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【新連載・ロマンス・和風ファンタジー小説】あなただけを見つめている……。 第一部 クロスロード 第十一話 散った薄紅色の花

前話

  智也の葬儀が終わった。步夢は、儀式に則って祝うなんて字をつかう祝詞なんて読みたくなかったが、祈りと置き換えて無理矢理読み上げた。そして、荼毘に付され、骨は吉野家の代々の墓に葬られた。やはり、吉野神社の婿養子の禰宜はあの子だった。そして元、彼の地の闇の巫であった女性と結婚し、彼の地の光の神と通じている幼子も生まれていた。また、連れてくる、といって禰宜は帰って行った。
 すべてが終わって步夢はリビングで放心していた。
 足下にぽて、と千輝の手が置かれる。
「ちーちゃん。智也お兄ちゃんいなくなったの。いっぱい遊んでもらいたかったよね」
 まるで步夢の悲しみや喪失感がわかるように步夢の足下で千輝は身を伏せた。
「ちーちゃん。ふせもできるの? 賢いねぇ」
 足元にある千輝のふさふさの丸っこい頭を步夢は撫でる。千輝は抱っこしてと立ち上がった。よっこらしょっと言って抱き上げる。そんなに重い子犬でもなのになぜか声が必要だった。
「むー! ひどい顔だ。目の下にくまができてるじゃないか」
 当騎が飛んでくる。步夢は自覚がない。
「ちょっと。乙女にくまができてるなんて失礼よ。ね。ちーちゃん。当騎にお足して」
 步夢が言うと近づいている当騎に両足を投げ出した。
「お足じゃないの。お手」
 流されて当騎も千輝にお手を要求する。ぽて、と手が乗る。そこへ、優衣がたたみかける。
「ほんとにひどいですわ。お化粧を落としたらそんなに顔色が悪いなんて。休んだ方がいいですわ」
「じゃ、ちーちゃんと一緒に寝る」
「ゲージ持って行くならな」
「えー。添い寝してもらえないのー」
「千輝の体力が落ちる前にお前ぶっ倒れるぞ」
「はいはい。病人はおとなしく寝ますよ。はい。ちーちゃん。パパいじめててね」
「むー!」
 步夢はすでに部屋を後にしていた。
「優衣。むーを頼む」
「当騎が行けばいいことではありませんか」
 いつも通りに、と優衣は言外に意味を込めて言う。
「俺たち、別に付き合っても居ないし、婚約を誓ったわけでもない。みだりに女性の部屋へはいけないからな」
 いつもなら、真っ先に入っていたのに。今回は何かすれ違いが生じているのかしら。優衣は不思議がる。
「ししょーに心を安定にするティをもっていってもらいますわ」
「そうだな。それがいい」
 そう言って千輝を抱っこして当騎も出る。
「当騎?」
「千輝に飯やってくる。優衣はししょーを探してくれ。ちー! お足はいらないの!」
 千輝と戯れながら当騎も出て行く。なにやら今世は混乱してるようだ。時間が空きすぎた。前世と今世が。自分も自分を縛っていた悪の元凶の存在を忘れかけている。嫌な思い出を思い出すまい、と優衣は頭を振ってししょーを探しに行った。

「ししょー。探しましたわよ。どこに」
「女王の樹を見ておりました。少々元気がないようですね。陛下の身になにか?」
「疲れ切っていますの。当主として智也の死を泣いている暇がありませでしたから。ししょーによく眠れて心も安定するティを入れて頂きたくて」
「もちろんですとも。陛下がお元気になれば樹もまた花を咲かせるでしょう。今、ここの樹は花がすべて落ちておりました」
 花が……。步夢のバロメーターとでも言える女王の樹。その樹に咲いていた薄紅色のあの花が全部散るとは……。
 優衣は心を痛める。自分は智也と思うままに時間が過ごせた。亡くなってからも。すべてが整うまで付き添うことができた。あのときに智也の亡骸と会話した時間は優衣に穏やかな心を与えていた。步夢は誰にもその悲しみを共有する人間がいなかったのかもしれない。当騎とも離れて当主として智也を天に送り出す事に必死だった。
「できあがったティは私が持って行きますわ」
「その方がよろしいですね。ハーブ園に入ってもよろしいですか? 新鮮なハーブの方が香りはいいですから」
 吉野総本家の奥には秘伝のハーブ園ああった。今は世話をする吉野と当主の步夢しか入れないが、前世ではデートの場所でよく場所取り合戦をしたものだ。
「ええ。当主が休んでいる間は副当主のわたくしの管轄ですから」
「ありがとうございます。では、早速」
 ししょーも勝手知ったる吉野総本家。迷うことなくハーブ園に向かったのだった。


あとがき
次はどの見出し画像になるのかは物語によります。覚醒したら使う画像は決まってるので。ただ、千輝ちゃんが、豆柴だとああなるのかーと思ってしまいました。豆柴の白い子犬って居ないと思うのであえて修正してません。黒っぽいですしね。画像見てると。竜ちゃんの話は悲しかったな。あとで元に戻されてもすぐ亡くなってしまうから。今の飼い主さんの意見は正しい。よく返さなかった。偉い。治療費を出すならわかるけれど買い取り直しって。ちょっと今日の画像が上がってなかったので心配しましたが、サブチャンネルがあったので安心。何かあったのかと配信がないと心配になります。今日も更新飛びかけましたが、やっぱり、毎日更新の呪縛に取り込まれてしまいました。しんどかったんですが、画像作ってやってます。髪の毛がもうちょっと変えられたらよかったんですが。六月のように伸びかけのショートカットを作りたかったのですが、DELIさんがお話を聞いてくれませんでした。おまけに、今日は体調が悪いのに母には八つ当たりされてぼろぼろ。心の病はわからないと断言してたのにうつ病ですとは。ほざくな、と怒鳴りたかったです。まぁ、心のことは複雑ですからおとなしく反論だけしておきました。明日も合戦があるかも。早く寝て起きれるように居ておこう。今日も二話かけなかった。昨日の続きの後半を書いてました。早くも子育てが第二部でやってくるとは。どうやって彼の地に行くのだ? そっちがメインでしょ?と自分に突っ込む。当分彼の地は遠いです。三年分飛ばさないと。で、結婚式がやってくる~~~~~。人数も増えるね。怖い状況。一つ一つこなしていくしかない。またも長編化の予感。頼む。二十話で第二部も終わってくれ。が、起承転結を入れてないためわからないのです。先を考えると頭がこんがらがる。目の前に浮かんだことをかいていくしかない。
あー。スイカ食べたい。切って食べようかな。水分不足。スイカ食べながら考えよう。夜中の更新失礼しました。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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