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ノースライト 横山秀夫

なぜかしらないけど、この本にはDéjà-Vu ならぬDéjà-Lu感がすごくありました。誰かが住んでいるはずの家に誰もいない。どこで読んだんだろう?あるいは映画?まさにミステリー小説の始まりですね。普段見ないテレビドラマでも見たのかな?あるいはずっと昔連載されていたころに、ふと一部だけを読んだのかもしれない。

この本はブルーノ・タウトについてのオマージュでもあるという。不思議な組み合わせ。桂離宮の再発見、という建築家でございます。

タウトは、私が今住む生駒市でも、現在の生駒山上公園あたりに、郊外型都市、しかもオペラ座付き!を計画していたのです。大阪軌道鉄道(今の近鉄)の委託だったのですが、結局それはできなかったのですが、もし実現していたら、生駒市はきっと宝塚に負けないオシャレな街になっていたに違いない!と勝手な妄想をしています。

家の形、椅子の形、それに建築コンペ、それに家族の形が乗っかってミステリーを作った力作かと思います。そしてタウトの建築とタウトが作った椅子!を伝って、建築家が謎を解いていくというもの。つまりミステリーの鍵がタウトの椅子。

 

この小説の不満といえば、ノースライトの必然性がいまいちわからない。採光の方法として面白いものであるのは理解できましたが、この小説でこれが必要?というほどまでは盛り上げられていないような気がしました。

ドラマとか映画で、それが美しく映えるシーンが作れるのかな?そうでしたら、脚本としての面白さがきっとあるのでしょう。

 

そういえば水村美苗「本格小説」も信濃追分が出てくる、家族をテーマにしたミステリー調のお話しだったなあ。

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