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『科学的介護推進に関する評価』について【LIFE加算の意味】

こんにちはアルゴです。

2021年4月から、LIFE加算が始まりましたね。

『科学的介護推進に関する評価』という名目の用紙の記入が必要で、どの事業所でも年度代わりでバタバタしているんじゃないかと思います。

そしてこれ、何のためにやるのか・・・?って疑問の方も多いんじゃないかと思います。

加算をとるため・・・と考えることもあると思いますが、本当にケアに役立てるにはどうすればいいのか・・・?という点について、今日はお話します。


科学的介護・LIFE加算の将来性、意味

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LIFEって何だろう?
科学的介護って何だろう?
・・・という疑問に対して。

めっちゃカンタンにいうとビッグデータの収集ですね。

私の過去の記事でも、介護業界のIT、デジタル化についてお話しし、その中でビッグデータとディープラーニングについて解説しています。
↓↓↓

私自身はこのLIFEの取り組みには賛成です。

このnoteで、
『意味のない介護・業務をしている施設が圧倒的に多く、その無駄に気づき、やめることで現場の職員がよりスマートに働ける』
ということを何度も提唱してきました。

最近では、より具体的に著書でまとめています。


無駄な介護をしない・・・といっても、施設・職員によって様々な手法、価値観があるわけですから、何が有効で、何が無駄かという根拠があればより良いわけです。

そのような中で登場したLIFE加算というのは、統計にもどづいた科学的な根拠をもって介護にあたろう・・・という素晴らしい取り組みですね。


たとえば、『認知症』ご利用者Aさんの『暴力』に対して、どう対策すれば良いか・・・?と考えるとします。

これまでは皆さんの施設では、どうケアをしていましたか?

おそらくICF等でアセスメント(施設によって手法は異なる)をして、
「よし、Aさんが怒り出した時は、こういう対応をしていこう」
と決定してケアにあたるわけです。

その後、ケアの実施〜記録〜評価〜再アセスメント〜計画見直し・・・・といった、PDCAを繰り返し現場で行うことになります。

これはとても大切なことです。
そもそも『アセスメントをしないと、感情まかせのケアになってしまう』・・・ということはnoteや著書でお話しました。

ですが介護というものは、絶対的な正解のないモノを、延々と求めていくような道のりでもあります。

そして、PDCAをいくら一生懸命やっても、うまくいかないことだってありますよね。

「ケアプランなど、計画書通りのケアをしたのに、ぶん殴られてばかり」と(笑

むしろ時には、感情まかせのケアの方がうまくいくことだって時にはあります。


現場の介護職が、時間外業務でも一生懸命アセスメントや計画作成をしているのに、何だかやりきれないキモチになりますね。
(-_-;)

そこでLIFEの登場です!


先ほどの『認知症』ご利用者Aさんの『暴力』について考えてみましょう。

たとえばこのAさんに関して、『認知症』と『暴力』の他にも、実際には様々な情報があるはずです。

●年齢
●認知症は、アルツハイマーなのかレビーなのか・・・?とか
●認知症の他に既往症はあるのか?
●暴力以外の認知症の周辺症状はあるのか?
●飲んでいる薬は何か?
   等々です。

ICFの基本的なアセスメント手法では、これら身体的なに加えて環境的な要因をプラスし、ご本人にとっての課題と解決策を導き出すわけですね。

でも、このような情報をふまえて上ですら、計画者によって全然ちがう計画書ができあがってくるということが事実です。

というか、同じ計画書ができあがるという事は、ありえません。


しかしLIFE加算によって、日本中からありとあらゆる情報を収集し、ビッグデータとしていけば、このような問題が減ってきます。

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暴力をふるうAさんと
●同じ年齢で、
●同じ薬を飲んでいて、
●同じ既往症を患っていて・・・・・というように
日本中から蓄積されたより大きなデータがあれば、より有効なケアを導き出しやすいのです。

それが100%うまくいく事なんてあり得ませんが、うまくいかなかったケースもビッグデータに残していけば、さらに有効なデータとして固まってきます。

こうして、ビッグデータにはどんどん有用な情報が集まっていきますし、これによって計画を作ったりケアをすれば、100%ホームランということはなくても、ヒットを打つ打率は確実にあがると私は考えます。

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LIFE加算導入に関する懸念


しかし懸念もあります。

1つ目の懸念は、『職員の手間がさらに増える』・・・という点です。

私が今更いうまでも無いですが、一つ手間を増やしたら、一つ手間を減らしてくれよ・・・とも思うのです。

介護保険収入でメシを食っている施設であれば、仕方ありません。
しかしそうは思うのですが、書類作成に追われるストレスの方が、介護現場で働くストレスを、私は上回っていました。

いずれこの科学的介護の有用性が確立されていけば、介護ソフト等から国に提出する情報の出力などもできると良いですね。

手書きの用紙では、それをデータ化するという職員もいるため、その手間やコストもかかります。

「それってめっちゃ無駄だよなぁ」と私は思います。現場の無駄が減ったとしても、その分、不必要な労力も増加していますよね。

最初からデータで提出できればいいのに・・・。


2つ目は、どこまでケアに活かされるかが未知な点です。

『科学的介護推進に関する評価』の内容を確認すると、

「(-_-;)これだけじゃまだまだ、情報が足りないな・・・・

と感じました。

せっかくやるんだから、出身地や趣味とか、前職業とかも載せられればよいのに・・・と思います。

ICFでアセスメントをする上では、そのご利用者の生活歴であったり環境的な要因をとても重視します。そういったものが、既往症や認知症の対応方法に大きな要因となるからです。

国はICFでアセスメントしろ・・・といっているのに、肝心の様式があれじゃあ・・・なんか本末転倒だなと思いますね。


いずれにしても、LIFE加算には賛成です。(*´ω`*)
導入したばかりなので、疑問や課題はあると思いますが、少しずつ解消されて、より介護のしやすい環境が整ってくれば良いと感じています。


サポートですか・・・。人にお願いするまえに、自分が常に努力しなくては。