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IN THE RED〈中編〉
サルも木から落ちる
否、木から落ちまくっているサ……人物が、たまたま超高学歴なだけである。何日かは気まずい雰囲気が続くことを私は経験的に知っている。ご機嫌を損なう気持ちはじゅうぶん理解できるのだが、己の中にしか原因が見当たらないのであれば、そこで完結させて欲しいものだ。職場での能力と学歴は比例しない。
「ウチまで送ってくよ」
「ありがとうございます」
信号待ちなんて大嫌いと言わんばかりにグ
IN THE RED〈前編〉
口先だけで語る「ダイジョウブ」という言葉ほどダイジョばないことはない。
どれほどの知識、情報を得ようと、そこから発せられる言動には人間性がつきまとう。優れた食材を手に入れたとしても、それを活かすための能力は比例しない。そして高性能な車を所持したとしても、それを活かすための運転能力は比例しない。……そう、短絡的であることに無自覚な、ある者たちにとってはとくに……
1日だけの仕事で向かうこととなっ
冤罪~私は悪くない~
「AI技術のシンポには驚かされる」
実在する人物の姿形、音声、それらを合成させた動画を初めて見た時に、私は感動とともに一種の戦慄を覚えた。見分けがつかないのだ。
「ドクサイこそ生む、あるべき世界。崇高なる理念を提唱し、民の意識のトウイツを」
AIの叫びに
「アナタはワタシのニセモノよ。民主主義こそ理想の社会。すべての民にビョウドウを」
尊うAI
「どちらもワタシのマガイモノ。つむがなけ
小説でも書いてみよう
ボクは喫茶店で向かいの席に座るサトウにそう告げた。彼はその内容に興味津々だ。魔法使いや変身ヒーローが悪の組織と戦うようなファンタジーな物語が彼の好みだ。しかしボクの書きたい小説はそれとは違った。何気ない日常を深掘りしてゆくような内容にするつもりだ。
彼は言う。例えば男二人が喫茶店でコーヒーを飲んでいるだけの話を誰が読みたいと思うんだい?そこで突然、得体の知れない怪物が暴れ出してヒーローがピンチを