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【連載小説】恋愛ファンタジー小説:最後の眠り姫(74)

前話

「お母様」
「まぁ。エミーリエ。そんなに目を真っ赤にして。何かあったのですか?」
「キアラの散歩に行くとこれが……」
 クルトが代わりに答えてくれる。箱の中身を見たお母様は驚きの声を上げた。
「なんて素敵なアンティークレースなの! これを薔薇園で?」
「おじい様に頼んでお母様が薔薇園へ送ってくれたのです。この手紙が中に」
 懐かしいお母様の字が並んでいる手紙を渡す。お母様は一読すると驚いた表情を浮かべた。
「本当に時間が一気に飛ぶのね。あなた方があの剣と水晶を持って帰ってきても半信半疑でしたけれど、これは信じるしかないわね」
「でも。私が行けるのはあの一回だけだそうです。おじい様が特別に時空をつないでくれたのです。このヴェールを婚礼で使ってもよろしいですか?」
「もちろんよ。エミーリエ。お母様の愛情ごとクルトに嫁ぎなさい。仮の婚礼は仮。執務もまだ引き継ぐ必要はありませんよ。周りにわかってはいけませんから」
「そうなんですか?」
 クルトが拍子抜けしたような表情をする。
「実際の婚礼はもっと長い教皇様のお話が待っていますよ」
 げ、と二人そろって下品な声を出す。それをけらけらお母様が笑い飛ばす。
「相変わらず仲がいいわね。さ。ここにはもう用事はないでしょう。自分の宮殿で執務をこなしなさい。また手紙が来てましたよ」
「えー」
「もう。また手紙ー?」
 あの地獄の返信書きが待っている。
「さぁ。どういった手紙かは二人で読みなさい。これからの大事な手紙になると思いますよ」
 意味深な言葉に顔を見合わせる。
「わかりました。それでは父上によろしくお伝えください」
「まぁ。クルト。そんな言葉が言えるようになったのですか」
「いつまでも子供ではありません! 行こう。エミーリエ」
 顔を真っ赤にしてクルトが手をつなぐ。私はお母様に会釈してさよならを告げるとクルトと一緒にいつもの宮殿へと戻った。

手紙は一通だけだった。封を止めてある蝋印も、封筒の国旗も見たことがなかった。
「ルフト国のものだよ。海を隔てた砂漠地帯を収める国だよ」
 さすがは、王太子。詳しいことを知っている。また、造詣の深いクルトの一面を見て惚れ直した。
「エミーリエ。それは後でいいから」
「好きで惚れなおしてないわ。勝手になるんだもの。止める方法を教えて」
「やだね。エミーリエの心の声は俺だけのものだもんねー」
「もう!」
 クルトは手紙を一読すると考え込む。それから口を開いていう。
「姉上の新婚旅行をルフト国にしようか……」
「東じゃないの?」
「せっついていたっけ。どうしようかな。この手紙だけでは詳しいこともわからないし、エミーリエにとっては大事なことも書いてる。ヴィーの招集だ。姉上もだね」
 そう、クルトは言うと久々の兄弟姉妹会談を決めてしまったのだった。


あとがき
二日ぶりの更新のようです。これは。いろいろ記事があるもので、忘れ去られてました。今夜はこの続きを(ラスボス倒した後の話)書こうと思ってます。クリスマスでも執筆。雰囲気もあったもんではないわ。一応、クリスマスジャズをかけてますが。アマゾンミュージックにはなかった。Spotifyでプレイリストを探してかけてます。もう、教会にもいかなくなったなー。行きたいけれどいろいろ雑事が。奉仕活動があるのでそれをこなしている余裕がないんです。かといって通ってそれはなしではないので。しかも、予約制じゃないかしら。今の教会は。狭いので人数制限していると思います。今年ははがきすら来んかったな。明日で休日終わり。その間にできることはしよう。あ。スケジュール帳に書き込まなきゃ。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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