ユニット型介護施設と従来型介護施設、知らないと損する大きな違い(介護士視点)
こんにちわ、アルゴです。
私が最後に務めたのは、ユニット型の介護施設(特養)でした。
もう退職して独立して3年になり、どんどん古い記憶が薄れていくので、覚えているうちにいろいろな事を書いておこうと思います。
今日はユニット型介護施設と従来型介護施設の違いについて述べます。
どちらにも務めたことがある人は、「こんな事知ってるよ」と感じることを書いてますので、たぶん見なくても大丈夫です。
私は特養という形態で、ユニット型、従来型の両方を経験し、日本ユニットケア推進センターの主催する数々の研修も受講しています。
本記事はその観点でお話しますね。
① 基本な方針の差と実際
ユニット型特養が最初に誕生したのは90年代だそうです。まだ、介護保険すら始まっていない措置の時期です。
それまではもちろん従来型という言葉はなく、それが当たり前だったわけですね。
ユニットケアは、老健や特養など形態にかかわらず、『個別ケア』を目的とします。
ユニットケア施設は基本的に居室が個室ですが、実は居室が個室かどうかというより、スタッフとご利用者で『なじみの関係』を作り、個別ケアを実施することこそが大切とされています。
理念について詳しくは、過去の記事でも述べてますので良かったらご参照ください。
これからユニットケアに勤めようと思っている人はぜひ読んでいただきたいです。
↓↓↓
上の記事を要約すると、
日本のユニットケアは北欧の都合の良い部分を『真似っ子』しただけで、普通にやっていたら失敗する
・・・という事を述べています。
本記事では介護士が働く上でどう違うかという事を述べますので、↑記事のないようは割愛します。
ともかくユニットケアは、一応は、個別ケアをするという目的で作られたんだという事をご理解ください。
② スタッフ数の差。『個別ケア』と『効率』のどちらをとるか。
ユニット型施設というのは1ユニットご利用者店員が10人までという少人数制です。
しかし、ご利用者がどれだけ少ないユニットだとしても、たとえ短時間でもそのユニットを空にする時間があってはなりません。
早番・日勤・遅番・夜勤と1日にスタッフが必ず必要になります。
夜勤は協力ユニットと呼ばれる隣り合った2つのユニットを1人で見るケースがほとんどです。
なので、1ユニットご利用者10人 協力2ユニットで20人という少なさでも、早番2人・日勤2人、遅番2人、夜勤1人というのが基本のかたちになります。
従来型施設しか経験した事がない人が、これだけ聴くと、
「😅なんだユニットなんて楽勝じゃん!従来型特養なんて30〜40人くらいの大人数をスタッフ2,3人で見てたよ。夜勤なんて1人だよ」
・・・と思うかと。
いや、私もそう思ってましたよ(´・ω・`)
ですが、これがそうもうまくいかないのです。
私はユニットリーダーとして勤務表を作る係ではありましたが、とてもじゃないですが、毎日7人のスタッフを勤務に組み入れることはできません。
ユニットケア推進センターが推奨するスタッフ数は、協力ユニットで所属10人です。
しかしたとえ2ユニットの所属スタッフが10人いたとして、規定どおりの配置を組むことは非常に困難です。
上の計算上は、一日につき、スタッフが3人休むことができますが、公休数9日、有給や夏休冬休の消化を含めると、無理です。
というか・・・
まず、協力ユニットで10人もスタッフを確保しているユニットはなかなかないでしょう。しかもこれ、常勤換算ですからw
実際には週2〜3日や短時間勤務のパートさんをあわせて7〜8人が限界です。
そういう状況では、とても1日7人なんて勤務が無理なことがわかりますね。
私が勤務表を作成していた時に一番苦しかった時期は、常勤のみで両ユニット7名でした。
削れるのは日勤で、日勤を両ユニット兼務にすることで一日の勤務を6名にできます。
しかしそれでも当然、厳しいです。
早番2人は本来、7:00〜16:00
遅番2人は本来、12:00〜21:00
・・・とかだと思いますが、
これを早遅勤務として、7:00〜21:00までの長時間勤務とすることで、一日の勤務を4人にします。
いわゆる・・・介護業界では『通し』とよばれている勤務で、皆が嫌がる勤務です。
さらに入浴などを行わない日曜日は、日勤じたいを削って3人にする・・・というユニットもありましたが、私のユニットは幸いそこまでにはなりませんでした。
というか、3人になると、早遅勤務の休憩すら取れなくなります。休憩がとれないと、スタッフの離職にもつながり、さらに悪循環になります。
私は部下との人間関係も良好で、任期中を通して自分のユニットから退職者をほとんど出しませんでした。(辞めたのは自分くらいかと)
ですが、他のユニットがどんどん辞めていくので、異動で自ユニットのスタッフを人手不足のユニットにとられてしまうのです。
シフト作成者としては、誰かが怪我をして、長期離脱・・・という事になったら、もう火の車です。絶望しかありませんでした。
いや・・・
そもそもなんですが・・・・
1ユニットを10人を一人で見るのは、従来型を経験したスタッフからみたら楽勝そうで、実際やってみるとかなりキツいです。
ユニットというのは個別ケアの観点から他のユニットとしっかり区切りが設けられていますが、そうなってしまうと完全に1人で業務を行わなくてはなりません。
どうしても移乗で2人必要な場合は一時的に応援を呼びますが、基本はワンオペです。
従来型であれば、その点、非常に効率は良いです。
1フロア利用者35人と想定して、スタッフは日中スタッフ5名いれば、実際は一人頭7人くらいですみます。
しかし、実際は複数のスタッフが連携して動くので無駄を減らし効率化できます。
ただ、「従来型の効率重視の一斉ケアをやめよう!!」
・・・という事が、ユニットケアの理念なのです。
実際、シフト作成者としても日中の労働者としても、従来型の方がはるかに心身ともにラクでした。
ただ、夜勤に関しては従来型もワンオペでしたので、協力ユニットでたった20人のユニット型は圧倒的にラクでしたね。
なので、
「わずらわしい人間関係が嫌!!」
「夜勤はラクにやりたい!!」
・・・という方はユニットが向いているかもしれません。
③ 個室と多床室の差
個室か多床室か・・・
介護士視点で考えた時に一番先に思いついたのが、『感染リスク』でした。
感染症が施設で発生した際、個室であるか・・・はたまたカーテンだけでしきられた多床室であるか・・・これは大きな差です。
過去にノロウイルスやインフルエンザなどのクラスターを経験しましたが、従来型施設の4人多床室では、圧倒的に感染が広がっていきます。
隔離をしようにも、隔離する部屋がなかったり、一時的な居室移動でてんてこまいです。
クラスター発生時のスタッフの消耗は通常時の3倍にも4倍にもなると言われています。
そうした面で、働きやすかったのはユニット型施設でした。
ただ、従来型施設であっても新しい施設は個室を採用している場合もあります。
これからの時代、従来だろうがユニットだろうが、新しく建設される施設は個室を作っていく傾向が見られますね。
結論、自分だったら今、どちらで働きたいか??
今、私が働くのなら従来型とユニット型、どちらが良いか??
従来型施設を選びますね。
というか、夜勤含め、ワンオペ業務というものを二度と選びません。
私の個人事業もワンオペですが、相手のお客様も必ず1人なのでそれは全く別です。
複数のご利用者を一人でみるワンオペはキツい。
スタッフ1人で10人を見るのなら、
スタッフ2人で30人を見たほうがマシです。
後者はスタッフ1人あたり15人という事になりますが、協力できる有り難さというものを知った今ではそちらを選択します。