孤高

手を伸ばしてみた。
太陽に手の甲が透ける。
初夏の蒼さが滲む。

手を伸ばしてみた。
見えない何かをつかむために。
心の奥底でそっと。

軋む歯車に油を注ぐには
あと、どれくらいかかるだろうか。

この悲しみの正体を
僕は知っている。

それは手を伸ばしているからだ
いつでも、どこでも
手を伸ばし続けている。

なぜなら、僕なら
誰の手でもつかむからだ。

みんな、手を掴んでほしいだけなのだ。
それだけを望んでいるのだ。

だから、僕は手を伸ばす。
次に手を掴めるまで。
孤独でもいい。
痛くてもいい。

この生き方しか知らないのだ。
伸ばした手は振り落とされる。

それでも手を伸ばし続けたい。

何が悪い。
人を信じて何が悪い。
人を愛して何が悪い。
人を労わって何が悪い。
人を想って何が悪い。

われらは人間だ。
この世で最も弱くて脆い生き物だ。

偽るな。自分の儚さを。
強がるな。自分の弱さを。

手を伸ばしてみてよ。
あの星に届くことはできないけど。

君の手なら握れる。
君の事なら抱きしめられる。

独りにならないで。

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