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【連載小説】ファンタジー恋愛小説:影の騎士真珠の姫 第四話 姫のお守り

前話

「それでは、お父様。私はこの辺で。話したい事もおありでしょうし。この子にミルクを与えなければなりませんので」
 フィーネペルルはそう言うと、謁見の間から去って行く。ヴォルターはその後ろをじっと見つめていた。
「おわかりかの?」
「ええ。まぁ……」
「あの子は自分の世界に捕まっておる。影というのか闇というのか。それを救い出せるのはある騎士のみ。そう占いに出ている。そこで、だ。試しに姫の護衛を引き受けてくれないか? よくふらふらと外に出て危なっかしいのだ。愛犬の散歩に飽き足らず、しょっちゅう森の泉で自分を見つめておる。いつ、あの泉に身を落とさぬか心配でならないのだ」
「私が、姫の護衛を? 確かに戦はここのところ鎮静化しておりますが……」
「戦のあるときはそなたにも手伝ってもらう。勇猛で名をはせているそなたを迎え入れたのも隣国のレガシアの動きがでれば、というのが目的だ。だが、それより、姫の方が先決だ。平和な内にそなたから影の御し方を教えてやって欲しい」
「御し方、などと大層な事はしておりません。ただ、自分の影を受け入れているだけです」
「それが姫には必要なのだ。だが、心を閉ざして何も聞かぬ。我々では無理なのだ。そなたに姫を託す。よいな」
 そう言って国王は謁見の間からでた。一人取り残されたヴァルターはしばらく考えていたが、謁見の間からでて、お守りする姫のフィーネペルルを探し出し始めた。
 城には大勢の女官がいた。姫と王妃がいる環境としてそうなったのだろう。忙しく立ち働いている。その一瞬、通り過ぎた女官にヴァルターの目は釘つけになった。別に一目惚れしたわけではない。ただ、探している姉にそっくりな女官がすっと通り過ぎたのだ。
「姉上!」
 ヴァルターは声を上げたが、女官はそのまま過ぎ去っていった。
 
 しばらく、この国にいる必要があるな。あの女官が姉上なら……。
 
 ヴァルターの出身国は遠く離れたシュヴァルツベルク公国だ。同じく騎士だった父はこの国との戦の中で命を落とした。母は当になくなっている。姉と肩を寄り添わせて生きていたが、ある日、戦の最中に行方不明になった。それからヴァルターは噂などを頼りに国々を渡り歩き、姉を探していた。まさか、この国でそっくりな女性を見つけるとは。姫のお守りというのも、動きやすい。さっさと姫と話をして、お守りの役を取り付けねば。ヴァルターはつかつかと城の中を歩くと、ある部屋のドアをノックした。返事はない。
「フィーネペルル様?」
 そっと扉をあけると、フィーネペルルはメガネをかけて書類と向き合っていた。羽根ペンが片耳にかかっている。仕事に熱心で気づかなかったのだろう。部屋はいると大きな布に覆われたものがあった。すっと布をめくる。すると巨大な鏡だった。
「ふみゃう」
 エルマがいつの間にかヴァルターの足下にいた。
「エルマ? まぁ! ヴァルター!」
 フィーネペルルの美しい顔に驚愕の表情が浮かんでいた。
「国王より、姫の警護を仰せつかりました。ヴァルトとお呼び下さい」
 跪いて、ヴァルターは言う。フィーネペルルは立ちすくんでなんとも言えない表情でヴァルターを見下ろしていた。


あとがき

阪神戦が思いの外、超スピードで終わり、やっと目的地までたどり着きました。まだ、この後にあるんですけどね。「氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子」の第二部は。一番書きたい所まではたどり着きました。

で、こちらがほとんど進んでなかったので、進めますね。これも最初と最後では違う話になってる気がするんですが。

まぁ、訂正しつつやっていきます。

側女やら女官やら侍女やらいろいろ用語が錯綜しておりますが、侍女というちょうど良い言葉がなかなか見つからず最初の方は悪い言葉となっております。これも訂正していきたいのですが。でも今日のは女官でも良いかも。十把一絡げに女性の召使い、というところなので。でも召使いっていうとなんだか差別用語のような気がして。側女も同じ意味合いですが、こちらははしためとか言って聖書に載っております。共同訳にもあったような。メイドと書くと現実味が増しますのであえてこちらは辞めております。「訳あり姫」ではメイドですけどね。と。ツラの割れる作品の名前がちらりとでましたね。「影の騎士真珠の姫」で検索すればわかるのでまぁどうでもいいか、と思い始めています。

知っている人が見に来ているとは思わないし。

何も言わずすっと退会してパケ代のある時期に暇な待ち合い時間に戻ってやってるだけなんで。後で知ったことでしたが、病院にフリーWi-Fiができてました。これで木曜日の診察もゆっくりできる。

これと「氷晶の森の舞姫と灼熱の大地の王子」のを交互にして行こうかと思ってますが、一日に二話載せるかもしれません。今の所第一部完結と物語が終了しているのはこの二つなので。

ただ、一番信頼しているnoter様すら連絡取ってないので、どうしたものか、と思ってます。あとでココナラ経由でお知らせするか。短編はそちら経由で載ります。連作とか。小説家を支援する会様です。そちらの短編はどこまでいったのかしらないのですが。提出は継続しております。ただ、そちらに割く時間が余りにも少ない。四千字を一気書きできないようになっているので、オラクルカードの物語もカード引いて終わってます。第二部書かないと。あと花屋elfeeLPiaシリーズあと一作で第一部完なんですが、書き始めてもいない。第二部が続くこととなります。これで大抵の主要作品の名前がでちゃいました。でも知ってる人いないだろうなぁ。狭い空間で生活してるので。という所で今夜は終わります。ここまで読んで下さってありがとうございました。また明日。

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