのを助ける。
「あんなすごい発言聞こえてきたら飛び起きるわよ。あの優衣が……。可愛い優衣が……。当騎の責任だからね!」
「俺の責任?!」
「優衣はあんな子じゃないのにあんな発言させたんだから」
 步夢が頬を膨らませて言う。顔色はかなりよくなっていた。
「じゃ、責任取るならこっちも責任取る」
 そう言って步夢の頬に手を添える。目と目が合う。
 セカンドキス。
 尊い命を代償にした恋の始まりだった。

「次は『朝日の滴』ね……」
 次の日、おかゆを食べながら步夢は言った。日史が注意する。
「スプーンを振り舞わないの」
「はぁい。ししょーは何を持ってきたの。託宣で」
「古の女王が持っていたペンダントです」
 事もなげにししょーは言う。步夢はまた顔色を変えた。
「あの、国宝級の国宝級を持ち出したの?!」
「そんなにすごいんですの?」
 優衣は不思議そうに言う。
「宝物庫へは展示用のダミーを置いてきましたから大丈夫です」
「そっか。……そっか、じゃない。宝物庫の管理はししょーに任されてるからごまかせるけれど、あれは古の女王よりもっと昔の、始祖の頃の石をペンダントにしたものなのよ。壊れたらどーするの!!」
 一人步夢だけが騒いでいる。ししょーは涼しげな表情だ。
「彼の地の石、なんだな。恐らく」
 始祖と聞いて当騎がひらめいたように言う。
「おそらくは。初代の女王のモノを変えたのだと。古の女王の託宣は間違いありません。もう一人の女王を助けるように言われましたから」
 それを聞いてあきれる步夢である。
「あの人まだ出るの?」
「国の守護神となっておられますからいつでも」
「やっかいねぇ……」
 異国の故郷に問題があれば步夢が出向かねばならない。またあっち行き、こっち行きとなるのか。
「会いたい人たちはいるけど、巻き込みたくはないわね」
「そうだな」
 人脈が広がるにつれ、それが前世がらみになっていくことが多い。いろんな場所で步夢は救済活動をしていたらしい。それ故、いろいろな顔が步夢には備わっていた。異国の女王の生まれ変わりであることもその一つだ。今回はそのおかげで母を助けることができる。
「それで、そのペンダントでどうすればお母さんを助けられるの?」
 優衣も智也からもらった陰の石を取り出してまじまじと見る。
「これとどのような関係が……」
 優衣が優雅に聞く。この間の啖呵を切った人間と同一と思いたくない。
「俺もだ」
「そこ、いちゃいちゃしない」
 日史の注意が飛ぶ。
「しゃべっただけじゃねーか」
「それでもダメなの」
 日史の珍しい焼き餅に步夢は目を丸くする。
「ちづちゃん見つからないの?」
「まぁね。で、話を戻すよ」
 そう言ってししょーを見る。
「具体的にはどうすれば、というのはありませんが石から発現する光をお二人の石に当てて『朝日の滴』に変えればよいと……」
「ペンダント、光るの?」
「さぁ。箱に入れてきましたが、発光現象は起きていません」
「もう~。あの人もちゃんと説明してよねー」
「もう一人のお前にけんか売らない」
「はぁい」
 当騎の指摘にまたもお行儀よい返事を返す步夢である。朝食の場で叱られるのは相変わらずなのだ。
「じゃ、学校から帰れば、また話そう」
 今までは智也の看病に就いていたが、その智也はいない。步夢は大学に飛び級していたが、週に一度、通常の高校の授業に出ないと行けなかった。優衣はそのまま高校生だ。
「じゃ、行ってきま~す」
 朝の準備を終えて步夢は元気よく高校へと登校していった。つづいて当騎も優衣も出て行く。
「若いっていいねぇ」
「そうですねぇ」
 しっかり青年の二人だが、心はおじいちゃんだった。孫を見守る二人。日史は吉野家専属の医者。当分暇そうだ。ししょーはお茶会に日史を招待し吉野とともにじじぃトリオを結成したのだった。


あとがき
平和です。野球も先制点が入りました! よくやった輝さん。この上位打線はすごすぎ。ってこれは野球の話。
步夢と当騎もやっとカップルに。責任とるってことはそうでしょう。まだ、いちゃいちゃは少ないですけどね。
今日は公休ですので、いろいろできますが、明日、あさっては仕事。そうそう記事を増産できないと思います。お許しを。母上がいじけているようなので、ヒル抜きでした。仕方なく讃岐うどんをゆでて食べたのですが、ご飯が食べたい。あとは執筆もためておきたい。やっと優衣の聖獣が。ってこれあとのネタちゃうん。バレちゃった。白米食べないと栄養が~~~~~。野球トラテレで見ながらなので、頭の中がこんがらかってます。エッセイの勉強に行く前に、少し食べてきます。って三時過ぎ。おやつやな。

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