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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:風響の守護者と見習い賢者の妹 第二十二話 少年王は女性恐怖症だった!

前話

「おにーちゃーん!!」
 男同士の家にリリアーナが突撃してきた。
「どうした。リリアーナ」
 平然とした顔で対応する兄である。
「もういいでしょう? セイレン服も着替えられるようになったし、お風呂も入れるじゃないの」
「お前、それをどこで」
「シルフィが教えてくれたの。シルフィとセイレン繋がってるみたい。実況中継してくれるよ」
 そこへセイレンが通りかかるが走って逃げようとする。首根っこをニコがつかむ。
「どうしてリリアーナ様を避けるんだ。未来の妻だぞ」
「つ、妻!」
 ふらぁ、とまた気を失いかけるのをレオポルトは拳骨一個で引き戻す。
「ちょっと。お兄ちゃん。セイレンに乱暴しないでよ」
「そうでもしないと、お前の前から逃亡するぞ」
 その言葉にリリアーナはセイレンを見つめる。
「セイレン、そうなの? リリアーナの事嫌い?」
「き、嫌いではないのですが、女性には慣れなくて」
 え、とレオポルトとニコが固まる。
「お前、女性恐怖症か?」
 レオポルトがなんとか気を踏ん張って聞く。
「はぁ。そのようです。風の国の役人は皆男性でしたし、世話係も男性でしたし……」
「もう、そこでいい。女性に会ったことがないんだな。よし。装備ができるまで宮殿で女性恐怖症を治せ。ニコ、戻るぞ。フロリアン、あとで片付けに来る。とにかくコイツを女の中に放り込まないと」
「って、お兄ちゃん。ショック療法はダメだよ。よけい症状がひどくなるよ」
「それもそうか……」
 妹になだめられる水の国の国王である。妹にはとことん甘い。
「うーん、どうすれば……」
「簡単だよ。みんな一緒になれば自然と治るよ。どちらかに偏らせるのが良くないんだから」
 いっぱしの口を利くリリアーナである。流石は二年賢者修行していたことはある。経験はかなりこなしているようだ。あの可愛いリリアーナが……。論点が段々レオポルトの中からずれていく。
「……オ。レオ!」
 ニコがレオポルトの意識を引き戻す。
「じゃ、リリアーナ。ユレーネとローレライも呼んでこい。と、カールなんだ」
 混み合っている所にカールが入ってきた。にっこり笑う。
「水の国の避暑地などいかがですか? 大人数で合宿生活には適してますよ」
「お前、どこからその話を……。いや、いい。お前の情報網は恐ろしすぎる。夏休みその内やるから、手はずを整えてくれ」
「御意。あ。フロリアン殿。セイレン様の武具の料金です。へそくりからですから王にはしっかりと後で返して頂きますからね」
「はいはい。さっさと手はずを整えて後は三つ子と遊んでくれ」
「はい。もう、うちの子は天才ですよ。たまりませんよ」
 カールが親馬鹿しているのをまじまじと見つめるその他大勢である。
「見つめても何もでません。さぁ。あの子達におもちゃを買いに行きましょう」
 鼻歌を歌って本来の目的から違う事を言って去って行くカールである。
 
 本当に避暑地の宮殿なんぞあるのか? またアイシャードが建てるのか。
 
「建てるのじゃなくて、もう建ってるの。お姉ちゃんと私が暇つぶしに趣味を入れ込んだ宮殿を作ったのよ」
「って。リリアーナ。心の声が聞こえるのか?」
 この質問にはリリアーナはにっこり笑って真実を明かさない。代わりに話を別方向に向ける。
「アイシャードもリリアーナには弱いな」
「レオほどじゃないぞ」
 ニコがすかさず突っ込む。
「シルフィのお部屋もあるの。セイレン、シルフィと一緒におはなししましょうね」
 リリアーナがにっこり笑う。セイレンが固まっている。ヘビに睨まれたカエルのようだ。これで妹と恋をするのか?
 レオポルトは未来を憂慮して二人の少年少女を交互に見ていた。


あとがき
重症の母と同量の痛み止めを飲んでいるらしく、以前の小さなミリ数での眠気はないものの、ふらふらしてあちこち倒れそうな感じです。キーもろくに打てない。ミスタッチの多いこと。散歩に出ていけば、なんだかあちこちよろめいて歩いてました。キツい。しかし、私は薬慣れが早いため、出勤字にはまぁ、ましになっていると思います。
朝活にはいっている事は半分こなしました。あとはこの更新と、執筆と漢検のみ。漢検できるのか? こんなにぼんやりした頭で。
そしてリリアーナちゃんはいろいろな能力が開発されているようです。今朝、ん? と思った箇所があって訂正しました。そしてリリアーナちゃんはあのようになったと。ここからが帰国の間のハプニングです。しばしお待ちくださいね。ここまで読んで下さってありがとうございました。

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