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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第十九話 死の覚悟

前話

「フィーネ、カロリーネから聞いたが、アムネシアの方に行くのか?」
 翌日の朝食の席、父のゲオルグが聞く。
「ミスティック・ローズがどうしても必要なんです。マリアはヴァルトのお姉様なの。お願い、お父様。ヴァルトにお姉様を返してあげて。二人だけの姉弟なのよ」
「それで、ただ行って花をもらえると思うのか?」
 いつもと違う厳しめの声で父は言う。いいえ、とフィーネペルルは首を振る。
「自生しているエーデンローズの聖域はヴァルトの話では警備が厳しいと。お父様、お口添えをお願いできますか? そのためになら私は何でもします」
「フィーネ……」
 ため息をついて父、ゲオルクは見る。
「ヴァルターとの婚約を破棄しても、か?」
 フィーネペルルの顔色が青ざめた。が、口を開く。
「破棄、されてもです。その方があの方にはいいのかもしれない」
 最後は自分への言葉のようだった。流石にカテリーナが口を挟む。
「あれだけ愛し合ってる二人を引き裂くのはお願いですからおやめください。ヴァルター様がいるからこそ、フィーネはここまで変わることができたのです。陛下もその様子を喜んでいらっしゃったではないすか」
「では、そなたが王位を継ぐか?」
「陛下?」
 カタリーナが真意を測り損ねて聞く。
「ここまで変わることのできた、フィーネは王となる身。身分の釣り合った男を婿にせねばならない。ヴァルターがそれだけの男かは私にはまだわからぬ。ただ、アムネシアへの旅でその意思を確かめさせてもらおう。二人に浮ついた恋で間違いを起こされては困る。将来、本当に添い遂げる意思を示してもらおう。どういうことか、わかるね。フィーネ」
 カロリーネは不思議そうだったが、フィーネペルルは肯く。
「はい。浮ついた恋に戯れることはありませんわ。それにミスティック・ローズの棘には毒があるとも。そして女性にしか手にできないこともわかっております。ヴァルターはお姉様と幸せに暮らしますわ。きっと」
 ヴァルトは見落としていたが、フィーネペルルはミスティック・ローズの説明書きをしっかりと頭に入れていた。マリアが姉とわかってからは特に思っていたことだ。
 死を覚悟したフィーネペルルの言葉にカタリーナと母エレナが真っ青になる。
「フィーネ」
「お願い。ヴァルトには内緒にしていて。今は、信じていて。きっといい方に転がると。ヴァルトのお姉様はレガシア帝国の男に狙われております。それを回避させるにはヴァルトをマリアの元へ返す事が必要です。私の身はどうなろうと構いません。レガシア帝国が襲ってくれば後方支援にも行くつもりでした。命を落とさずに済めば」
 一旦、言葉を切って父を見つめる。
「決めたのです。愛する人達の役に立ちたいと。それがこの力を持って生まれた宿命なのです」
 ゲオルグも顔色が青ざめていた。娘はすでに命の覚悟をしていた。何通りの運命にも立ち向かおうとしていた。普通に生きていければよい、と思っていたが、この場でこの娘以外に国王の座を譲る気にはならない。
「父からはこれしか言わぬ。決して死ぬでない。生きて戻れ」
「はい」
 フィーネペルルは泣き笑いの顔で肯いた。


あとがき
突如としてシリアス化するこの話。でもこのくだりは最後には必要不可欠になるんです。上手い具合に変わる話だと書き手も思いました。この頃からあのテーマを意識していたんだなーと気づきました。ユングでも大事な部分です。影の統合はそういう具合に繋がるのですよねー。ラストまでお待ち管いませ。

先に「星彩の運命と情熱」を上げてましたが、今日も昨日の熱中症の余波が来てるので、ゆっくりしておきます。次は「煌星の使命と運命の絆~星の恋人達」より「星彩の運命と情熱」の方が出てきます。ストックの多い方を出してきます。また書いても書いても終わらないがやってくるようですが。

ドライヤーはやめめました。体重計はまだ考えてますが、3つもいらん。いまのでオムロンコネクトしてます。でもfitbitより多い歩数を数えている活動計。正しいのか? 早歩き機能まで付いて歩けないですが、です。

ここまで読んで下さってありがとうございました。

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