卒業式の思い出を語っている場合じゃなかった

幼稚園は卒園だから省くとしても、
小学校、中学校、高校、短大と
４つの卒業式を経験した。
卒業に関する記事を書いていらっしゃる方が
結構いらして、私も思い出を振り返ってみようかな
という気持ちになった。

小さい頃から人前で泣くのが苦手だった私は、
小学校の卒業式では泣かないように頑張っていた。
でも卒業式の夜、家族が誰もいない洗面所で
一人になってから声をひそめて大泣きした。
なんで仲のいい友達と
離れなければならないんだろう…
という気持ちが大きかった。
まあ、ほとんどの友達は
同じ中学に行ったのだけど。

中学の卒業式では人知れず涙を、静かに流した。
その頃、私には
秘かに思いを寄せていた男子がいたが、
彼は親友とつきあいかけていた。
だから諦めてはいたものの、
親友とダブルデートをしたりして、
友達としては仲よくやっていた。
そんな彼から卒業式の後、
「一緒に写真撮ろう」
と声をかけられた。
親友と３人でかと思ったら、
なぜか２人でだったので舞い上がった。
嬉しくて笑顔になり過ぎて、
しかも日が当たってまぶしくて、
ブス過ぎる写真となってしまったが、
いい思い出になった。
しかしなぜ彼は親友とではなく、
私と写真を撮ろうとしたのだろう？
何十年も前の話なのに、いまだに謎だ。
もし私が告白でもしたならば、
何かドラマが生まれただろうか？
なんて、今になって考える(遅すぎ！)。

高校の卒業式は、
学校に好きな人もいなくて気楽だった。
女友達や先生と写真を撮りまくった。
詰襟ではなくブレザーの制服だったのに、
手首の小さいボタンまでも全部後輩たちに奪われ、
羽織りもののようになったブレザーを
ひらひらさせて自慢している男子をひやかしながら
男子たちとも写真を撮った。
後輩に花束をもらって嬉しかった。

短大の卒業式では袴をはけて嬉しかった。
しかしその頃には花粉症が悪化していて、
ちょうど花粉症真っ盛りの時期に
卒業式があったものだから、
目も真っ赤でグスグスだった。
当時の彼氏が迎えに来てくれたが、
顔がひどすぎて(？)一緒に写真は撮っていない。

さて、これから私は何を卒業しよう。
大人になってからも、
卒業する機会はあるのではないか。
…と考えたところで、娘のチビ子はあと２年で
もう小学校を卒業？ と気づいた。
この前入学したばかりではないか！
親も参列するんだっけ？　
またフォーマルを着ないと？
まだまだと思っていたら、
子どもが卒業する年も近づいていたというオチ。
自分の卒業式を語っている場合じゃなかったか…。

エッセイ｜花咲ありす｜note

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